吉乃直

吉乃直(よしの なお)といいます。妹好き、兄妹好きのラノベ作家志望です。小説家になろう…

吉乃直

吉乃直(よしの なお)といいます。妹好き、兄妹好きのラノベ作家志望です。小説家になろう、カクヨムを中心に活動してます。

最近の記事

『義理チョコは溶けるか』

 私――尾崎真白には血の繋がっていない、義理の兄がいる。見た目こそ悪くないけど普段からだらしないというか能天気。服装にあまり頓着していないし、リビングで見かけるときはいつも縁側でくつろぐ老人のような雰囲気を醸し出している、そんな兄貴だ。  なにより情けなく感じるのは二月十四日、いわゆるバレンタインデー。私が中学に上がってバレンタインというイベントを認知してからというもの「誰からもチョコをもらえなかった」と露骨にアピールしてくるのだ。しかも挙句の果てには土下座で「誰からもチョ

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    • 【短編小説】イブの来訪者

       なんとなしにインスタを開いてみると、画面上に友人たちのストーリーがずらりと並んでいた。大抵は恋人とのツーショットやイルミネーションの写真ばかりで、たまに野郎の集まったむさ苦しいパーティーの光景も流れてくる。対して俺はというと、セキュリティ万全なマンションの一室、だだっ広いリビングに一人でいた。  十二月二十四日。いわゆるクリスマス・イブである。今年は土曜日ということもあって、昼間から大勢の若者が街を行き交っていたらしい。実際に目にしたわけではないから、ネットやテレビの情報

      • 【短編小説】トランクスが盗まれた日

         トランクスが減っていることに気づいたのは、ほんの数日前のことだ。  うちは母さんが洗濯物を畳んで部屋に置いてくれていて、平日は学校から帰宅してから自分で衣装ケースにしまっている。  その日もベッドの上に洗濯物が置かれていたのだが、尿意に襲われていた俺は鞄を置いてからすぐトイレに向かった。無事用を足して部屋に戻った俺は、そこで違和感を覚えた。  しばらく室内を見渡して違和感の正体を探して、俺はトランクスが減っていることに気づいたのだ。  鞄を置きに入ったときは紺色のト

        • 【短編小説】今日も妹に慰められる

          「好きです付き合ってください!」 「ごめんなさい。面白い人だとは思うけどシスコンはちょっと無理です」  この間わずか二秒。あまりの即答に俺・寿人は膝から崩れ落ちた。  彼女は足早に去っていき、俺はひとり中庭に残された。頬を撫でる秋風がやけに冷たい。  全身全霊で臨んだ告白を断られ心身ともに凍えていると、校舎の陰からゲラゲラと笑いながら小学校からの友人・幹人が現れた。 「いやあ、まさかあんな一瞬で決着するなんてな。フラれるにしてももう少しかかると思っていたんだが」

        『義理チョコは溶けるか』

          吉乃直イチオシ! 妹キャラ3選

           妹!(挨拶)  どうも、吉乃です。今回は短編小説ではなく、妹好き(兄妹好き)な私が独断と偏見で決めた、特にイチオシの妹キャラの紹介をしたいと思います。けして、短編のネタが思い浮かばないとかそういうわけではありません。ありませんから。  それと断っておきますが、今回紹介するのはひと際好きな妹たちというだけで、紹介しなかった妹たちと優劣があるわけではないのでご了承ください。妹は妹というだけで至高の存在なのですから。 ・姫小路秋子(ひめのこうじあきこ) 一人目は、MF文庫Jよ

          吉乃直イチオシ! 妹キャラ3選

          【短編小説】卒業旅行とナンパ

           3年間の高校生活を終えて3月の中旬。俺――曲渕拓夢は友人たちと共に2泊3日の卒業旅行に来ていた。といっても場所は県内のちょっとした観光地だけど。  そして2日目の今日――俺は一人でナンパに挑んでいた。  言っておくけど俺は普段からナンパをするタイプじゃない。なんなら高校3年間で日常的に女子と話してすらいない、異性とはあまり縁がない男子高校生だった。  ならどうして旅行に来てまでナンパしているのか。それはひとえに俺が弱かったからだ。  さかのぼって昨晩のこと。俺たちは

          【短編小説】卒業旅行とナンパ

          【短編小説】妹の恩返し

          「おかえりなさい、お兄ちゃん♪」  笑顔で迎えてくれた妹――エリちゃんに俺は同じく笑顔で応える。  先に断っておくが俺は一人っ子で妹どころかきょうだいはいない。  なら彼女は何者か。それはズバリ、妹カフェの店員である。  簡単に説明すると、妹カフェとは店員が妹を演じて接客をするコンセプトカフェのことだ。客はすべからく彼女たちのお兄ちゃんないしお姉ちゃんとなり、時間制で妹に奉仕してもらえる。  ちなみに初入店の際にどう呼ばれたいかを尋ねられる。デフォは『お兄ちゃん』と

          【短編小説】妹の恩返し

          【短編小説】Vtuberとガチ恋リスナーが姉妹になったら

           私、河井杏美は今世紀最大の危機に直面していた。先ほどから手足のしびれと冷や汗が止まらない。  元凶は曇りない澄み切った瞳をこちらに向けて、投げかけた質問に私が答えるのを今か今かと待っている。  それは私からしたら、笑顔で腹に包丁を突き立てられるのと同じだった。  ――杏美さん、御使杏子って知ってますよね。  それが数分前に彼女、長瀬つむぎちゃんが私にした問いだ。  うん、知ってるよ。そりゃあもう、誰よりも知ってる。だってそれは――私が使っているバーチャルアバターの

          【短編小説】Vtuberとガチ恋リスナーが姉妹になったら

          【短編小説】妹を推す

           僕は妹に嫌われている。  妹が生まれてからこれまで十五年と八ヶ月二十三日の間、意地悪や嫌がらせの類は一切したことがないし、理不尽に怒ったこともない。どうしても叱らないといけない状況は幾度があったけれど、言葉選びには最大限気を使ったし口調にも配慮をした。アフターケアだって怠っていない。  両親が共働きだったから、幼いころは僕が親の代わりに面倒を見ていた。妹が幼稚園児だったときは送り迎えをしていたし、小学校に上がってからは宿題や予習復習の手伝いもした。 最初の頃は付き合い

          【短編小説】妹を推す

          角島に行ってきた話

          妹!(挨拶) こんにちは、吉乃です。夏休みで山口に帰省したときに、下関市にある観光地の角島に行ってきたのでそのことについて軽く話していこうと思います。 ちなみにどうして角島に行ったのかというと、純粋に行ってみたかったのと、山口を舞台にした物語を書いてみたいなと思っていたからです。そのため、観光名所だけでなく居住地も見て回りました。 島内を見たことがなくても、この光景を見たことがある人は多いでしょう。本土と角島をつなぐ、全長約1.7キロメートルの角島大橋です。 特別なデ

          角島に行ってきた話

          【短編小説】高2の春、妹が通い妻になった

           身も凍える冬を越え、カーテンの隙間から差し込む陽射しが春めき心地よくなってきた今日この頃。  厳しい寒さもすっかり失せ春らしい陽気に包まれても、やはり布団の魔力は健在だ。出たくない。  これがいわゆる『うちの布団が離してくれない』現象なのだろう。ルビがちょっと虚しい。  そんな非生産的な考えをしながら、僕はゆるーく襲いかかる睡魔と格闘する。  二度寝したいくらい気持ちのいい陽気だが、あいにく今日は普通に学校なんだ。寝坊してサボったら、後日職員室か生徒指導室に呼び出し

          【短編小説】高2の春、妹が通い妻になった

          【短編小説】夏休み初日

          「お兄ちゃん起きてー!」  やけにはつらつとした声に卓也は目を覚ます。  寝不足で痛む頭を押さえながら、卓也は声のする方へと顔を向ける。  そこには控えめなハートがあしらわれたピンクのエプロンを身につけた少女が、お玉を持って立っていた。 「もー、夜更かししたんでしょ? 今日から夏休みだからって、ちゃんと規則正しい生活をしないとダメだよ?」  少女は「めっ!」と人差し指を向け、漆喰のように艶やかな長い黒髪をなびかせる。 「もう大学生なんだからしっかりしないとだよ?」

          【短編小説】夏休み初日

          【短編小説】綿密に立てた予定は必ず予定通りにならない

          「よし、これで完璧だ」  10回に及ぶ修正を経て完成した予定表を眺め、達成感に浸る。  明日から夏休み。部活に所属していないので学校に行くのは休み終盤の登校日くらいだが、如何せん課題が多い。だから俺は地獄を見ないよう、あらかじめスケジュールを組んだ。  朝は変わらず、遅くとも7時には起床。そのあとは30分ほどジョギングなどの軽い運動をしてシャワーを浴びる。8時までには朝食を食べ終え、昼まで課題をこなす。また課題の効率化を図るために、30分おきに10分間の休憩を挟む。食後

          【短編小説】綿密に立てた予定は必ず予定通りにならない

          【短編小説】今日が終わる前に

           残業なんてクソくらえだ!  胸中でそんな悪態をつきながら俺は急ぎ足で会社を出る。そのあとは普段使っているバス停まで全力疾走だ。  チラリと腕時計に目を向ける。時刻は23時を過ぎたところ。あと1時間もないうちに今日、9月30日が終わってしまう。  早く、早く帰らないと……っ!  これだけ走るのは、たぶん高校の体育祭以来だ。  日課として軽い運動はしていたけど、それでも高校時代に比べ体力がすっかり落ちてしまっている。会社を出てまだ2分ほどしか経っていないのにもう足が痛

          【短編小説】今日が終わる前に

          創作に役立つサイト4選!

           妹!(挨拶)  皆さんこんにちは、吉乃です。今回は私も愛用している、創作に役立つサイトを4つほど紹介していこうと思います。 ◯モダリーナ - イラストファッション・アパレル用語図鑑  モダリーナ自体はレディースのファッション検索サイトですが、今回紹介するのは同サイト内にある用語図鑑です。レディースのファッションの用語や名称を画像付きでわかりやすく紹介してくれます。  パーツごとにカテゴリ分けされていて検索するのがとても楽です。私は主にヒロインの服装を書く際に参考にして

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          【短編小説】不法侵入改め妹

          「お帰りなさいませ♪」  高校二年生となって初めの授業を終えた俺・慧志は、満面の笑みを浮かべた少女に迎えられた。  芸術作品のような美しさすら感じるほどキレイな正座をして俺を見上げる彼女は、一言で言うならばとても可愛らしかった。やや幼さは残るものの揺らぎのない瞳や締まった表情から大人びた印象を受ける。  そんな少女に迎えられて俺は思わず頬を緩め――るどころかむしろ引きつらせた。  なぜなら俺は一人暮らしだからだ。  去年、高校進学に際して部屋を借りることとなり、一年

          【短編小説】不法侵入改め妹