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2002年頃のIT業界のSESはこんな感じでした。

私が初めてIT業界の入口として入社したのは、SES(System Engineering Service)と呼ばれるビジネスを生業としている会社。

今回は私がSESで体験したぶっちゃけ話を書いてみたいと思います。

誤解の無いよう先に書いておきますが、ここで話しているのは、2002年頃の話です。今ではルールも厳しくなったので、改善されている会社も多いと思います。

SESってそもそも何?

今更、説明は不要かもしれませんが、SESとはエンジニアを顧客に派遣するサービスです。派遣とは言っても非正規ではなく、正社員として所属しています。

乱暴な言い方をすると「正社員の人貸し」要は客先に社員を常駐させて、毎月レンタル料を取るビジネス。

余談ですが、ITの資格はSESに入社するとき一番効果を発揮しました。理由としは人を借りてもらうための解りやすいエビデンスになるからです。

当時のSES需要

ぶっちゃけ常駐者の成果については、サポート外です。プロジェクトが失敗しようが、エンジニアにスキルがなかろうが、客先になんとか潜り込んで、常駐し続ける事ができれば、お金は入ってきます。

それでも、人件費のコストダウンで悩んでいる企業は多いので、案件は山のようにありました。

どうして需要があったのか?

人を自社で雇うのには、ものすごいお金がかかります。給料が高いとか安いに関係なく、人件費のランニングコストは半端なく高いんです。

しかし常駐で人を使うと、契約で決められた定額のお金を払うだけで済むの
で、人件費のコスト削減になる訳です。

当時、IT需要の増加に伴い、どこも人が必要なのに、会社・部署に人を雇う力のない会社も多かったので、じゃあSESでたくさん人を調達すればいいじゃん!・・と考える人が増えたのです。

当時、SES需要が爆発的に増えたため、スキルとか客先での成果とか関係なく、とにかく「人を常駐させる=売上」になるので、未経験者でもガンガン人を雇ってくれました。

なので、SESを経由すれば、簡単にIT業界に潜り込む事が出来たんです。

私がSESに入社した理由

少し端折りますが、私は当時ITのエンジニアになりたいと「一念発起」しました。しかし若さがあっても、未経験でエンジニアになるには、やっぱりハードルがありました。

そこで、色々と情報を調べた結果、SESという入口がある事を知り面接を受けてみました。私は未経験でしたが、狙い通り簡単に「内定」をゲットする事に成功しました。

話を聞く限り、色々と問題がある事は予想されましたが、私からするとこれは、ITエンジニアになる為の「賭け」だったんです。

私としてはとにかく「〇〇でこういう事をやってました」という実務経験が欲しかった。給与もめっちゃ安かったし、色々と怪しい点も多い会社だったのですが、手っ取り早く下積みをするにはこの方法が最善だと考えていました。

入ったらどうだったの?

入社すると精神論的な教育だけがありました。今で言う、技術・プロジェクト・ソリューション等についての教育は全くありません。

精神論的な研修を終えると、感想文を書かされます。ここで改善案として自分の意見を書こうものなら、後日説教の面談が入ります。

今考えると、この感想文は「踏み絵」だったのかもしれません。

案件ガチャ

そして、会社の洗礼を受けたら、次は常駐先となる案件に行きますが、これはハッキリいって「ガチャ」です。

パターンとしては以下の様にさまざま。当たりもあるんですけどねw

・仕事しながら資格の勉強をするだけの案件
・体調不良の人だらけの炎上案件
・大手企業の優雅な案件
・ひたすら単純作業を行う案件
・とにかくなんでもやります案件。

スキルとかキャリアプランなども一応聞かれますが、あんまり考慮される事は基本ないです。完全に「運」でした。

当時SESで有名だったヤバい話

ここからは、自分がSESにいたときに、肌で学んだヤバい話をいくつかご紹介します。

常駐する人が短い期間で何回も入れ替わる

振り返ってみると、当時のSESは高確率でこれが起きやすかったと感じます。理由は簡単で、適切なスキルを持ったエンジニアが、アサインされてないから当然です。

いや・・エンジニアならまだいいけど、管理部門のお姉さんにスキルアップとか吹き込んで常駐させてたのも見た様な・・

要はただの無茶振りだったんです。だから倒れたり、辞めたりなんて当然の様に起きます。そしたら、新しい人をまた探してアサインして送り込めば完了。

余談ですが、この様な事象を当時は【ドナドナ】とか【身代わり地蔵】とか呼んでました。

更に多重派遣が生まれる

案件はあるけど自社にはもう出す人がいない、もしくは、お客がそんなにお金を払えない、でも人をもっと出して欲しい!・・こんな感じで、案件はあっても人が出せない・・みたいな課題はありました。

ここで生まれた発想がこれ。

そうだ!もっと安い値段で他の会社から調達しよう!

・・という事をどこの会社も考える様になった訳です。しかし依頼を受けたSESも人がいなくて、更に自社よりも人の単価が安い会社を探します。

こうして2次請け・3次請け・4次請け・・がどんどん生まれていき【孫請け】【多重派遣】【多重下請】と呼ばれている構造に発展していったんです。

多重派遣は給与が安くなる

人が高くて雇えない企業が人を借りるビジネスですから、出向先で働く人同じ仕事をしても、その人よりも報酬が安くなるのは間違いありません。

さらに、3請け・4次請け以上になってくると、中抜きされまくって、エンジニアの給与はかなり低くなります。

自分の給与に納得いってない人は多いと思いますが、3次請け・4次請け以降のエンジニアは、ハッキリ言ってそんなレベルではありませんでした。

スキルもあるし、ちゃんと働いているのに、生活困窮を余儀なくされるレベルに陥ります。この状況は通称「ワーキングプア」と呼ばれていました。

更に怖いのは、気が付いたらキャリアを積まないまま歳を重ねてしまい、生活困窮から抜け出すのも困難な蟻地獄に陥る事です。

いまでは多重派遣は禁止されていますが、多重請負は今もグレーゾーンが多いので注意して下さい!

最後に

SESを悪く言うつもりはないのですが、当時の給与の安さや、無茶な仕事内容が原因で、エンジニアの生活を困窮させたり、たくさんの故障者を出していた事は否めないと思います。

でも、こういう会社を踏み台にして、要領よくステップアップした人も結構多かったです。ちなみに私にとってSESは、エンジニアは自分で自分の身を守り、価値をアピールする力が必要なんだ!・・と思わせてくれた経験となりました。

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