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漫画キングダムから学ぶ会社経営 #47:小国が生き残る手段 - 2

本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は47回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。(各記事は基本的に、キングダム最新巻までのネタバレを含みますのでご了承ください。)

前回は「#46:小国が生き残る手段」として、戦国七雄の中で最小の国、韓に注目し、韓が小国ながら唯一無二の存在になり、どのような生き残り戦略を実践しているのかを、現代ビジネスと照らし合わせて考察しました。まだお読みでない方は、上記リンクよりお読みください。

さて、前回、折角小国の話をしましたし、小国の生き残る手段と言うのは、現実的で実践的なので、今回も引き続き、小国が生き残る手段part 2として、キングダム内で登場したさらなる小国2国について話をします。

まず、1つ目は、単行本24巻に登場した「徐国」と言う国です。徐国は国と言っても、森に囲まれたたった一つの城で成り立っており、どこの大国にも属しません。しかし、各国に存在が知られていないのではなく、隣接している楚、魏、趙各国から庇護を受けて、その代わりに情報の流しを生業に生き残っている小国になります。楚、魏、趙からすると、この国を取るよりも、他国の細かな情報を入手する方がよほどメリットがあり、徐もそれを理解しているので、このような関係が成り立ちます。

しかし、キングダムで描写された通り、その存在を知らなかった韓などに見つかってしまい、簡単にやられてしまうリスクもあります。韓のような戦国七雄では最小の国でも、他の小国からすると大国に見える中途半端な国は、自分より弱いものを見るとここぞとばかりに調子に乗る傾向があり、まさに典型例になります。ビジネスでも、大企業には全く頭が上がらない中小企業が下請けの町工場などに、日頃のうっぷん晴らしとばかりに威圧的な態度で接するような事は多々あります。個人でも同じような人はいます、上司や目上の人にはペコペコしているのに、自分の部下や若手には高圧的な態度を取る人です。こういう時はどうしたら良いか、とにかく証拠を取っておき、上に報告する事です。上もそんな人間の態度はもちろんよくわかっていますが、報告がない限り、中々動かないと言うのが残念な現状です。徐国の長老も、楚、魏、趙に報告し、庇護を求めるから大丈夫だ、と言って話は終わります。

徐

2つ目の国は、最近、秦魏の同盟国と戦った什虎城の城主満羽の母国、「汨国」です。汨国は規模は違えど徐国のように一城からなる小国でしたが、満羽という圧倒的な武力をもった将軍の下、楚からの侵攻を防ぎ続けます。あの汗明軍をも引き返らせたとの描写もありました。しかしながら、数が物をいう戦争の世界では、限界があり、徐々に兵は削られ、国王含めた民の士気は下がります。一人抗い続ける満羽でしたが、楚軍兵と思って殺した相手が、すでに降参していた元汨国民だという事を知り、失意し、遂には楚に降参します。非常に切ない話ではありますが、これも現代ビジネスでは充分に考えられる設定になります。ある小さなベンチャー企業が立ち上げたサービスやシステムが非常に優れており、大企業に買収を持ちかけられ、最初は友好的な買収案だったが、ベンチャー創業者の一人が最後まで足搔き続け、最終的には金に物を言わせた敵対的買収になってしまうような話です。ここで、最後まであがき続けた創業者はどうすべきだったのでしょう。会社の経営者として、サービスよりも社員を守る事を第一に考える必要があります。ベンチャー創業者のような人は、大きく2タイプいます。まずは、とにかく儲ける事を前提に考え、金にする為にシステムやサービスを作っては売る。もう一つは、こだわりと自負を持ったサービスやシステムの開発を行い、売却などは毛頭考えない。どちらもベンチャーらしいのですが、システム開発と会社経営は別物です。会社を経営するという事は、社員を雇用する事になります。つまり、社員の為に行動する事が求められます。売却が会社、強いては社員にとって喜ばれる手段であるならば、それを検討するのもベンチャー経営者には求められます。

満羽
一般的に、小国や中小企業は大国や大企業と比べて、苦労する事も多く、選択肢も限られる事は知られていますし、実際そうのような苦難に直面する事も多いのも事実です。しかし、小国や小さい組織だからこそできる事もあります。自分の立場を客観的に判断し、その最善解を出せば、どのような境遇、背景があろうと、道は開けます。人は生まれや親などは選べませんが、その後の人生は自分で選択できるのです。何を求め、どのように生きるのか、悲観ばかりではなく、前向きに物事を考える事で、納得する人生を歩めます。

漫画で感情移入するという事は、自分がこの立場だったらどうするかと考える最高のシミュレーションになります。普段大企業で働いている方は、このような小国の王や将軍だったらどうすべきか、ベンチャーや中小企業で働いている方は、自分が楚の宰相だったらどのような経営(政治)手段を取るであろうか、などと考える事は、今後、そのような立場のビジネスパートナーと仕事をする際に役に立ちます。

キングダムという漫画は、そういった意味でより実践的なビジネスセンスが磨かれる一つの娯楽として、楽しみがあります。

今回は小国が生き残る手段Part2として、徐国や汨国を例に考察しました。大企業、大きな組織で働いている人はスルーしそうな場面ですが、たまには自分と違う立場の人達の思いを考えるのも良いでしょう。

それでは、また次回。

注)写真はすべて漫画キングダムより引用

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