ただの経理マンがブラック部署を本気で変えようとした話(後編)
「ただの経理マンがブラック部署を本気で変えようとした話」の後編になります。
(前編はこちら↓↓↓)
3.【実行】部内セッションの開催
部内セッションは月に1回、合計3回開催しました。
✅開催した部内セッション
第1回:個人の価値観と「ありたい姿」の共有
第2回:「我々はどうありたいか」の共有
第3回:「あるべき姿」の共有とミッション策定
この3回のセッションの中から、工夫したポイントを実際のスライドの一部をお見せしながら解説していきます。
第1回:個人の価値観と「ありたい姿」の共有
第1回は社外の貸し会議室にて普段の業務から離れて丸1日ミーティングを行いました。私には半日の時間が与えられました。
当日のアジェンダはこちらです。
パートごとにポイントを解説していきます。
①目的とゴールの共有
このパートでは、「なぜこのセッションをやるのか」「今日のゴール」を共有しました。
そして、ここで私の正直な感情をさらけ出すことにしました。
そして、「今日守ること」として心理的安全性の話を出しながら「本音で話す」「まず理解に努める」ことをルールにしました。
この序盤で私の感情をさらけ出したのは、結果的にとても良かったと思っています。
「本音で話していいんだ」という空気を作り出すことができたからです。
②なぜ存在目的が重要か ③組織作りの理論とツール
この2つのパートは、理論的な説明になるように意識しました。
様々な理論を図解と具体例を交えながら説明しました。
説明したのはこれらの理論です。
✔️センスメイキング理論(カール・ワイク)
✔️集団凝集性(レオン・フィスティンガー)
✔️ゴールデンサークル(サイモン・シネック)
✔️抽象のハシゴ(サミュエル・I・ハヤカワ)
✔️OKR
✔️メルカリやfreeeの事例
✔️インテグラル理論(ケン・ウィルバー)
✔️学習する組織(ピーター・センゲ)
✔️自律型人材(OS21)
✔️メンタルモデル
これらの理論を用いて「なぜ存在目的が組織にとって重要なのか」と「どうすれば進化し続ける組織になれるのか」を論理的に説明しました。
④個人の価値観の深堀りと共有
このパートでは、参加者に事前課題を出しておき、個人の価値観を深堀ってきてもらいました。
ここでの狙いは「リフレクション」と「対話」です。
リフレクションで自己は客観的に内省し、そして他者の話を評価判断を保留して受け止める。
これを行うことで「圧倒的な当事者意識」「学び続ける力」「他者と協働する力」を身につけます。
これまではお互いに意見を押し付け合うことはあっても、価値観までは理解しようとしていませんでした。
「もっとこうするべきだ」「いや、それは間違っている」のように。
しかし、その意見の裏にはその人なりの経験があり、感情があり、さらに奥底には価値観があります。
そしてその価値観こそがその人の「メンタルモデル」であり「動機の源」にもなっているのです。
同じ部署で働いているのに聞いたこともなかったお互いの価値観をさらけ出すことで、安心して本音で話せる雰囲気になりました。
やっと本当の意味で「対話できる組織」にこのとき初めてなることができたのです。
✅この経験から得た学び
✔️お互いの価値観を共有すると、その場の心理的安全性が飛躍的に上がる。
⑤どんな組織でありたいか
お互いの価値観を共有したあとに「どんな組織でありたいと思っているか」についても共有しました。
ここまでくるとみんな本音で話すようになっているので、とても建設的な議論ができていました。
⑥今日の振り返り
そして「今日1日どうだったか」をみんなで振り返りました。
嬉しいことにとても好評で、特にマネージャー陣が予想以上に興味を持ってくれました。
✅実際の参加者の感想
✔️「初めて本音で話し合えたと思う」
✔️「お互いの価値観を知ることで相手への理解が深まった」
✔️「マネジメントに対話が大事とよく言われはするが、今日初めてその効果を実感できた」
第2回:「我々はどうありたいか」の共有
1ヶ月後に第2回を開催しましたが、みんなの業務の都合で1時間しか時間を取れなかったため、第1回ででた「我々はどうありたいか」の意見をグルーピングしてみんなに改めて共有しました。
第3回:「あるべき姿」の共有とミッション策定
第3回は、第1回と同様に社外の貸し会議室にて丸1日ミーティングを行い、私には半日の時間が与えられました。
この回のアジェンダはこちらです。
こちらもパートごとにポイントを解説していきます。
①目的・ゴールの共有とこれまでの振り返り
第1回、第2回の内容を振り返りました。
②ミッション・ビジョン説明
議論の前に、ミッションとビジョンについてみんなで共通の認識を持つためのパートを設定しました。
この第3回の部内セッションを開催するにあたってこちらの書籍を特に参考にしました。
✔️『THE VISION』江上隆夫著
③会社・部署の歴史と強みについて
部署のミッションを議論するにあたり、会社や部署の歴史や強み、取り巻く環境について整理しました。
特に、古参のマネージャーによる部署の生い立ちを話してもらうと「そんなことがあったんだ・・・」と若い世代は学びの連続でした。
居酒屋での「俺のときはな・・・」というありがたいお話はうんざりですが、なぜ部署が今の形になったのか、というのは大きな企業では意外と知らない人も多いのではないでしょうか。
④部署のミッション策定
いよいよ「我々の存在目的は何なのか?」というミッション策定のパートに入りました。
少し時間不足感は否めませんでしたが、「あるべき姿」と「ありたい姿」の両方向から議論できました。
そして、なんとか1つのミッション・ステートメントを完成させることができました。
⑤今後のアクション・まとめ
このパートでは時間が足らずじゅうぶんな議論はできませんでしたが、普段の業務から見直していくということになりました。
そして、組織に変化が起こった
ここまでが、私がおこなった一連の行動です。
その結果、部署にこんな変化が起きました。
✅部署に起こった変化
✔️本音を言い合える空気になった
✔️相手の意見を受け止める心の余白ができた
✔️「まずは対話してみよう」と思える人が増えた
✔️部署の課題を自分ごと化する人が増えた
具体的には、普段なかなか言えない意見を発散する場を定期的に持つようになったり、部署内の会話量が増えたり、「もっとこうするべきだと思う」と意見を言い合うようになりました。
正直、私が目指していた「働くことに誇りややりがいを感じることができる組織」には、まだまだ程遠いです。
みんなで考えたミッションもまだまだ荒削りで改善しなければなりません。
サーベイツールも活用してもっと定量的に効果測定するべきだったと反省もしています。
しかし、1年前の状態から考えると、まったく別の組織になったかのようでした。
「この部署は本当に良くなった」とみんな口を揃えて言いました。
「働くことに誇りややりがいを感じることができる組織」を目指す過程で少しずつ組織は変わっていき、私には多くの学びがありました。
✅一連の行動から得た学び
✔️マネージャーだってどうすればいいのか分からずに苦しんでいる
✔️価値観を共有し合うことで心理的安全性は爆発的に上がる
✔️ミッション策定が必須なのではなく、その過程で生まれる対話に意味がある
✔️価値観ベースで対話することで課題を自分ごと化するようになる
自分の生き方は自分で決める
もしかしたら、私がやったことは他の人からしたら大したことではないかもしれません。できて当たり前のことばかりかもしれません。
でも、この経験によって私は考え方が変わりました。
それは
自分の生き方は自分で決める
ということです。
生き方と言うと少し大袈裟ですが、日々の行動のことです。
「上司は分かってない」
「会社が間違ってる」
そんなことばかり言っていた以前の考え方から、
「自分はどうしたいのか?」
「自分はどんな行動を選択するのか?」
を考えるようになりました。
✅私に起きた変化
✔️上司や会社のせいにせず、現状は自分の選択の結果だと思えるようになった
✔️自分がコントロールできることにのみ集中できるようになった
✔️行動を起こしてコンフォートゾーンの外に出ることが怖くなくなった
行動が次の行動につながる
私と同じように組織や会社のあり方が原因で悩んでいる人はたくさんいると思います。
特に大きめの企業なら同じような境遇の人も多いのではないでしょうか。
そんな方たちには、「自分はどんな行動を選択するのか?」にフォーカスして考えてみて欲しいと思っています。
転職することや異動することも1つの行動ですし、組織を変えるために動くのも1つの行動です。
私は何者でもないし何かを偉そうに言える立場ではありません。
正直、もっとできたんじゃないかと後悔もしています。
しかし、勇気を出して1つ行動を起こしたことで、「人にアプローチすることで組織にポジティブな変化を起こすことが俺は好きなんだ」と改めて自己を認識することができました。
自分の軸が1つ見つかった気がします。
この気づきのおかげで、より組織づくりに対する勉強が加速したり、内省と対話のスキルを得るためにコーチングスクールに通い始めたりと、次の行動につながりました。
部署をさらに「働くことに誇りややりがいを感じることができる組織」に近づけたいです。
それに加えて「人と組織の両方にアプローチできるコーチになること」が次の目標となりました。
その目標を叶えられるような行動を自分で決めて自分で選択していきます。
ここまで、こんな自分語りの長文を読んでくださった方、本当にありがとうございました。
少しでも読んでくださった方の学びや刺激や参考になればとても嬉しいです。
今後も、組織づくりやコーチング、仕事や日常生活で得た学びを発信していきたいと思います。
これからもお付き合いいただけたら幸せです。
最後までご覧いただきありがとうございました!!
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?