【メジャ就 2/25】 MLBで、試合に出場せず”年俸20億円”を稼いだ男は誰か?
いきなりですが、あなたに“問題”を出しましょう。
「MLB(メジャーリーグベースボール)で、試合にまったく出ないのに、毎年20億円も稼いだ人がいました。一体、誰でしょう?」
あなたは、このクイズに正解できますか?
年俸20億円で契約した選手が、ケガで試合に出られなかった、という話ではありません。
この人物は、毎年約20億円もの年俸をもらい、しかもMLB関係者たちから支持され、リスペクトされていました。
選手ではありません。
運営側のトップ、1998年7月から2015年1月までMLBのコミッショナーを務めたバド・セリグ元コミッショナーです。
日本のプロ野球界では、スーパースター選手の年俸ばかりが話題になりますが、本場アメリカでは、経営のプロもまた成果を挙げれば「これだけの高額年俸を稼げる」という象徴的な実例です。
スポーツ・ビジネスは裏方の仕事ですが、報われない仕事ではありません。やりがいがあります。評価を受ければ、選手以上の報酬を、選手以上に長い期間、手にすることもできる、魅力的な仕事なのです。
ちなみに、NPB(日本野球機構)のコミッショナーの年俸は「2,000万円」と言われています。
勤務実態が「週に1回、黒塗りの車の送迎でコミッショナー事務局に顔を出す程度」と聞かされたら、「高すぎる!」と感じるファンが多いようです。けれど、MLBのコミッショナーはその100倍です。
この数字に、日本のプロ野球とMLBの根本的な違いが集約されています。
では、なぜMLBのコミッショナーはこれほどの高額報酬をもらうことができ、しかも、周囲が納得するのでしょう?
日本のスター選手がMLBと契約するたび、“高額年俸”が話題になります。NPBでは、長く活躍を重ねた主力選手で3億円くらい。
年俸5億円に達する選手はごくひと握りです。けれど、このクラスの選手がMLBに渡ると軽く10億円を超える年俸で契約できます。
2014年に田中将大投手がニューヨーク・ヤンキースに入団したとき、契約額は7年で1億5,500万ドル、当時のレートで約160億円と報道されました。年俸にすれば約23億円です。日本とは桁が違います。
でも、「つい20年前まで、NPBとMLBのビジネス・スケールはほとんど同じだった」と言ったら、信じてもらえますか?
ここにひとつのデータがあります。NPBとMLB、それぞれの売上金額です。
・1994年の売上
NPB:1,200億円
MLB:約14億ドル(約1,120億円)
・2012年の売上
NPB:1,200億円
MLB:約75億ドル(約5,600億円)以上
日本のプロ野球が横ばいで変わらないのに対し、MLBは5倍以上の成長を遂げたのです。
※それぞれ当時のレートで日本円換算
一体、何があったのでしょう?この差は何でしょう?
MLBの野球が20年前より5倍面白くなったのでしょうか。選手のパフォーマンスが5倍素晴らしく伸びたのでしょうか?
そうではありません。この較差が生まれた最大の要因は、各球場で展開される試合や選手たちのパフォーマンスをどのように収益に変えるか?つまり、ビジネスに携わる担当者の意識改革、そしてビジネスの仕組みそのものの変革にありました。
その先頭に立ったのが、1992年からコミッショナー代理に就任したバド・セリグです。コミッショナーが「MLBの最高経営責任者」として経営改革を推し進めた結果、ファンが戻り、売上がうなぎ上りに伸びているのです。
NPBのコミッショナーが「法の番人」のような性格で、経営に深く関わらないのと、そこが大きく違います。
経営のプロとして、4,000億円を越える増収を実現したからこそ、退任する年には年俸が20億円を超えていたのです。
活躍すれば年俸が上がるのは選手だけではありません。
経営のプロもまた評価を受け、高い報酬を得ることができる、それが本場アメリカのスポーツ・ビジネス界です。
※これより下に文章はありません。noteの仕様によるものです。
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