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食べるのが遅いやつは何をさせてもだめ

と語る会社の先輩がいた。

うちの家訓だと語る彼女は、ふわふわした見た目とは裏腹に言いたいことはズバッと言うような人だった。そんなことが家訓になるのか、と変に感心したのを覚えている。

食べるのが遅い人は、本当に何をさせてもだめなのかはわからないけど、食べ物には所要時間があると思う。ラーメンの、ビッグマックセットの、フルコースの、床がギトギトの中華料理屋の、ランチの、久しぶりにあった友人とのディナーの所要時間がある。

フルコースの一品一品をペリカンのように飲み込むのは味気ないし、ラーメン屋でだらだら喋ってちまちま食うやつは、いったん食べて表に出ろ?と思う。

逆に手品でしょうか、というほど食べるのが早すぎる人がいる。だいたいおじさんに多い(偏見)。そういうおじさんが何をさせても優秀だったか、と振り返ると必ずしもそうとは言えない。少なくとも僕は、ちゃんと咀嚼しているのか、だからメタボになるのだ、こっちが食べ終わるのを待ってる、早く食べないと!といろいろ雑念が浮かんでしまう。もし優秀だとしても一緒に食べたくはない。つかれる。

その先輩は、さりげなく気遣いのできる人で、仕事も丁寧だった。僕が転勤したのと入れ違えで退職してしまったが、少しだけ引き継ぎで一緒だった。

2人で昼飯に行って、会社のどうしようもない愚痴を話した。職場の人間関係図を教えてもらう。不慣れな環境だったけど、その先輩のおかげで早く慣れることができたように思う。

僕が食べ終える頃には彼女は食べ終えていた。




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