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漫画キングダムから学ぶ会社経営 #13:未来志向のコンプライアンス

本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は13回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。

今回のテーマは「コンプライアンス」についてです。

コンプライアンスとは、日本語では「法令遵守」と訳されますが、単に「法令を守ればよい」ということではありません。法令を遵守するのは人や企業として当たり前のことですが、コンプライアンスには、「法令を遵守する」ことに加え、「社会的ルールに従って企業活動を行うこと」という意味があります。

企業になぜコンプライアンスが求められるかというのは、過去の経営のあり方や、様々な不正などから得られた経験を基に、企業にはお金を儲け、雇用を創出すれば良いだけではなく、企業の社会的責任(CSR: Corporate Social Responsibility)が求められている事に由来します。現在でもニュースで聞きますが、20-30年前には、粉飾決算、リコール隠し、偽装事件、インサイダー取引、など、あからさまな違法から、賄賂、過剰接待など、個人的な違反行為も日常的に行われていたと聞きます。小学生が習う倫理、道徳的なものの企業版と思って頂ければ良いと思います。

話を、キングダムに移します。

キングダム内において、コンプライアンスなどあるのでしょうか?一見、キングダムでは戦争による殺戮、また、略奪、強姦など一部無法地帯となっている社会情勢が見えます。確かにそういった行為、描写は多々見られ、特に桓騎軍や、信が三百人将の時に切った千人将乱銅など、コンプライアンスとは無縁の人間も多数います。しかしながら、戦国7雄すべてが、国として、完全に無法地帯と化していないのは、最低限のコンプライアンスというのが存在しているからだと思います。

秦国では、現在のコンプライアンスと比べると粗いですが、戦争時において、以下少なくとも3つのコンプライアンスに沿ったルールを設けています。これらを違反した者は国により裁かれます。

1) 大将絶対命令
前回の記事で、秦国はチーム制組織を組んでいると説明しましたが、このようにチーム制組織では、普段の縦の繋がりがない仲間(他軍の武将)と意見が食い違ったりする事もあります。特に同じ位の武将同士では折り合いがつかなくなる事もあります。(会社でも、同じプロジェクトチームにいる同じ役職の他部署の人と、意見が食い違って話が進まないなんて事は日常茶飯事だと思います)。そこで、組織として動く以上、そのチームの絶対的な意思決定者が必要になってきます。それが、総大将であり、総大将の命令は、その戦において絶対なのです。

大将命令

2) 仲間同士の斬りあい禁止
上記でも記載した通り、チーム制組織では同じ国の人間でも意見が食い違い、喧嘩をする事はよくあります。そういった際に、どんなに憎くても、仲間同士で斬りあいをする事は禁じられています。当たり前ですが、そのような小競り合いは戦においては全く持ってマイナスだからです。黒羊の戦いにおいて、信や羌瘣が桓騎軍の兵を斬った行為は、背景や理由はどうあれ、後に国により裁かれ、信の慶舎討ちの手柄は相殺されます。

3) 意味のない殺戮、略奪の禁止
もちろん、そのような事を陰でやったり、大将が見て見ぬふりをする場合はたまに描写されますが、これも、戦の目的とは違うため、基本的には禁止されています。そのような事を公に認めてしまうと、本来の目的とは違う輩が多数現れ、統率できなくなるからです。

このようなコンプライアンスのルールが存在する背景には、一つは、戦を効率よく勝利に導く為ですが、実はもう一つの理由として、国の目標である中華統一した際の話と大きく繋がります。国を滅ぼし統一した際に他国の人間を納得させる為に国としての社会的責任を見せる必要があるのです。そうです、CSRが求められるのです。統一する前から明確なコンプライアンスを設ける事により、統一後の反乱などを未然に防ぐ意味合いがあると考えます。

私はこれは、戦神昭王と現秦王嬴政の考え方の大きな違いだと思います。昭王時代、六将の一人白起が40万人の長平の趙人を降参しているにも関わらず、女、子供関わらず、生き埋めにしました。このような行為はあの時代には許されましたが、その結果大きな遺恨を産みます。もし、当時趙国を滅ぼし、秦国の一部にできたとしても統一は上手くいかなかったでしょう。現秦王嬴政は統一後の世界を明確に描いており、少なくともこのような統一後の国民の遺恨を減らすべきだと考えています。コンプライアンスは現在に留まらず、未来の組織の行く先を見据えた重要な施策になっています。

コンプライアンスは今となっては企業にとっては当たり前の事ですが、その当たり前の意味を考えるのは会社や組織を運営するにあたり非常に重要になります。これを機に、コンプライアンスを含めた会社内におけるルールや規則を一度見直してみてはいかがでしょうか。

では、また次回。

注)写真はすべて漫画キングダムより引用

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