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専門学校?それとも大学?(3)

 柔道整復師に限らず、鍼灸師、理学療法士、それから日本スポーツ協会アスレティックトレーナー、スポーツ医学に関する資格は大学だけでなく、専門学校ででも養成教育を受けられますよね、で、それらの資格を取得したいと志す皆さんの悩みの一つが…

「専門学校?それとも大学に?」

単刀直入に言います。

「(一つ目の資格は)大学で取得してください」

 その(2)から1年以上空いてしまいました、その(3)を今更ながらに書き綴ってみましょうか…。

 その3:大学で競技を続けた経験の大事さ

 日本で一番初めに「アスレティックトレーナー」を養成しようと立ち上がったのは筑波大学、「スポーツ・体育といえば筑波」のプライドか、まだ日本体育協会公認アスレティックトレーナー資格が存在しない、1980年代後半から90年代にかけての出来事でした。その中心に居たのは白木仁先生、筑波大学で陸上競技の選手として活躍し、体育学修士課程に進むと同時に柔道整復師の専門学校にも入学(当時は2年制)、修士号と柔道整復師免許を取得されてからのご活躍はこの業界に居る人なら知らない人はいないでしょう。

 その白木先生たちが筑波大学で立ち上げた養成課程は「修士課程」に限定「アスレティックトレーナーたるもの、大学生アスリートとして競技者経験が必要」との信念に基づくものだとご本人から伺いました。

 私は競泳選手としてお誘いいただいた大学を中退、専門学校に入学しなおして柔道整復師の資格を取り、これから「アスレティックトレーナーとして」打って出よう、というタイミングでこの話を聞いたので、当初は「今更そんなこと言われても…」と後の祭りでしかありませんでした。

 その後留学したアメリカのATC養成カリキュラムでも、机を並べて切磋琢磨したクラスメイト達の半数がその大学あるいは編入してくる前の大学でアスリートとして競技に参加していたことを知って、白木先生の信念が少しずつ理解できるようになりました。この仕事、治す・治せる、の前にまず選手の気持ちが理解できる存在でなければならない。選手が何を望んでいるか、を理解できるコミュニケーション能力の必要性です。そして米国ではカイロプラクターや理学療法士から遅れること20年、の2022年を境に、NATA-ATCの養成課程は完全に大学院でのみ、に、白木先生や筑波大学ははるかに時代を先取りしていたという見方もできるでしょう。

アスレティックトレーニングのカリキュラムは2年半、
卒業が伸びるのを覚悟して学生アスリートから転身した仲間がこのうちの半分はいました…

で、自らを振り返ってみたら…

「推薦で入学させてくれたその大学で柔道整復師資格が取得出来たなら、競技を続けていたはず、(それに伴う様々な私生活上の)迷いもなかったはず、その大学でなくても、柔道整復師養成カリキュラムをもつ4年制大学があれば進路に迷わなかったのに」

という思いが…。でもその当時(1990年)はその大学はもちろん、4年制大学で柔道整復師を養成する学校はまだなく、本当に夢のような話でしかありませんでした。

競技かキャリア、どちらかを選ばねばならず、進路の選択には本当に苦しみました。
他の人より10年は遠回りしたのではないかと思います…
鍼灸や理学療法と違って、柔道整復が4年制になるには多くの試練がありました。
それを乗り越えて実現したのは今振り返れば奇跡だったのかもしれません。

 2002年に柔道整復師養成課程を持つ4年制大学がようやく開設(鍼灸は1985年からありましたが)され、以来20年が経過、その数は16校に及びます。中には私が今勤務しているところのように学生スポーツに非常に力を入れているところもいくつかあります。今の私の教え子の中には箱根駅伝を目指して練習に励み、予選会メンバー(部内で12人)に選ばれただけでなく、累積のGPA(1単位平均での成績評価)で学年トップ5に常にいる者もいます。そのレベルで競技を続けながら、しっかりとキャリアを見据えている、そんな学生がもっと増えてくれれば、様々な意味でこの業界の将来は明るくなる、とそう思います。

柔道整復師を目指すだけでなく、教職養成課程も受講し、
競技では予選会メンバーにも選ばれるスーパーマン、卒業後の活躍が楽しみです。

 1989年に戻って、17歳の自分を連れてきたい、そんな学校で今教えています。

 読んで不快になられた専門学校関係の方へ、私これでも専門学校と大学が同じ学校法人下にあり、専門学校と同じ資格を養成するカリキュラムのある大学で13年間教員をやっていました、そこを棲み分け、今後の代替医療界の発展にもつながるアイデアはあります。まあ、それに聞く耳をもち、実行する勇気がトップにあるかどうか、という問題はありますが、興味がおありでしたら直接ご連絡ください。

yoshiatc@gmail.com


このnoteをご覧くださりありがとうございます。サポートいただけた際には子供たちが安心してスポーツに打ち込める環境づくりに使わせていただく所存です。よろしくお願いいたします。