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性別だけじゃない。関係性だってグラデーションだ。

僕がはじめてLGBTの概念を知った時、印象に残ったのはこの図だ。

恥ずかしながら、それまで性別とは男女の2択だと思っていた。それが一気に6倍にもなるなんて思いもしなかった。

赤か青かじゃない、性別はグラデーション。LGBTの象徴である虹色にはそんな意味も込められている、という話を聞いてさらに腑に落ちた。

このマガジンのテーマである「ポリアモリー」はよくLGBTと比較される。LGBTとポリアモリーはまったく別の話だが、共通する点があるとすればこの「グラデーション」であるということ。今日はそんな話。

ポリアモリーとは、お互い合意の上で複数の人と同時に恋人的な関係を築く恋愛スタイル。対義語はモノアモリー(恋人は一人という価値観)。過去のシリーズはこちら

■日本には関係性が足りない

以前、大きな反響をもらった「ポリアモリーと3つの山」でも書いたが、日本には1対1の関係性が①友達、②恋人、③夫婦(家族)の3つしかない。これまでは、どんな関係でも3つのどれかに当てはめようとしてきた。


しかし今、ポリアモリーをはじめとする「新しい関係性」が認められようとしている。

関係性って本当に3択しかなかったんだっけ?

僕はポリアモリーなどの新しい概念を起点にはじまる議論は、ココに集約されていくと考えている。

■関係性に線が引かれている

日本人は関係性を区切るのが大好きだ。
例えば「一線は超えていない」という表現。不倫疑惑があった国会議員の会見で発せられたこの言葉。「一線とは何ですか?」という記者の(意地悪な)質問ははぐらかされたが、その線がセックスのことを指していたことは明らかだった。

日本では友達、恋人、夫婦という関係性にしっかりと線が引かれている。告白という線を超えて「仲のいい友人の1人」が恋人となり、結婚という線を超えて「兼ねてからお付き合いしていた2人」が夫婦となる。

また、その線はそれぞれの期間中にも存在する。
例えば恋人期にはセックスという線がある。日本では、恋人期にならないとセックスをしてはいけない、とされている。だから友達期にセックスをすると「一線を超えた」として非難され、友達期でセックスをする関係が続くと「セフレ」と言う正道から逸れたような関係性の名前で揶揄される。


■関係性に推奨期間がある

この線引きだけでもややこしいのに、これらの関係性にはそれぞれ推奨期間もある。関係性が推奨期間内から逸脱すると、以下のようなツッコミの対象となる。

加えて恋人期間中でも、セックスをしない恋人関係には「付き合って○ヶ月も経つのにセックスしてないの?」と容赦無くツッコミが入る。ここまで来ると、関係性を監視し合っているような息苦しささえ感じる。

■人の数だけ関係性がある

こちらも大きな反響があった前回のnoteにも書いたが「リレーションシップ・アナーキー」という考え方がある。世間が決めた関係性の名前を放棄して、その定義から解放されようとする考え方のことだ。

僕とAさんの関係性は「僕とAさんの関係」という名前でしか表現できない。それはBさんの関係とも、Cさんの関係とも違う(世間では同じ「友達」や「恋人」かもしれないが)。

つまり、人の数だけ関係性の色がある。そしてその色は、「青の友達期」から「黄色の恋人期」という具合に突然変わったりしない。その色のまま、関係性が濃くなっていくだけ。それが本当の人間関係ではないだろうか。


だから、友達だって夫婦並みに濃い関係の人だっているし、恋人だからって関係が濃いわけじゃない。そう捉えると「友達よりも夫婦(家族)を優先するのが当たり前」みたいな考え方もおかしい。

大切な人とは「自分との関係が濃いから大切な人」であって「夫婦だから大切な人」というわけではないのだ。

■関係性だって、グラデーション

人によって関係性の色が違うのは「縦のグラデーション」。その人との色が徐々に深まっていくのは「横のグラデーション」だと捉えてみる。

LGBTが浸透する前、世間が男性を青、女性を赤と性別を2色で表現していたように、今はまだ関係性の色は3色しかないかもしれない。しかし例えばポリアモリーのように「これまでの恋人の定義」から外れた関係性が出現することで、関係性の色は徐々に豊かになっていく。

性別と同じように、関係性もグラデーションだ。カラフルな関係性を楽しめるような、カラフルな社会になればと切に願う。

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