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「苦しかったときの話をしようか」を読んで

今更ながらだが読了。
就職活動生、企業の採用担当、キャリアコンサルタントだけではなく、「人と関わる」ことがあるのであれば、ぜひ読んでいただきたい。

まさに名著と呼ぶべき一冊。仕立てとしては、超有名マーケターの森岡毅氏が就職活動を迎える娘に向けた、自らの経験をもとにしたアドバイス書となっている。
ただ、書いてある内容は極めて本質をついており、素晴らしいとしか言いようがない。これまでキャリアに関する書籍や記事などを読んできた中で一番をつけても良いと思う。

そのレベルまで「揺さぶられる」のは、著者である森岡氏がキャリアの専門家ではないからかもしれない。自身の実体験に基づくキャリア観がベースになっているため、机上の論理や分かりづらい理屈など抜きにして実世界そのものを描いている。

以下、読書メモである。

はじめに 残酷な世界の希望とは何か?

  • キャリアの世界も残酷な世界に満ちている。神様の正体は確率であり、一つ一つの事象の配分は極めて平等にランダムに行われている。ただ結果的には偏りがあり、幸運な人と不幸な人が存在するのが残酷な真実である。

  • そんな残酷な世界と向き合って、どう生きていくのか。キャリアとはその質問に対する一人ひとりの答えである。運不運があるランダムな世界の中での希望は、「それでも選べる」と言うこと。そして自分の人生をコントロールする選択肢を握っているのは自分自身しかいない。

  • 実は選べた。選べるにも関わらず、多くの人はそれを選択しない。選択のサイコロだけは自分の手に委ねてくれているのに、それに気がついていない。

  • 好きなことを選べれば、興奮と感動というやりがいを得る。人はそれを味わうために生まれてきた。もし1社目で失敗したら、2社目を選べば良い。


第1章 やりたいことがわからなくて悩む君へ

  • やりたいことがわからないのは、大学生だけではなく、社会人になってもその悩みを持ち続ける人も多くいる。

  • 大学生になって社会人になる時期が近づいたら、自分の進むべき道は自然に見えるようになると思っていたのに、全くそうはならなかった!そんな状況の人が多い。

  • 人生の岐路に佇んで、最初の一歩を踏み出すサイコロを振るその時が就活。サイコロを振るのは自分自身、そしてサイコロの目が自分にとって納得できる選択であることが最高の形。

  • やりたいことがわからないのはなぜか?仮に世界中の職業を理解できたとしても、かえって混乱する。オプションが多いほど人は混乱し、選択できなくなるもの。

  • 問題の本質は、世界のことを知らないことではなく、自分自身のことをよく知らないことである(問題の本質は、外ではなく、君の内側にあるのだ)。だから、自分の中に基準となる軸がなければ、やりたいことが生まれるはずも、選べるはずもない。

  • 軸によっては、業界などが絞られることはなく、むしろ業界をまたがって複数社行きたい場所が見つかる場合もある。

  • また、日本人はSelf Awarenessが弱い。進路も文理選択も、何となくで決まってしまい、自分について考える機会が人生において少ない。

  • 成功は必ず人の強みによって生まれるもので、決して弱みから生まれることはない。強みと弱みは表裏一体であり、全て「特徴」であると考えるべき。

  • 同じ特徴であっても、宝物になるか弱みになるかは文脈次第。例えば、空気を読めない人も場合によっては、場に流されず自己主張がしっかりできる人、となる。

  • まずは自分自身を全て肯定して、特徴としての凹凸を探すこと!

  • キャリア戦略とは、その人の目的達成のために、その人が持っている特徴を認識して、その特徴が強みに変わる文脈を探して泳いでいく、その勝ち筋を考えること。


  • 高校や大学では、周囲との相対比較で自分の凹凸が見えにくいかもしれない。ただ、この特徴探しは、自分の内側での凹凸を比較することが大事。

  • ただし、社会に出れば相対比較から逃れることはできない。最終的には同じような強みを持つ人と競争して秀でていなければいけない。

  • だから、見つけた凹凸という宝物を必死に磨くことに時間を費やすのが人生であるべき。(実際、自分の宝物を磨けている人はごく少数で、自分の宝物を認識していない人が大多数)

  • 宝物を磨いていると、最後にたどり着く競争相手は、自分自身の自己保存本能(楽で安心安全な方向へ行きたがる心理)である。

  • 会社と結婚しない、職能と結婚すること。会社はどうあっても従業員とエンゲージすることはなく、時に放り出されることだってある。一方スキルは、相対的に、最も維持可能な個人財産である。

  • 会社の看板がないと仕事ができない、スキルを身につけずにいいように使われている人は、安定を求めて転職せずに生きてきたはずなのに、むしろ日に日に大きくなるリスクを抱えている。


  • 就職活動とは、どこかに一つしかない大吉(正解)を探して追い求め、そこに辿り着かなかったら大失敗と思われがち。自分の特徴が活かせる場所は沢山ある。つまり、キャリアにおける正解はたくさんある。むしろ不正解以外は全て正解である。

  • 不正解とは、自分にとって決定的に向いていない仕事に就いてしまうこと。特徴が裏目に出たり、情熱が全く湧かない仕事だったり。

  • 不正解を掴んでしまう最大の要因は、自己分析不足にある。内定を取るために別人格を演じるのは不幸の始まりであり、不正解を自ら呼び寄せてしまう行為である。

  • 正解と思った会社でも、会社が大吉のキャリアを与えてくれるとは限らない。だからこそ自分の宝物を磨き続けることが大事。


第2章 学校では教えてくれない世界の秘密

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