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漫画キングダムから学ぶ会社経営  #2:平等かつ積極的な人事戦略

本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。

今回のテーマは「人事戦略」についてです。その中でも人材登用について触れてみたいと思います。

皆さん、キングダムを読んでいて、人間関係で腑に落ちなかったり気持ち悪い所が少ないと思いませんか?これは恐らく国レベルでの人材配置が適材適所で、それぞれの役割にあったキャラクターが要所を占めているからだと思います。つまり、何故この役立たずが将軍なんだ!何故こんな優秀な人間がずっと一歩兵なんだ!といった事が少ないのです(もちろん、個人的な好き嫌いでそういったキャラクターはいますが、客観的に見るとどれも納得できます。)。
これは、巨大組織である会社にとっても非常に重要な事で、皆当たり前だと思っているのですが、実践できている会社はあまり多くありません。皆さん、自分の会社を見渡してください。自分の部署の人間は全員適材適所で仕事を行っていますか。自分の上司の為に命を張るくらいの覚悟がありますか。自分の部下は全員自分を慕っていますか。当たり前だけど難しいのが人間関係なんですね。しかし、会社というのは利害関係がある以上、ある指標に基づいて人事評価すればある程度は平等に人事配置できるのです。

話をキングダムに戻すと、キングダム内(特に秦国)で人事戦略が上手くいっている理由は以下になります。

1) 身分や出生地が関係ない。
これは主人公の信が元下僕である事からお分かりの通り、キングダムでは生まれ持った身分で全くチャンスがないという事はあり得ません。(厳密にいうと、下僕は戸籍がないので、戦場には行けないとの事ですが、それも信は乗り越えて戸籍を得て戦場に行きます)。また、飛信隊も初期メンバーはほぼ農民の出ですが、戦場で成果を上げれば全く関係ありません。
もちろん、王賁や蒙恬のように名家の生まれはお金持ち故の優遇は多少ありますが、最終的に将軍になるには皆規定以上の成果を求められます。
また、これは個人的に面白く感じたのですが、キングダムでは出生地もそれほど出世には関係ないという点があります。第一回でも登場した昌平君は楚の出身ですし、大将軍であった蒙豪(蒙恬の祖父)は斉の生まれで、様々な国を経て最終的に秦に至ります。これらは漫画だからではなく史実に基づいているので非常に興味深い事です。
未だに日本の会社では、派閥やコネ入社、入社だけならまだしも、出世にまで仕事のパフォーマンスとは関係ない要因が発生します。その結果、何故Aさんが出世して。。私なんかがんばっても正当に評価されない。。という事が起きます。さらに、多くの会社では性別や国により出世の機会が限られるようなケースも後を絶ちません。

授与

2) 完全なる成果主義。
秦国では、完全に成果主義です。活躍した人、貢献した人はだれでも出世し、名誉とお金を得ることができます。上記でも触れましたが、信や飛信隊などは典型的な例です。また、非道かつ元夜盗で知られる桓騎も秦国を代表し、大きな戦の総大将を任される将軍です。それは何故か。結果を残し、今後も活躍が期待できるからです。
これは身分が低い人間だけでなく、身分が高い王族や貴族にも非常に有益な評価制度になります。身分が高く、将来が保証されると人間は、冒険や危険は冒さずに当たり障りのない生活をしてしまい、中には、身分の上下だけで、人を虐げる輩も出てきます(実際に漫画にも出てきますが、基本出世しません)。これは組織にとって好ましくありません。常に皆が緊張感や目的意識を持って生活する事によって大きな組織を動かす事ができるのです。

これらは、戦場で戦う人間だけでなく、秦国では政治にも適用されています。
秦国で長年丞相、相国を務めた呂不韋は、元は身分の低い商人で、秦国の生まれではありません。また秦王3代に仕え、丞相も務めた蔡沢も生まれは燕国になります。当時の他国の状況はわかりませんが、秦国が他国よりも門戸を開き皆にチャンスを与えていた事が伺えます。優秀な人材は周りにも良い影響を与え、かつ、さらに優秀な人を呼びます。

秦が最終的に6国を滅ぼし中華統一できたのも、根本にはこのような積極的かつ平等な人事戦略があったからではないかと思っています。

もちろん、単純な話ではなく、例外もあります。が、大事なのは組織が大きくなるほど、明確で平等な人事戦略が重要になってきます。人事戦略とは人材の出世や登用だけではありませんが、今回挙げたのは一つ大きな例になります。

今回は国という大組織にとっての人事に絞りましたが、もう少し小さな各隊の特徴として、勝てるチーム作りなどのテーマでもそのうち触れたいと思います。

では、また次回。

注)写真はすべて漫画キングダムより引用

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