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三年目

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2021年の詩まとめ
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2021年3月の記事一覧

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カボチャの馬車にのって王子様に会いにきたシンデレラは午前0時に帰らなくてはいけないけど、わたしたちは午前0時に待ち合わせましょう、日付がかわるその瞬間、一日のすべてがリセットされて清くなります、まっさらになったわたしと君で、はじまりをはじめましょう、闇に浮かぶ三日月の滑らかなカーブで寝てみたい、輝く星たちはけっしてわたしたちを邪魔することない透明な光、二人が指差した星を繋いで秘密の星座をつくりまし

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はる

春がそこまできているにおいがします
暖かいひざしはすきなのに
春のにおい、胸がざわざわして向き合えません
桜吹雪に巻き込まれて消えてしまえたら素敵なのに
足元に散った花弁を踏んで進むしかないわたしたち
綺麗なものはいつか必ず朽ち果てて
わたしたちは見て見ぬふり
綺麗な春だけ思い出にしましょ
そうすれば来年の春も待ち遠しくなるでしょ
桜吹雪に巻き込まれて笑顔のあなたは春の妖精

せんせい

まだ世界の広さを知らなかった4、5歳のわたしのせかいは疲れない程度に歩ける範囲
通っていた医院は先生ひとりと看護師兼受付の女の人ひとりだった
もしかしたら看護師さんと受付のおねえさんは別人だったかもしれないけれど
あの小さな医院内に三人もの大人が居るとは思えなかった
お医者さんはその先生ひとりだと確信していたあの頃
子ども相手でも決して営業スマイルしない看護師さん(と受付のおねえさん)

診察後に

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