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【英語】ビジネス英語を攻略した僕の人体実験⑭ 『効果のあった学習方法と効果のなかった学習方法』

シンガポールの高層マンション。窓の外には、スコール上がりの空に虹がかかっていた。まるで、誰かが僕を祝福しているかのように、あるいは、これから起こる珍事件を予感させるかのように。僕は、深い溜息をつきながら、冷えたコーヒーを一口飲んだ。

この物語を語り始めるのも、もう何度目になるだろう。でも、あの時の記憶は、昨日のことのように鮮やかに蘇ってくる。それは、僕の人生を大きく変えた、片道切符での海外異動の物語。そして、TOEIC 445点という絶望的な英語力からの七転八倒の英語学習奮闘記だ。

英語学習には終わりがない。まるで、どこまでも続く砂漠を旅するキャラバンのように。これまで、英語との向き合い方、海外で働く上で大切なこと、英語の伝え方、英語脳の育み方、海外出張での経験、英語の壁、海外現地採用のリスク、英語プレゼンのテクニック、英語を話す時の瞬発力の鍛え方、ビジネス英語と日常英語の違いなど、様々なことを書き綴ってきた。

今回は、TOEIC 445点という、アメリカのスターバックスでキャラメルマキアートを頼んでも店員に怪訝な顔をされるレベルの英語力だった僕が、GAFAの海外法人で外国人だらけの組織を管理する管理職になるまでに試した英語の学習方法の中で、僕にとっては効果があったものと僕には合わなかったものを紹介しようと思う。

ただし、これはあくまで僕の経験だ。万人が同じであるわけもないし、むしろ真逆の考えを持っている人もいるだろう。僕は、いろいろな人が世の中にいるし、みんな違ってみんないい、そう思っている。

まず、僕にとってとても役に立った英語学習サービスを3つ紹介する。いずれも、これまでのnoteで紹介しているので、ここでは過去記事のリンクと簡単な説明のみにする。詳細が気になる場合は、僕の過去のオンライン記事を読んでみてほしい。

1) オンライン英会話:これは、外国人の先生とマンツーマンで会話する練習だ。まるで、異文化交流しながら、生きた英語を学ぶことができるバーのようなものだ。最初は緊張してうまく話せないかもしれないが、回数を重ねるごとに、自然な会話ができるようになる。まるで、初めて訪れたバーで常連になるように、少しずつ慣れていくのだ。

2) 瞬間英作文:これは、日本語の短い文章を瞬時に英語に訳す練習だ。まるで、頭の中で日本語と英語の辞書を引きながら、高速でページをめくるようなものだ。最初は簡単な文章から始め、徐々に複雑な文章に挑戦していく。まるで、ダンベルで筋トレを始めるように、少しずつ負荷を上げていくのだ。

3) 英語の瞬発力を鍛える筋トレ:これは、英語の音声を聞きながら、少し遅れてそれを真似して発音するシャドーイング系の練習だ。まるで、自分の声が、元の音声の影のように寄り添うイメージだ。最初はゆっくりとした音声から始め、徐々にスピードを上げていく。まるで、自転車に乗る練習をするように、バランスを取りながら進んでいくのだ。

これらの3つの方法は、いわゆる僕の英語習得のコア部分だ。どれか一つが大切なのではなく、僕にはこの順番で3つとも必要だった。まるで、おいしい料理を作るのに必要な食材のように、どれも欠かせないものだった。

しかし、これらの学習法だけでは、英語を実際に使う場面での緊張感や、臨機応変に対応する力は身につかない。

そこで、僕が実践の場として選んだのは転職面接だった。

転職面接は、まさに、英語でのコミュニケーション能力を試される場だ。緊張感の中で、相手の質問を正確に聞き取り、自分の考えを分かりやすく伝える必要がある。まるで、リングの上で戦うボクサーのように、あるいは、オーディションを受ける役者のように、僕は毎回、全神経を集中させて面接に臨んだ。心臓はドキドキと高鳴り、手には汗が滲み、まるで、初めての大舞台に立つ新人歌手のような気分だった。

リスニングに関しては、面接を受けている以上、的はずれな回答をするわけにもいかないので、普段より耳を研ぎ澄ませて、面接官の質問を聞き取ろうとする。少なくとも、僕はリスニングは一番苦手であったのでそうしていた。

この時、一生懸命聞こうとする姿勢が、英語を聞き取ろうとするリスニングの筋肉を鍛えてくれる。経験すればするほど、例えば志望動機などを聞かれる場合も、いろいろな聞き方が存在することを知ることができる。中には、全く志望動機というようなニュアンスは言わず、「よっしーさんがこのポジションについて理解していることを一通り話してください」のような遠回しな言い方も存在するのだ。

転職面接で実践する英語学習は、面接慣れとリスニング力の強化の双方が獲得できる、非常に即効性の高い学習方法だと思う。でも、本気であればあるほど終わった後の疲労感が大きいので、面接の予定は計画的に組むことをおすすめする。僕の経験では、一日に最大3回連続英語面接を経験したことがあるが、終わった後は脳みそが沸騰した。

この学習方法は、可能な限り初めて合う人(面接官)と、緊迫感のある状況でやる事が好ましいので、オンライン英会話の先生や生成AIを使った模擬面接ではなく、キャリアアップを兼ねて本当の面接で行うことをおすすめする。

続いてスピーキングだ。転職面接は、僕にとってはいくつかの意味でスピーキング力向上に貢献してくれた。例えば、僕にとっては英語で受けて英語で答える練習になったのを覚えている。

英語に慣れていない頃は、僕は受け取った英語を、一旦、日本語で解釈し直し、それについての反応を日本語で考えてから、英語に訳して、発信していた。頭の回転の早い人だと、この方法でテンポよく英語の会話ができてしまうが、僕はそうではないので、反応速度が極めて遅かったと思う。

そして、この反応速度が転職面接では非常にネガティブに働いてしまう。なぜなら、転職面接は、質問に回答することも大切ではあるが、面接官との会話がリズミカルかどうかも合否に大きく影響するからである。

例えば、自分が面接官をしている時、候補者に質問するたびに「少し考えさせてください。」と言われ、数分待たされた上で、回答をしてもらった場合、面接官である自分はどう感じるかを考えてみてほしい。

これは、混雑もしていないまっすぐの道を走っているときに、信号ごとに一旦停止をして、左右前後ろを確認してから進むというような、歯切れの悪い走行と同じで、リズミカルなテンポのいい会話とは程遠い。

逆に、候補者からの回答がそれほど整理されて長いストーリーにはなっていないものの、テンポよく返ってくるので、楽しく考えを深堀りできるような会話はどうだろうか。少なくとも、僕にはこの候補者との会話のほうが楽しく思えるし、候補者から聞き出したい話も効率的に聞くことができると思っている。何より、コミュニケーションという観点では、印象がよい。

僕はこの会話のテンポ理論に気がついた時から転職面接の通過率が大幅に上がり、GAFAの未経験ビジネス(コンシューマー向けの動画サービス)の未経験ポジション(パートナービジネスを統括する管理職)への無謀な応募以外の面接は、辞退したものも含めて、すべて通過するようになった。

偶然の結果なのかもしれないが、候補者としての僕が手応えを感じる転職面接では、テンポよく話したいことをすべて話すことができていることばかりだったし、面接官としての僕が候補者にいい印象を保つ場合もやはり同様であるため、大きくは的外れではないのだと思っている。

一方で、僕には合わなかった英語の学習方法もいくつかある。

まず、英語を知るという意味ではもちろん重要ではあるものの、英語を話す上では全く役に立たなかったのは日本の義務教育の英語だ。

例えば、今の世代はわからないが、僕の世代では、学校の教科書(New HorizonやNew Crown)は、以下のような会話の英語から始まる。

Hi, Mike! Hi, Ken! How are you? I'm fine, thank you! How are you?

同世代の方であれば、こんなニュアンスの会話は記憶に残っているかもしれない。

でも、実際に海外で生活をしていると同じことを感じる方も多いかもしれないが、How are you? に対して、I'm fine と答える人に出会ったことはない。

よくある反応は Good や Great であり、How are you? に対して How are you? で返してくる人も珍しくない。これは、英語ネイティブにとっては、日常生活にの中でNHKのニュースキャスターのような話し方をするような違和感を感じるのかもしれない。

その他にも、This is a pen という文章への違和感だ。おそらく、この英文を口にしたことがある英語話者はそれほどいないのではないだろうか。日本の義務教育の英語が以下に会話に適していないのかを説明する時の例として、僕はよくこの例文を使う。そして、僕以外に、この英文を実際に口にしなければならなかった人に出会ったことはない。

僕がどのようなシチュエーションで This is a pen を言わざるを得なかったのかというと、マレーシアを出国する時の空港の保安検査場で、僕のカバンからこのペンが落ちてしまい、不審に思った検査官から What's that? と聞かれた時の回答だ。後にも先にも、僕が This is a pen を口に出して話さなければならなかったのはこの時だけであるし、僕の知人や友人ではこの文章を発したことがある人は存在しない。

This is a pen の僕のペン

繰り返しになるが「英語を知る」という意味では、日本の義務教育の英語は十分に役割を話しているが、「英語を話す」という意味では、そもそも僕の時代には話す機会もなければ、例文で乗っている英語の文章も、現実世界では使わないような古い表現や特殊な文章ばかりで、使えるものではなかった。少なくとも、僕はそう思っているので、その学習内容でテストの点数が100点、偏差値が80でも、英語が話せることにはならないのかもしれない。

また、駅前留学も僕には合わなかった。週に1回、英会話スクールに通っていたが、そこで学んだことは一つも記憶に残っていない。まるで、砂漠に水を撒くように、効果を感じることができなかった。高額な授業料を払ったにも関わらず、僕の英語力は一向に上達しなかった。まるで、高級レストランで出てきた料理が、口に合わなかった時のように、がっかりした気分だった。

僕が通っていた英会話スクールは、レベルが1から10まで設定されていた。レベル1では、自己紹介や道を聞かれたときに説明できるというような基礎レベル、と定義されており、レベル10になると、価値観の異なる相手とも円滑に意思疎通ができ、ビジネス上でも危機管理ができる、と定義されている。

僕はレベル3(身近な話題で意思を伝えられるレベル)のレベルで入学し、レベル9(価値観の近い人々と踏み込んだ会話ができるレベル)まで到達した。

数字だけ見れば大きく成長したといわれるかもしれないが、僕はこの英会話スクールで学んだことを一つも覚えていない。

そもそも、僕は勉強というものが嫌いなので、予習や復習は性格上してこなかった。学生時代も宿題はあまり提出した記憶もない。そんな学生として最低限の事ができない僕にとっては、英会話スクールは「週に1回90分拘束される場所」でしかなかったのだ。

それだけだと僕がただダメな人間であることが理由といわれてしまうかもしれないので、英会話スクールで感じた、僕の違和感についても書き綴っておく。

1つ目の違和感は「教材に使われている英語表現」だ。僕はビジネス英語を学ぶために英会話スクールに通っていたので、教材の英語表現にはビジネスに関係しそうなものが溢れていた。でも、それらの表現は、あえて小難しく、まどろっこしい表現のようにも感じた。実際に現在社会の中で英語で仕事をする際には、そんな英語表現で話す人は出会ったことがない。

もう一つの違和感は、僕がひどい英語を話していても、それを正してくれる先生が極めて少なかったことだ。僕が通っていた英会話スクールは、おそらく英会話スクールに入学するときに誰もが候補に上げるであろう有名なところ、そして少し高額なところだった。

講師は精鋭部隊であることを高々と宣伝していたわけだが、実際には仕事だからやっている感がにじみ出ている講師がほとんどで、彼らから英語を教える熱意を感じたことは一度もなかった。僕は、ただ教材に書かれている英語を復唱し、聞かれた内容をひどい英語で回答し、直されることもないまま90分を消費する、これを2年も繰り返していただけだった。

その他、海外出張や短期留学についても、僕の経験を書いておく。

僕は、海外移住をする前に、1週間ほどの海外出張(主にアメリカ)を30回くらいしているし、3ヶ月のアメリカ滞在生活も経験している。いずれも「英語に慣れる」という目的は達成できるものの「英語を使えるようにする」には足りないと思っている。

英語は短期間でマスターできるほど甘くない。僕の持論では、英語学習は楽器演奏やスポーツと同じだ。やればやるほど伸びるが、机上の学習で知識を詰め込んだだけで会話力が伸びることはない、そういうものなのだ。

例えば、2週間の◯◯短期留学のようなものを、初めて習うサッカー2週間強化合宿と重ねてみると、そこで成長する成長度合いがどれくらいのものなのかがイメージしやすいのかもしれない。サッカーを始めて2週間の大人が、小学校のサッカー部の選抜メンバーとして試合に出るレベルに到達することはあったとしても、中学や高校のサッカー部で同様の域まで到達することはおそらくないだろう。

でも、ビジネス英語というのは小学校レベルでも、中学校レベルでも、高校レベルでも、大学レベルでもない。社会人レベルなのだ。たとえ、小学校レベルのサッカーで選抜メンバーとして試合に出れるレベルになったとしても、社会人レベルとは程遠い。

僕は、僕が経験して学んだことを書いているだけなので、ビジネス英語の習得方法については、たくさんの異なる考え、反論、そして例外もあると思っている。でも一つだけ "それはない" というか、明らかな誇張表現だと思うのは、「聞いているだけで英語が話せるようになります」や、「1ヶ月(2−3ヶ月でも同様)の海外留学で英語が話せるようになりました」の類の、英語の筋トレをすっ飛ばして英語を習得できましたアピールだ。

英語は短期間でマスターできるほど甘くないので、じっくりと時間をかけて、可能な限り途切れることなく、使えるレベルに持っていくことが大切だと、僕は思っている。

次回は、TOEICのスコアと英語の理解度の関係性について書き綴ってみたい。僕の中ではTOEICが1000点満点ではなく990点満点である理由も、この理論により納得がいっているので、そういう考え方もあるのだな程度に、楽しみながら読んでもらえればと思う。

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