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不動産広告が貼ってある電柱は、お札を貼って動けなくなってるお化けだ

3-4年前、大学のプロジェクト『新宮市魅力発信女子部プロジェクト』にすごくたまたま参加し、和歌山県を訪れた。

その時に大学一年生だった後輩から、「広告やWebに興味があるので、今その仕事をしているよしはるの話が聞きたい」と、突然に連絡をいただいた。こうして後輩に就活の話をしてみるのは初めてだった。

プロジェクトで会ったきりだったのだが、会った瞬間からなんだかとても話しやすくて、3時間くらい話してしまった。

『得意なことがわからなくて悩んでしまう』という話の延長で、『視点が好き』という話になった。

そういえば。

私は就活の時に、唯一フィーリングがあった企業の面接で、 「不動産広告が貼ってある電柱、お札をおでこに貼って動けなくなってるお化けに見えるんです」という話をした。

大学1年生のころ、日々の景色が急に変わったことがあった。

歯医者の前に並ぶ植木鉢が行列に見えた。

落ちている子どもの靴が何日も私の心を掴んだ。

配線を積んだトラックが心臓の血管に思えて、恐怖で立ち尽くした。

世界がそうやって私に、「ねぇ!こっち見てよ!」と言わんばかりに、処理できない数の景色を見せてきた。

あまりに心がそれらに引っ張られるので、しばらくはシャットアウトするように努めていたのだけど、その会社の面接ではそれを話した。そして、その視点をすごく褒めていただいた。


後輩と会う前、駅の階段にたいへん大きなカンガルーがいた。

「どうしてこんな大きなカンガルー、忘れられちゃったのだろう?」

とすごく悲しくなったけれど、目的地に着くころ、私はそれを忘れていた。

大丈夫、ちゃんと世界を面白く見ることも、それにとらわれ過ぎないことも、今の私にはできる。

自分の見える景色・視点をもっと感じて、大切にして、「私にはこう見えるよ」って、そんな話をニコニコしながら生きていきたい。

生きる。 解釈が交わる世界で、手を取り合いましょう。