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セクシー田中さんから考えるうる星やつら2 ビューティフルドリーマー


ビューティフルドリーマーを初めて視聴


子供部屋おじさんの糞ニート、親のごく潰し、エンドレスエイトのような生活をしている当方が、先日、高校の友人に身元確認の体で、連絡を受けた。

その際、昨今の芦沢妃名子さんの逝去を受けて、ビューティフルドリーマーのような、原作ありきだが、脚本家の主体性のある作品がなくなるのではないかと話をしていた。
名作だと言う噂は、岡田斗司夫氏、山田玲司氏の話の中で、度々、登場するので、かねがね聞いていており、ファンも多いイメージだったが、未視聴であったので、今回、視聴してみることにしてみた。

押井守とうる星やつら


押井守氏の作品は、攻殻機動隊の最初の人形使いの映画を観たぐらいで、全然、詳しくなく、ニワカである。キャラクターが無表情なのがイメージとして、残っている。
うる星やつらは、真逆というか、諸星あたるは、女たらし。ラムは、理由は、わからんが、あたるを好いている。しのぶは、可憐だが、いざとなったら、力持ちで、口が悪い。
ドラえもん、サザエさんのように、一話見逃しても、大丈夫なキャラクターに重点を置いたフォーマットで、ドタバタを起こして、

ラム「もぉ、ダーリン!!」
電気ビリビリ
チャンチャン。また、来週!!

これが毎回のパターンである。
(当方は、93年生まれなので、フジテレビ制作なのに、テレ東系で、再放送してたり、キッズステーションを見て、育った世代であり、違っていたら、申し訳ない。)

押井守氏が作るには、食い合わせが悪く感じる。

押井氏が作るに当たった経緯


考察サイト等にて、
うる星やつら1 only youを作った際に、高橋留美子氏に称賛されて、続投することになったが、同時上映されたションベンライダーの方が世間的な評価を受け、やったもん勝ちな心境に至ったことが書いてあった。

それを反映するように、冒頭から、荒廃した世界。戦車。ハーケンクロイツ。ウルトラマン。ヤマト。などのタブーな要素が満載である。

また、知恵袋に、高橋留美子氏は、最初、しのぶをヒロインに据えていたが、編集部のごり押しによって、ラムがヒロインとなった。
と書いてあり、その中で、ラムとしのぶとあたるのドタバタラブコメで、結論(結婚)がなく、終わりがない作品が誕生したと言える。
良くも悪くも、セクシー田中さん同様に、原作者から、我々の手に届く前に、話が変容するのが伺え知れるところである。

それに業を煮やしたのが、押井守氏で、いい加減いつまでやっとんねん。

夢邪気「付き合って、られまへんわ」

には、その意図があり、ヘルメットには、"〆切"と書いてある。
そして、子供ラムに最後に、
「責任とってよね」
なんて、言わせちゃう。

これを見るに、押井守氏は、うる星やつらを辞めたかったのかなと感じる。

仏滅一丁目


本作中盤、諸星一行は、しもともひきから抜け出せなくなる。
ハイヤーで、抜け出そうとして、真実を知ることとなる。
その世界が異様なものに支えられ、浮遊していることに気付く。

その後、急激に世界が荒廃した世界に変容する。
ただ、あたるの家には、ライフラインとコンビニエンストアは、充実しており、諸星一行は、終わらない夏休みをenjoyしている。

個人的に、眼鏡が誰もいなくなった世界なのに、律儀に、借用書を記入し、判を押しているのが、好きなシーンで、眼鏡の人間性である、善人。もしくは、気の小ささをよく表している。

閑話休題。

この諸星一行をアニメの世界だとすると、諸星家以外の世界は、アニメーターの心情では、ないかと推察する。

毎日、朝から晩まで、夢の中のドタバタ劇を作画、アニメ化し、始発の電車で、帰宅するエンドレスエイトを繰り返す。
心は、枯れているが、絵の中では、あたるが女の子を追いかけ、ラムがあたるを追いかけ、面堂がラムを追いかける夢を描き続けるビューティフルドリーマーだと、荒廃した世界が伝えている気がした。

まとめ


セクシー田中さんで、芦沢妃名子先生がダムに身投げをするという痛ましい事件後、小学館やテレビ局等が岐路に立たされた中で、うる星やつら2 ビューティフルドリーマーとは、高橋留美子先生を怒らせた作品として、有名だが、うる星やつらというフォーマットの上で、成り立つ作品だというのは、理解できるが、それが、原作者から離れ、色々な大人たち、世間との間で、溝ができ、末端のアニメーターが原作者に終わらせてくれと訴える作品が世間で、名作となってしまうというのも皮肉だなと感じた。

妙に艶っぽい給湯室のシーンで、しのぶが

「ある人がある人を気にして、残っているんで、私としては、そのある人が気になるから残っているわけよ。ただ、そのある人が気にしているある人は、そのことに、全然、気付いてない訳。これって、わかる。」

と言っているのは、視聴者には、ラムと面堂の話だと認識するが、それが考察してみると、アニメ業界の入り組んだ構造とも捉える事が出来る。

本作を見て、原作者サイドの話が乱立する中、制作者サイドから考察してみた。
当方は、徳力基彦氏のnoteがセクシー田中さんの件で、一番、腑に落ちたので、自分の意図しない形で、芦沢紀名子先生は、キング牧師やマルコムXのようなシンボリックなものにされるのを恐れて、この世界から離れたと推察する。怒りのスパイラルに飲まれないよう気を付けようと心に刻まされる。

その上で、ビューティフルドリーマーという作品は、これからの時代ない方がいい作品だと感じた。原作者がNOと言えるのが、正義だと心から思う。

少なくとも、ハーケンクロイツは、やめましょうよ。


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