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みんなの遺書を読みながら

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オリジナル小説(未完結) 子供としては冷ややかな世界に、二人はいる。 俺には知らない、知れない世界に、コイツ等はいる。 明らかに幸せな世界側にいる俺の、けれども越えられない、…
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1日目 癸 真矢 視点

僕は昔幼稚園の先生に、"真矢くんは頭がとても良いから将来すごい人になるね"と言われたらしい。それを記憶としては持ち合わせていない。母から聞いた。ご丁寧に、"きっとお母さんの助けになるよ"と言っていた事まで伝えられ、僕は確かにその時イラだった。その時僕は既に保健室登校だった。やがて、保健室すら行きたくなくなり、けれども家に居たくなくて、図書館にばかり通っていた。

幼なじみの佐藤尚樹(さとう しょう

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〔0日目〕佐藤 尚樹(さとう しょうき)視点

みんなの遺書を読みながら

大人達というよりは社会から見て理由の分からない子供の自死が増えたのはいつからだろうか。
少なくとも、20年前くらいからは、ポツリポツリと起きていて、けれどもそれはニュースにはなっても、やれ学校の問題だ、とか、いや、家庭環境はどうだったんだ、とかその子の交友関係は?とか、もう居ない幼い個人を悲しむ時間よりも、生き延びているその子の周り大人達の責任のまるで擦り付け合いだ。

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