漫画キングダムから学ぶ会社経営　#28：セグメンテーションとポジショニング

本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス（特に経営）での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は28回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。

さて、前々回からマーケティングに関するトピックでキングダムと照らし合わせて深堀しています。前々回は「#26：市場を理解する」と題して、市場理解に関して李牧の凄さについてまとめました。前回は「#27：ブランディング」をテーマに、武将がどのように自軍をブランディングし戦いを優位に進めているのかをまとめました。まだ読んでない方はそれぞれリンクからお読みください。

今回のテーマは「セグメンテーションとポジショニング」です。

「セグメンテーションとポジショニング」はマーケティングにおいては基礎ですが、一般的にはあまり馴染みのない言葉かもしれません。「セグメンテーション」とは英語でSegmentationと記載し、日本語では「区分化」や「細分化」とでも訳すのが適切でしょうか。つまり、狙っている市場において、ターゲットを明確にする為、市場やユーザー、顧客を細分化し、それぞれの特徴及びニーズを把握する事になります。例えば、男性用化粧品というマーケットにおいて、ざっくり全ての男性をターゲットにするのではなく、年齢、職業、地域など統計的なデータから、さらに深堀して、趣味、志向、交友関係、好きなタレントなど、細かいながらに、どういった購買層が考えられるのかを分析する手段になります。「ポジショニング」とは、その分析したセグメントにおいて、どのように、自社製品またはサービスを競合と差別化しながら顧客ニーズを満足させるために展開していくのか、重要な戦略部分になります。セグメンテーションとポジショニングの間に、ターゲティングという過程ももちろん入りますが、ターゲットを決める事は当たり前なので、ここでは割愛します。これらをまとめて英語の頭文字からSTP分析と言いますが、詳しくはマーケティング関連のビジネス書をお読みください。

さて、キングダム内、つまり戦においてのセグメンテーションとポジショニングとはどういう事でしょう。セグメンテーションは敵軍や地形、その他情報（兵糧数など）の分析になります。大きな戦であるほど、この分析が重要になってきます。例えば、相手軍は計何万人で、主要な将軍は何人で、それぞれの特徴、また、戦場の地形はどうなっているのか、など。多角的かつ、客観的に分析する必要があります。その分析を基に、自軍のどの武将をどこに配置し、どのような戦略で戦うのかを決めるのが、いわゆるポジショニングになります。

良い例として、最近ようやく決着した、鄴攻めの戦いについて秦軍（王翦）の視点で考えてみます。

鄴攻めでは、秦軍は大きく3軍の構成となっていました。この3軍をうまく使って最終目的である鄴を落とす事が求められていました。鄴という巨大で完璧な城を自身の目で確認した王翦は、鄴の城攻めではなく、周りの小さな城から鄴に人々を移し、食糧を絶つ戦略にでます。そこで、鄴を囲い込み、周りから食料を運送できないように、3軍の１つである桓騎軍をまず鄴に配置します。さらに、大きな軍が鄴に助けに入らないように、自軍及び楊端和軍の2軍を分離させ、各地で戦いに出ます。これは、先ほどの男性用化粧品の例で考えると、まず第一段階で大きなセグメント３つ（２０代男性全般、３０代サラリーマン、５０歳以上のレオン憧れおじさん）にターゲットを絞り、各々の戦略をぶつける形になります。次に、王翦は自軍の戦いである朱海平原の戦いにおいて、相手軍李牧軍の各将達の特徴、強さ、及び李牧の知能、また、鄴の食料が尽きるまでの時間を逆算し、自軍の各武将を配置に付けます。これは、先ほどの男性化粧品市場においては、一番市場規模が大きい２０代男性全般で、さらに、ターゲットを学生、ベンチャー系サラリーマン、総合商社系サラリーマンなどに細かく細分化し、それぞれの戦略を各担当者に任せるイメージです。ここからは、各武将及び軍に戦略を委ねます。例えば、最激戦区となった秦軍右軍は、亜光軍、玉ほう隊、飛信隊の３軍で趙３軍（後に４軍）に臨みます。どのようにポジショニングを取るかは各将及び軍師が担う事になります。より細かい、実践的な戦略が求められます。またまた、男性用化粧品の例に戻ると、ここでは、細分化した２０代ベンチャー系サラリーマンをターゲットを任せられたチームはどのように売りをあげるのか、各自で行うイメージです。もちろん、具体的で細かい戦略が求められます。余談ですが、ここで王翦は右軍の戦略に対して細かい口出すをする事はほとんどありませんでした。これは非常に優れたリーダー資質だと感じました。優秀なリーダーは致命的な誤りがない限り部下や若手に任せる事で、彼らの成長を促し、結果チーム全体を成長させます。その軍の総大将は、ビジネスにおいての事業部長のような役割が求められます。その市場においてビジネスを獲得する事はもちろん、今後の為の若手育成など中長期的な成長も求められます。

今回は、マーケテイングにおいて重要なセグメンテーションとターゲティングについて、キングダムではどう関連しているのかを考察しました。

それでは、また次回。

注）写真はすべて漫画キングダムより引用