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“見えない”分子を通して“見える”世界

全ての物質は粒々からできている。

古代ギリシアから磨かれてきた私たちの「物質観」だ。

身近な存在である「水」も例外ではない。水は「水分子」という粒々の集まりだ。下図は水分子から成る水の概念図だ。氷(固体)、水(液体)、水蒸気(気体)の状態が描かれている。

図中からは、「一粒」として動く粒々の存在が確認できる。水蒸気を例として見てみよう。すると、白丸2個と黒丸1個がまとまった「一粒」として動いていることが分かる。ちなみに、色は判別のためで、実際にその色をしている訳ではない。

このように、「一粒」として動く極微な粒子を「分子(ぶんし)」という。図に載っている分子は、水分子と呼ばれている。

つまり、水は「水分子の集合体」と理解できる。

さて、図の下部には「温度」についての矢印が付けてある。水蒸気は熱く、氷は冷たいことを、私たちは日常経験から知っている。

この「熱い」「冷たい」という温度の正体は「分子運動の激しさ」で理解することができる。水蒸気は水分子がビュンビュンと飛び交っている「熱い」状態で、氷は水分子が規則正しく整列している「冷たい」状態に相当する。

もう一つ「水分子」の事実から説明できる現象を紹介しよう。それは、氷が水に浮かぶ理由だ。

氷と水の図を見比べてみてほしい。

水は水分子がガチャガチャとごった返している状態だ。通勤ラッシュ時の駅の改札前というところだろうか。一方の氷は、水分子が規則正しく(おおよそ六角形に)並んでいる状態であることが分かる。

氷の方が隙間がたくさんあることに気がついただろうか。これは、氷の密度が水のそれよりも小さいことを意味している。

密度が小さいものは、密度がより大きいものに浮く性質を持つ。そのため、氷は水に浮かぶのだ。

分子は、とっても小さい存在なため、肉眼で見ることは到底できない。光学顕微鏡でも見ることができない。電子顕微鏡という超ハイテク顕微鏡を駆使すれば、やっと、分子の輪郭を見ることができるくらい小さい。

しかし、分子という粒々を知れば、理解できる世界がグンと広がる。

分子は「見えない」けれど、分子を学ぶことで「見える」世界は広がる。

極微の世界を学ぶ魅力は、そこにあるのはないだろうか。

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