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男の子もセーラームーンを楽しんでいいじゃない

「美少女戦士セーラームーン」の3つのアニメシリーズが、YouTubeで公開される。

sailormoon-officialチャンネルで、随時公開。

この機会に、少しずつセーラームーンを観直している。

公開された30年程前に観たときには、どこか後ろめたい思いがあった。なぜなら、私が男の子だったからだ。

最初は、特に気にしていなかったんじゃないかと思う。ありふれた子どもが、不思議な力を手に入れて悪に立ち向かう、そんなストーリーは少年漫画にもありがちだった。

しかし、どうやら主人公が女子中学生で、短いスカートをはき、原作が少女漫画だというのが、どうも問題だったようだ。特に言われたわけではなかったと思うが、何となく熱心に観ていてはいけないように感じるようになった。

私は、当時からオタク気質があったのだと思う。また、コンテンツを「男の子用」「女の子用」と分けることに違和感を感じていた。女の子が主人公のアニメだって楽しかったし、宝石をかたどったおもちゃにも惹かれた。今となってみれば、主人公の性別なんて作品の一要素でしかないし、ジュエリーデザイナーに男性がたくさんいることも知っている。でも、そのころは、どこか後ろめたく思ってしまっていた。

それから30年が経ち、オタク文化が理解されるようになり、「男の子向け」「女の子向け」という分け方にも注意が払われるようになってきた。特に、セーラームーンともなれば、アニメの古典であるし、影響を受けた作品やパロディも多く出されているから、観る事に男女関係なく楽しめるようになってきたと思う。

しかし、未だに「男の子向け」「女の子向け」問題は存在しているだろう。年長の男性がプリキュアを楽しみ、年長の女性が仮面ライダーを楽しむのは、「オタク」という言葉でくくってしまえば許される。でも、同じことを5歳児や小学生がしていたら、理解されないことも多いのではないか。

わざわざ、「オタク」という言葉でくくらなくとも、自分が魅力を感じたコンテンツを楽しむことに後ろめたさがないといいと思う。いくら文化の力が強くなってきた今であっても、周囲の環境が否定することもあるような気がする。男の子には仮面ライダーをすすめ、女の子にはプリキュアをすすめるのではないか。

その点で、プリキュアに男性キャラが出てきたり、仮面ライダーに女性ライダーが出てきたりするのは、正当性を高める一助にはなっているかもしれない。ただ、本質的には「女の子向け」「男の子向け」からは逃れていないのだろう。それが必ずしも悪いわけではない。メインターゲットを絞ることは、コンテンツにおいて効果的ではあるからだ。

しかし、こと子ども達に親しまれるようなものは、ジェンダーレスなものが好ましいと思う。性の分化も未熟な中にあって、「女の子らしさ」「男の子らしさ」を決めつけるのはよくない。

また、もう一歩進めれば、そもそもスカートや宝石が「女の子らしさ」というのが短絡的なのだ。男の子がかわいいリボンやブローチをつけて変身したいと思ってもいいし、女の子がタキシードを着て敵から愛しい人を守りたいと思ってもいいのだ。

そんな思いを抱きながら、男性がセーラームーンを恥じらいなく観ることができるのは、ありがたい世の中になったと思う。それは、自分自身が許してあげられるようになったと言い換えてもいい。誰もが自分自身で自分の観るものを選んでしまっている所がある。時にはそれを自覚して、自分の可能性を広げられたらと思う。




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