君に贈る火星の【ショートショート】
花火がドンと鳴る瞬間、ビクッと体が反応した。だけど、おじいちゃんにもらった黒い石をギュッと握りしめると、怖い気持ちはどこかに飛んで行った。手のひらに、じんわりあったかさが伝わってくる。
おじいちゃんがくれたのは、火星の石。
僕は小さい頃から花火大会に興味津々で、いつもおじいちゃんが連れて行ってくれた。なのに、いざ花火が始まると、大きな音に驚いて一発目から「帰りたい」と泣き出していた。3歳頃から、毎年その繰り返し。
小学1年生の花火大会の日、玄関先でおじいちゃんが僕に手を