見出し画像

【腸活実践者向きコラム】 (5)腸の健康を超えた繊維の利点 〜健康と病気の子供のための食物繊維の利点〜

数回に分けて、健康と病気の子供のための食物繊維の利点という記事についてお届けしています。今回はこちらの続きです。単体でも読めるものです。

疫学的研究と介入研究の両方から得られたデータにより、食物繊維がコレステロール低下、血糖コントロール、便秘、大腸がんや憩室疾患の予防、体重コントロール、そして最近では思春期前の子供の認知力など、広範囲かつ長期的に健康に役立つことが一貫して示されています。

研究を意図した直接的な介入を加えず,診療や経過の成り行きをありのままに観察する場合は観察研究になります。一方,研究者が対象者に対して研究を意図した介入を加える場合は介入研究になります。

医学書院

SCFA(短鎖脂肪酸)は血流に入り(特に酢酸とプロピオン酸 、酪酸は腸内細菌叢で主に利用されるため)、T細胞の分化や関連する免疫、また免疫寛容を促進するなど、免疫系に有益な全身効果をもたらすようです。

SCFAはまた、アレルギーの発症を予防し、糖尿病、炎症性関節炎、炎症性胃腸障害、アレルギー疾患などの自己免疫疾患を予防・改善する効果が期待できる幅広い抗炎症作用を持っている可能性があります。

また、肥満や関連する症状及び、癌などの炎症性の慢性疾患に対する予防効果も期待できます。

酢酸は、肝臓および全身で重要な役割を果たし、コレステロール生合成の基質、エネルギー源、エピジェネティックな作用、脂肪細胞の分化および熱発生の調節に関与します。

プロピオン酸は、大部分が肝臓で排出されますが、肝コレステロール生合成および糖新生の調節に重要な役割を果たし、酢酸とともに、脂肪組織の代謝および炎症出力に影響を及ぼします。

これらの生理活性は、遊離脂肪酸受容体FFAR-1およびFFAR-2(それぞれGタンパク質共役受容体)によって制御される経路、またはヒストン脱アセチル化酵素活性のいずれかを介して媒介されています。

オーファン受容体のリガンド探索研究により, G タンパク質共役型の遊離脂肪酸受容体のファミリー (FFAR1,FFAR2,FFAR3,FFAR4,GPR84)が見出された。この脂肪酸受容体は,短鎖から長鎖までの鎖長の脂肪酸を識別し,様々な臓器で生理機能を果たすセンサ分子群であることが明らかになりつつある。その中で,FFAR1(GPR40),FFAR4(GPR120)は,どちら も長鎖不飽和の遊離脂肪酸を内因性のリガンドとする受容体であり,FFAR1 は,膵臓でのインスリン分泌に, FFAR4 は腸管でのインクレチン分泌および脂肪組織の制御など,代謝調節に重要な役割を果たすことが明らかになっている。

日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)146,296~301(2015)

2015年に実施された成人を対象とした疫学研究のメタアナリシスでは、食物繊維を1日7g増やすと、心血管疾患(9%のリスク低下、p<0.001)、出血性・虚血性脳卒中(7%のリスク低下、p=0.002)、大腸癌(8%のリスク低下、p=0. 02)、直腸がん(9%リスク低下;p=0.007)、糖尿病(6%リスク低下;p=0.001)

2019年のメタ分析では、これらの疾患のリスク低下は、成人の1日の食物繊維摂取量が25gから29gである場合に最も大きく、この食物繊維摂取量は全死亡の15%リスク低下と関連していました。

消化管の健康に関連するものだけでなく、こうした広範囲な健康上のメリットを最大化するために、子どもの1日の総繊維摂取量の最適な構成を定義するために、さらなる研究が必要です。

Hojsak I, Benninga MA, Hauser B, et al. Benefits of dietary fibre for children in health and disease. Archives of Disease in Childhood 2022;107:973-979.

BMJ

ご覧いただきありがとうございます。有料マガジンですが無料で記事を全て公開しています。腸活の実践が皆さんの健康な未来につながれば嬉しいです。また、ご支援いただけますと幸いです。

ここから先は

0字
腸活に必要な腸内細菌を活かす知識を月20本ほどの記事でお届けします。腸が変われば生活が変わり人生が変わる。

全て無料で公開しています!気づきなどありましたら、フォローしてもらえると嬉しいです。人の共生微生物である腸内細菌との関わりについて、腸活だ…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?