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(スノユギ=ロドン=アの百年に及んだ大喧嘩が終結したことで町は活気だっていた)
スノユギ=ロドン=アの百年に及んだ大喧嘩が終結したことで町は活気だっていた。ここだけじゃないさ、もう半年も国中がお祭り騒ぎだ。肉屋の親父はそう言うと私に霜降りの上等のをひとつ放って寄越した。持って行きな。彼はそう言うと歯をむき出してにっと笑った。私は彼に礼を述べようとしたが、彼は大げさに手を上げてそれを制した。いいんだって、何てったってお祭りなんだ。三年は続くだろうな。全く今日は良い日だ。向こう
もっとみる(母なる星の体内より -地球の生命に憧れて-)
夏なのに 冬みたいに空気が澄んだ 夕刻でした。
僕は犬と散歩しながら 空を見上げました。
その空の西側は雲が炎みたいに朱く染まっていて、
それでいて空のそのものは水色をしていました。
そして東側の空は海の中みたいな暗い青で、
それが西側の朱と対象的で とても美しかった。
その日は冬のような空気だったけれど、大気中には草のにおいが
感じられて、思い切り吸い込むと なんだか自分まで澄みわたるよう
(M・エンデ『モモ』より)
タタタタタタタタ。駆けて来たのはMomo。(これがこの物語の主人公の名前。覚えておいて! 上唇へ下唇をくっつけて、鼻の内側を響かせながら口から――ォと息を出す。それを2度。も。も。)
辺りは草、草、草。Momoは耳をすます。耳をすます。
耳! 耳!
すると――
花!
Momoはにっこりと笑って花を見つける。彼女はくしゃくしゃの頭を揺らして、花へしゃがんだ。じっと見、じっと見る。
("A Thousand Winds" より)
私の墓に立って泣くのはお止め。
私はそこには居ない。
眠ってはいない。
私は千の風の隅々に居るし、
雪の白銀の輝きの中にも居る。
麦がたわわに実れば、そのひとつひとつの輝きが私だし、
あの穏やかな秋雨だって私なのだ。
君が静かな光の中で目を覚ませば、
私はちょうど上空に向かって
鳥たちをくるくると延び上がらせている所だし、
日が暮れれば、
私は柔らかな星の瞬きとなる。
私の
(俺の知らない人が死ぬ)
俺の知らない人が死ぬ。
俺に無断で死ぬ。
俺に無関心なまま死ぬ。
俺の方も見ずに死ぬ。
俺にあの親しい視線を投げかけてくれない。
君は死ぬのに、
君は死ぬのに俺がれんびんをはねつける。
君は死ぬのに俺からは何も受け取らない。
君は死ぬのに俺に助けを求めず命乞いをしないのはなぜだ。
知らない人が知らない所で死ぬ。
知らない人人の間で死ぬ。
俺はそれを知っているのに。
君は知らないふりをする。
君は