【メジャ就 19/25】 アメリカに来て気づいたこと、わかったこと (1)

「就社」ではなく「就職」しよう

青色発光ダイオードを開発し、2014年にノーベル物理学賞を受賞された中村修二さんを知っているでしょうか?

中村さんは、1999年にそれまで勤めていた日本の企業を退社。アメリカのカリフォルニア大学サンタバーバラ校に招かれ、現在教授として、アメリカの学生にその優れた知識を教えています。

その彼が、ある新聞のインタビューでこんなことを言っています。

「組織を頼れる時代はもう終わりです。アメリカは早くからそれに気づいて、個人の独創性と能力をはぐくむ環境をつくってきました。そこからマイクロソフトやヤフーが生まれたのです」

「4~5年ごとに(会社を)辞めるつもりで、次に自分が高く売れるための仕事に熱中することです。会社のための仕事ばかりを続けていたら、個人もグローバル競争の時代に生き残れません。あと何年で辞めるんだと常に思っていれば、次により良い仕事を得られるように自分を磨こうとします。自分を磨かないまま、ズルズルと会社に居続けるから、上司の悪口かゴマスリしかすることがなくなるんです」

これまでの日本の企業社会の中ではライバルの足を引っ張ることで、自分のポジションを引き上げるという出世の方法がありました。でも、それは本当の成長ではありません。役職名が変わっただけの、見せかけの出世です。

本当の成長とは、年齢も、経歴の長短も、性別も、学歴も、国籍も関係なく、能力で競い合う競争原理の環境の中で、切磋琢磨し、実力を付けることで獲得できるものでしょう。本当に自分の能力を伸ばすことを望むのなら、高いレベルで競争原理が働く環境に飛び込んだ方が、絶対にいいのです。

就職については、私もときどき相談を受けます。そのときに私は、「君は就職したいの、それとも就社したいの?」と聞きます。

「就職」とは職に就くこと。「就く」とは、「なし遂げる」とか「身につける」といった意味です。つまり、その職業に求められる技術や能力を身につけること、プロになることです。

一方、「就社」とは、単に会社に入社することです。

つまり、いい会社に入ることが目的で、それがかなえば、もう夢を達成したかのように安心し、自分を磨く努力をしない人です。

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