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ユーラシア大陸横断⑨ 【イルクーツク 1日目 ロシア人とマンションに不法侵入編】

2018年1月13日、僕はロシアのイルクーツクにいた。もう2年半経ったなんて信じられない。それでいて、ずっと前の出来事のようにも感じなくもない。前回の記事から1年以上経ったのだが、ふとあの時を思い出したくなったので、旅行日記を片手に続きを書こうと思う。

バイカル湖を見にリストビヤンカへ行った僕とニキタは、午後にはイルクーツクに戻った。彼はイルクーツク市内を案内してくれた。町外れにあるロシア正教会や街一番のショッピングモール、それにロシア連邦保安庁(旧KGI)の支部など。

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あてもなく歩いたあと、彼はふと高いところからイルクールクの街並みを見てみたいか?と聞いてきた。行きたいと二つ返事で答えると詳しい友達を呼ぶからと何やら電話を掛け始めた。暫くして彼の友人が来た。マークというらしい。高台にでも行くのかなと思いながら、彼らについて行くと、着いた先は15階建のマンションだった。

なるほど、マークの家なんだなと納得していると、マークが「バールのようなもの」をリュックから取り出し、玄関の扉をこじ開けだしたのだ。ロシアでは安マンションでもしっかり玄関にロックが付いている。このマンションも例外でなく、電磁錠が付けられている。

暫くこじっていると大きな音を立てて扉が開いた。マークが得意げにニヤッと笑ってきた。聞くとここの錠だけ磁力が弱く、簡単に壊せるらしいのだ。そうやって時々このマンションに登りに来ているらしい。

ニキタもマークも僕からは随分大人に見えていたが、まだ18歳なのだ。やんちゃしたい時期を引きずっている。はしゃぎながら階段を駆け上がる2人を見ているとちょっとくすぐったく感じた。

屋上は想像より高かった。確かにそこはイルクーツクで一番高い建物かもしれない。太陽が沈んだイルクーツクは、街に明かりがつきはじめていた。

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イルクーツクの街は美しい。自然もあり、都会的なところもある。多分、これから行くモスクワほど俗化していない。日本でいうと函館といったイメージか。もうこんなイルクーツクのマンションに登ることなんて一生ないんだろうな、そう思うとすごく感傷的な気持ちになった。

暗くなる前にマンションを降り、今夜僕を泊めさせてくれるホストのもとに向かうため、バス停に向かった。ニキタともここでお別れだ。たった1日の出会いだったのにとても寂しい。「素敵なカメラマンになって日本に遊びに来てね」そう言って別れた。


イルクーツク2日目に続く。

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