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ただの経理マンがブラック部署を本気で変えようとした話(前編)

上司から疎まれてもいいから、社内で反逆者扱いされてもいいから、「絶対にこの部署を変える!」と本気で想っていた時期がありました。

そして、組織に変化が起こりました。


ただの経理マンである私がブラック部署を本気で変えようとした話を書きたいと思います。


なぜこの体験について書こうと思ったかというと、自分の経験をまとめておきたかったのと、

この記事が自分と同じように苦しんでいる人への応援になればいいなと思ったからです。

会社や部署に閉塞感を感じている
仕事にやりがいも誇りも感じられない
このままじゃダメだ
行動を起こして何かを変えたい
でもどうしたらいいか分からない
どうせ会社も上司も変わらない・・・

そう感じている人に、組織を変えるために私がどんな行動をしたのか、そしてどんな変化が起きたのかをすべて実体験で話すことで、読んだ方が行動を起こすきっかけや参考になれば幸いです。


まだまだ未熟なので粗い部分もありますが、そういった部分もすべてさらけ出しています。

少し長いですが、最後までお付き合い頂けたらとても嬉しいです。


「世界を変える」仕事に魅了された


まず簡単な自己紹介をします。

私は都内の大手化学メーカーで経営管理という仕事をしている20代後半の男性です。


大学時代はめちゃくちゃ厳しいテニス同好会に所属していました。

なぜ厳しい環境にいたかというと、大学受験に失敗して浪人したことがきっかけで自分の人生について考え始め、「後悔のない人生にしたいなぁ」となんとなく考えていたからです。

青春みたいに仲間と何かに全力で打ち込むことができるのも大学が最後だと思い、部員100名の部長も務めました。

そこで、どうやったらいいチームが作れるのかという組織のことを考えるようになりました。


就活のタイミングになり、なんとなく大手企業の選考を受け、その中でも中間素材に機能性を持たせて世の中をどんどん便利にしている化学メーカーがかっこいいと思いました。

どの化学メーカーも「素材で世界を変える」と言っていてとても共感しました。

そして今の会社に新卒で入社しました。

よくある昔ながらの大企業ですが、この会社も「世界を変えるリーディングカンパニー」であることを謳っていました。


私の最初の配属部署は工場の経理で、滋賀の中でも田舎な地域で働き始めました。

「世界を変える会社」の一員なんだから、積極的に意見し、吸収し、自分の頭で考え抜いて、上司の求める結果を出す。会社での評価を上げ続けて上を目指す。

それが自分の人生でやるべきことなんだと思いました。


理想と現実のギャップ


しかし、少しずつ自分の中にモヤモヤがたまっていくのを感じていました。


私は経理という仕事柄、マネージャー層や経営層と関わることが多いです。

彼らの力になることが私の使命でした。

そんな彼らのある2つの考えに、私は絶望しました。


1つ目は、彼らの仕事の目的が「いかに会社の経費で飲みにいくか」だったことです。

私の会社ではバブルを引きずってるかのような経費の使い方が可能でした。

それだけの責任を持ち部下を率いているので優秀な方々ですが、「世界を変える」なんて思ってない。

先進的な取り組みをしようとも思ってない。

とにかく波風を立てず、上の顔色を伺い機嫌を取り、会社のお金で好きなだけ予算めいっぱいに飲みにいく。

仕事には誇りもやりがいも必要ない。

もちろんそんな方ばかりではないですが、若い私には工場の多くの人がそうであるように思えました。


2つ目は、組織やチームに対する捉え方です。

私が所属していた経理部門は「間接部門」と呼ばれます。

直接的には利益を生み出していないスタッフ部門や本社機能がこれにあたります。

反対にものづくりをしている製造部などは「直接部門」と呼ばれます。

そして、メーカーの工場ではありがちですが「直接部門が上、間接部門が下」という考えの人が結構います。

「お前ら間接は俺ら直接が食わしてやってる」
「だから間接は直接の言うことを黙って聞け」

新人の私に平気でそう言ってくる方もいました。


でも、私はそれは明確に違うと思いました。

自分が大学でテニスの部長をしていたときも、部長が偉いとか、幹部が偉いとか、優勝したやつが偉いなんてことはないと思っていました。

それぞれが役割を担っており、必要な存在である。

目立つことでみんなを盛り上げる人もいれば、誰も見てないところで片付けをしてくれている人もいる。

ピッチャーだけじゃ野球はできない。

ファーストもレフトもいるから野球ができる。

ピッチャーだから偉いなどあり得ない。

ぞれぞれがチームの勝利のために存在している。

それがチームだろ!!

そう思いました。

直接部門とか間接部門とか、それはただの役割の話であって、本当に大切なのは目指す目標のために協力すること。志をともにすること

そしてそれができる環境を作ることがリーダーであるマネージャーや経営層のやるべきことだ。

そう思いました。


ここではっきりと言っておきたいのは、私はただ会社を批判したいわけではありません。

これはあくまで私個人の主観であって、「当時の私にはそう感じた」というだけの話です。

もちろん他にいいところはたくさんありましたし、素敵な方々との出会いもたくさんありました。

待遇も安定していて、利益が出る仕組みが出来上がっている素晴らしい会社です。


経験の浅い自分にとっては納得いかないことがたくさんありましたが、まだまだ自分が社会人として未熟なんだと思い努力しました。

しかし自分の中のモヤモヤは大きくなるばかりで、気付けば会社を休むことが増えました。

よく「体調悪いです」と嘘をついて休み、有給は常に残り0日でした。


ブラック部署に出会って誓った


なんとか精神を保ちつつある程度の成果も出しながら入社4年目に突入し、東京に異動することとなりました。

異動先は東京本社の経営管理部という部署です。

現在も所属しており、当時は管理職が4人、30代係長が1人、20代が6人という合計11人の部署でした。

この部署の役割は、主に事業部のサポートです。

管理会計をメインで担当しつつも、コーポレートサイドの経理部門との橋渡しや、事務手続きや総務的なことまで引き受けていました。


そしてこの部署がまさにブラック部署でした。

とは言っても、明確なパワハラやセクハラはなく、過労死レベルの慢性的な残業があったわけではないので、そんなの全然ブラックじゃないよと思われるかもしれません。

でも、私にとってはブラックな部署でした。

同僚の顔はみんな死んでいる
マネージャー陣と部下の間には深い溝がある
仕事は個人に丸投げ
事業部からはなんでも屋の雑用扱い
残業はゆうに100時間を超える月も
上の顔色を伺う上司のために部下が働く環境
誰も顧客への価値や部下の成長など見ていない


たとえ激務であっても成長を実感していたり、やりがいを感じる仕事であればまだいいですが、ただただ疲弊していく毎日でした。

飲み会だけは相変わらず多いので飲みに行っても、みんな会社に対しての愚痴ばかり。


上司に意見を言っても「そういうもんだから」と返されるだけ。

どうせ上司は変わらない、どうせ会社は変わらない。

みんなも自分も文句は言うんだけど、行動はしない。

何をしたらいいのかも分からない。

部下は上司に不満を抱え、上司はその上司の愚痴を吐き、愚痴と不満がただただ連鎖していくだけ。


ダサい・・・!!!

周りもそうだけど、同じように文句ばっか言って何も行動していない自分が何よりダサい!!!


モヤモヤとストレスが溜まりに溜まったときに、自分の中で何かが破裂しました。


飲み会終わり。アルコール臭が漂うサラリーマンだらけの丸の内線の終電。

その電車の中で「会社や他人どうこうじゃなく、自分がまず変わるんだ」と決心しました。


この部署で恵まれていることも実はあり、それは、同僚みんなが人間的に素晴らしい人たちだったことです。

先輩も後輩も大好きでした。大好きな仲間でした。


そんな仲間が、苦しみながら、諦めながら、死んだ顔で毎日働いている。

誇りややりがいのかけらもない。

俺が絶対にこの部署を変える

そう決意しました。


ブラック部署を変えるために私が行ったこと


やっとここからが本題です。

ここから、私が部署を変えるために行ったことを紹介していきます。

✔️実際のアクション
✔️起きた変化
✔️その経験から得た学び

これらをできるだけお伝えしたいと思います。


まず、私が行動する目的の確認ですが、

この部署で働くことに誇りややりがいを感じることができる組織になる

というのが目的です。


その目的のために私が行動したことは、大きく分けてこちらの3つです。

✅組織を変えるために行動したこと
1.【情報収集】社会人ゼミへの参加
2.【企画】上司への提案と戦略の立案
3.【実行】部内セッションの開催(3回)

この3つの内容について詳細に解説していきます。


1.【情報収集】ゼミへの参加


まず、大学で部長の経験があるとは言え、私は組織づくりの素人でした。

人事部に助けを求めるという選択もありましたが、ちょうど全社的に離職率が大幅に上昇し始めて混乱しているタイミングでした。

人事部では同様の課題意識はあるものの、現状の把握から取り組もうとしている段階で、特定の部署に何か手を打てるという状態ではありませんでした。

まだ何もできない、という回答でした。

なので、人事部の動きを待っていても時間がかかるし、1部署のみの改善よりも全社的な施策が優先されると思い、自分が直接部署に働きかけることにしました。


ずっと興味はあったので組織づくりの本も読んで勉強していましたが、さらに体系立てて学ぶ必要があると思いました。

そんなときに、NewsPicksが開催していたNewsPicksアカデミアゼミ(現在はNewSchoolに変わっています)がゼミ生を募集していました。

その中に『自走するチームの作り方』というテーマのゼミがあり、申し込んでみることにしました。

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これは余談ですが、ゼミへの参加はもちろん個人のプライベート活動なので10万円以上の参加費は自腹ですし、応募動画を撮って送るというような応募方法で、当時の私にはとても勇気のいることでした。

滝汗を流しながら動画を撮りました(笑)


このゼミで3ヶ月間にわたり、21世紀学び研究所の熊平美香先生のもとで他の受講者とともに『自律型組織の作り方』を学びました。

『自律型組織』とは、一人ひとりが組織の存在目的とつながり、自己の価値観や才能を活かしながら自己と組織の存在目的の実現のために進化し続ける組織のことです。

元になっている考え方はあの有名な『学習する組織』です。


このゼミでは非常に深い学びがありましたし、社外の素敵な方々にも出会うことができました。

今はコロナの影響でオンラインがほとんどだと思いますが、学びたいことがあれば多少高いお金を払ってでもゼミやスクールに行くべきだと思いました。

同じ学びの志を持った仲間に出会い、新たな考えや価値観に出会う経験は自分の財産になると思います。


2.【準備】上司への提案と戦略の立案


ゼミでの学びを通して、私は仮説を立てました。

それは、

この部署に起きている問題の原因は、部署のミッションやビジョンが欠けていることだ

というものです。


部署のミッション(存在目的)が曖昧だから、何をするべきかが分からない。
上司も「事業部に貢献しよう」としか言わない。
だから事業部の雑用的なことまでなんでも仕事が若手に舞い込む。
その膨大な仕事に疲弊するが、価値を感じている仕事ではないのでやりがいは低い。
そうなると成長も小さくなり、自分の部署や仕事に自信を持てなくなる。
そしてまたやりがいを感じずに成長もできず・・・

というネガティブループに入る。

この仮説をもとに上司に提案に行きました。

✅上司への提案内容
✔️部署のミッションを明確にしましょう。
✔️そのために部署の「あるべき姿」だけでなく「ありたい姿」も議論しましょう。
✔️部署のミッションを本音で議論する部内セッションを私に開催させてください。

上司に相談するときは緊張しました。

もし面倒なやつだと思われたら、会社に反抗的なやつだと思われたら、これからこの部署で働きにくくなるからです。

それでも勇気を持って提案しに行きました。


上司は私の提案の大枠には賛同してくれました。

そして部内セッションを私が開催することを許可してくれました。


しかし、1つ失敗だったなと反省していることがあります。

それは、上司へ提案する際の伝え方です。

私は「今の部署にはミッションが欠けている、組織デザインが欠如しているんだ」と伝えてしまいました。

しかしこれでは上司からしたら「あなたの組織運営は全然ダメだ!間違っている!」と部下に指摘されていると受け取られかねません。

実際に上司はここをしつこくつついてきて、なかなか本題に入れませんでした。

私が一番言いたいことは「部内セッションを開催させてくれ」なのです。

だから、上司に提案する際は、まず上司の悩みに寄り添って理解を示し、「その解決を一緒にやらせて欲しいので部内セッションを開催させてくれ」と伝えるべきでした。

✅この経験からの学び
✔️上司に提案する際は、まず上司の悩みに理解を示し、「一緒に解決させてください」と提案する


ともあれ、提案は通ったので、部内セッションの開催に向けて戦略を立てることにしました。

ここで意識したことは1つで、それは

自分に中に正しい戦略はない

ということです。

このことはすでに以前の記事で書きました。

簡単に以前書いた記事の話をまとめると、

✔️これまでやったことのないことなのだから自分の中に正しい戦略はない
✔️すでにその領域で成功している3人の書籍やセミナーから共通点を見つけ出して言語化し、キーサクセスファクターとして行動に取り込む

ということです。

私は組織づくりで成功している3人をピックアップし、書籍を読んでセミナーにも参加しました。

そのときに実際に私が選んだ書籍はこちらの3冊です。


✔️『チーム・ダーウィン』熊平美香著

✔️『THE TEAM』麻野耕司著

✔️『ハートドリブン』塩田元規著

組織づくりに役立った書籍の詳しい紹介はまた別の記事に書こうと思います。


著者3名の方々のセミナーにも参加し、私が抜き出した共通点はこちらの3つです。

✅私が抜き出した成功者の共通点
✔️説明は全て理論的
✔️しかし感情をさらけ出すポイントがある
✔️相手の感情や価値観を大切にしている

これらは全て当たり前のことではありますが、きちんと実行できるかどうかは意外と怪しいですよね。

なので私は具体的な行動に落とし込むことにしました。

✅具体的な行動への落としこみ
✔️説明は全て理論的
 →資料には研究結果や事実ベースを用いてロジカルなものにする
✔️しかし感情をさらけ出すポイントがある
 →セッション序盤に私自身の正直な感情をさらけ出す場面を設計しておく
✔️相手の感情や価値観を大切にしている
 →セッション参加者に対し傾聴する(頷く、深堀る、体ごと話し手に向ける、腕や脚を組まない)


これらと同時に、セッション内容の企画や資料作成、部内調整、貸し会議室の予約などを進めていきました。

そして、とうとう私がファシリテートする部内セッションの日がやってきました。

(後編へ続きます↓↓↓)


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