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博士号取得の近道。こんな研究室は個人的にオススメしない2選。

かつて私も博士課程取得を頑張っていた。が、色んなゴタゴタに巻き込まれて、諦めてしまった。最近noteで科学系の記事を書くようになってから、実験したくてウズウズしている。

博士課程に進学はしたけど、修士と違って右も左も分からなかった。これは、諦めてしまった理由の一つに含まれている。もしも、別の研究室だったら諦めずに頑張れたかもしれない。

オススメしない研究室とは、ブラック研究室のことではない。それでは具体的にどんな研究室かを話してみよう。※あくまで個人的見解です。

その1. 博士課程学生がいない研究室

博士課程を取得するにはこんな研究室はススメない.002

特に地方大では多いと思われる。大卒の就職率が90%以上である今、ほとんどが学部卒、修士卒だ。博士課程の学生はいないか留学生が多い。これは博士課程取得をするための研究室選びでは、最優先事項だと私は思っている。

一番何が困るかというと、取得までのノウハウが一切分からないことだ。わかりやすい例を挙げよう。たとえば、自分で寿司屋を開業したいと考えたとき、どうやって握りたいか知りたい。それなら、寿司屋で修行するか専門学校に入って手取り足取り学んだ方が早い。

一方でレクチャー本を読む、動画を見て学ぶなど独学でやる場合は、時間がかかってしまい、さらに自分の寿司の握り方が正しいかどうか分からない。疑心暗鬼に手探りでやる状態だ。

これは博士課程学生でも同じことが言える。どのように研究や実験デザインをすれば良いか、学振はどうやって申請すれば良いか、論文はどうやって投稿するのか、査読者からの質問に対するディフェンスはどうしたら良いのか。指導教官に聞くのも当たり前だが、ディスカッションの時間が十分に取れないことがある。

直接聞くノウハウは決して独学では手に入らない。博士課程の学生がいれば、ロードマップが簡単に手に入るのだ。さらには、精神的に支えてくれるメンターにもなってくれる。僕が学会に参加したとき、有名大のラボは博士課程の学生が普通にいることが、とてもうらやましかった。

博士課程が自分一人でも不可能ではない。だが、下の学生のまとめ役やメンターを任せられるうえに、雑用仕事を押しつけられるケースがほとんど。場合によってはトカゲの尻尾切りのように、何かトラブルがあれば博士課程学生の監督不行届にされる。

節々に聞く、「博士課程に進学したら一端の研究者。」という考え方が僕は大嫌いだ。学生はあくまで学生。博士課程の先輩がいた方が、博士号取得もスムーズである。

周りにいない場合はSNSで博士課程の友人を探そう。博士課程の取得条件は違うかもしれないが、研究者としてのスタンスやノウハウを共有することができる。

その2. 大講座制の研究室 (教授の下は特に)

博士課程を取得するにはこんな研究室はススメない.003

小講座制の研究室とは、教授というトップの下に准教授や助教授が就いて、その下に学生がいるといったように、一つの研究室として扱われる。

小講座制は教授の仕事がダウン式で廻ってくる。教授の学術論文の執筆は准教授か助教が代わりに執筆する。その代わりに、准教授と助教の業績になるからwin-winだ。

さらに、学生の指導も助教か准教授が手厚く行う。取得条件の論文を書けるうえに、自分の共著にもなることからここでもwin-winの関係が生まれる。

デメリットとしては、完全な縦関係であるため指導方針は下のストレスは相当大きいことだが、学生に取っては直接ノウハウを学べるうえにプロと一緒に現場で実験できる。メリットは断然大きい。

大講座制の研究室は、教授や准教授、助教授がそれぞれの研究室を持ち、その下に直接学生が就くといったように、それぞれが独立している。

その代わりに合同研究室として運営することが多く、研究費や機器などを共有することができる。理学部などの低予算研究室では、このような形態が取られている。

メリットは、准教授も助教のストレスが一切ない。しかし学生、特に教授の下に着いた場合は、デメリットが断然大きい。その理由は、教授になると会議や講義などの雑務が増えて、自室に籠りっぱなしになり、研究の現場から離れることに由来する。

そのため、新しく実験をするにしても、自分一人で調べて実施しなければならない。助教や准教授を頼っても自分の学生指導で精一杯だ。従って、みっちりサポートしてもらえないし、何もかも自分でやらなければならない。一端の研究者になるにしても、擬似OJTぐらいはやりたいもんだ。

大講座制の合同研究室でよくあるのは、教員の人間関係の問題。たとえば助教や講師、准教授が論文を執筆していない場合、教授が注意するのは普通だが、独立した場合は横一線になるので、簡単に注意することができない。論文を執筆するのは仕事である。

私の指導教官もそうだった。論文を数年間投稿していない講師に対して「執筆したらどうですか。」と進言することはできないと、研究員にボソッと呟いていた。ちなみに当時いた大学には、12年も論文を書いていない先生もいる。

指導教官は講師の学生を優秀と褒めている。そりゃ現場で一緒に実験していて、かつデータも肩代わりしてもらえればあたり前の話だ。下手したら、その教授の学生に罪を擦りつけることだってある。

学生の人間関係もこじれるケースがある。「この機器を購入したのはうちの指導教官だ!」と威張り腐っている女学生が実際にいた。教授の学生に責任転嫁することだってある。

何が言いたいかというと、教授が現場を知らないのは非常に危険なことだ。下手すれば、助教や准教授は好き放題ができる。非常に不利な立場に立たさせることが多い。独立した研究室に行っても良いとは思うが、合同研究室だけは絶対オススメしない。私がそうだったからだ。

総論

自分がやりたい研究は何も学生のうちでなくても良い。ポイントは学位を取得すること。博士課程を修了して、プロになってからが研究者としての本番と私は考える(実際なったことはないのはご了承願いたい)。環境選びとはそれほど重要なのだ。

博士課程での研究が、自分の実力と錯覚してはいけない。独立したら、一から機材等を準備しなければならない。これは起業やフリーランスと同じ考え方だ。

読んでいる学生には博士号取得をしてもらいたい。少なくとも私のようにはなってもらいたくない。散々言ってきたが、別に博士課程学生がいない大講座制の研究室でも良い。自分が納得できるところで、博士号を取得してもらいたい。


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