夜崎梨人

趣味で小説を書いています。小説は各マガジンから。ファンタジーとブロマンスと食べる話をメ…

夜崎梨人

趣味で小説を書いています。小説は各マガジンから。ファンタジーとブロマンスと食べる話をメインに書きたいものを書きたいように。

マガジン

  • 雨の日に君を待つ

    神隠しされた男子高校生と神様の話。 #文披31題 参加作品。

  • 800字100日チャレンジ

    「800字程度の短編小説を100日間続けてみよう!」というチャレンジで書いた短編小説をまとめています。

最近の記事

【案内】創作BLwebオンリー関係性自論3 に参加します

【イベント詳細】▼日時:8/26 23:00〜8/27 22:50 ▼通販場所:booth ※boothのURLは最後に添付します。 ▼イベント詳細 X(旧Twitter)でのエアイベントとなります。 ※本来であればpictSQUAREでの開催でしたが、サーバー攻撃を受けたことにより現在はサービスを停止しており、アクセスができない状態になっています。 【頒布物紹介】①『君と夜明けをみたい夜だった』 本文サンプルはこちら👇 ②『糸山兄弟のお弁当事情』 シリーズサンプル

    • 小説|雨の日に君を待つ DAY8

      -------- ❁ --------  久し振りに晴れた日がやってきた。ようやく梅雨が明けたらしい。  これから徐々に気温が上がり猛暑が続くと思うとぐったりするが、今は素直に晴れた事を喜ぼう。  今日は珍しく両親も幼馴染も仕事で不在である。家を出ないでほしい、とは言われたが今日ばかりは「ノー」と答えた。いい加減ずっと部屋に篭るのも、誰かに監視されながら出歩くのも堅苦しくてしょうがなかったのだ。  スマホのGPSと追跡アプリをオンにする事を条件に、誰の付き添いもなく出掛ける

      • 小説|雨の日に君を待つ DAY7

         -------- ❁ -------- せっかくの七夕だというのに、外はどんより雲がかかっている。  織姫と彦星が一年に一度しか会えない日だと言うのに、天気を司る神様は意地悪だ。何かで七夕の夜に降る雨は、再会が叶わなかった織姫の涙だと聞いたことがある。地上に溢れるほど泣いているんだろうか。  そういえば、神を自称している男ーー雨水は水を司る神だと言っていた気がする。雨とか、川とかそういうやつだと。この男にお願いすれば、雨も止むのではないだろうか。 「できん事はないが、対価

        • 小説|雨の日に君を待つ DAY6

           -------- ❁ --------  十年経つと携帯電話も驚くほど進化しているらしい。  当時は最新機種だった愛用の折り畳み式携帯電話も、十年経てば過去の物。ケータイと呼んで親しんだあの時とは違い、ガラケーと呼ばれるようになっていた。ガラパゴスケータイって聞いた時は、動物の楽園の島しか浮かばなかった。  そのガラケーは、つい最近サービスが終了したらしい。一部は使えるらしいが、俺の機種は対象外だとの事だ。  悲しみに暮れる俺に、幼馴染が新しいケータイを用意してくれた。費

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        マガジン

        • 雨の日に君を待つ
          8本
        • 800字100日チャレンジ
          44本

        記事

          小説|雨の日に君を待つ DAY5

          -------- ❁ -------- 「蛍を見に行かないか?」  自称神様はよほど暇らしい。  神隠しから目が覚めてからというもの、四六時中俺の周りにひっついている。時々、あそこに行こう、ここに行こう、とテレビを見たり雑誌を読んでは提案してくる。 「行かない」 「なんだ、つれないじゃないか」  昼間、コンビニや近所に散歩へ行く程度なら文句は言いつつも頷いただろう。俺だって外に出たいから。でも、夜はダメだ。出掛ける事すら許してもらえないだろう。 「夜出歩こうもんなら、部屋に

          小説|雨の日に君を待つ DAY5

          小説|雨の日に君を待つ DAY4

          -------- ❁ --------  いよいよ退院の日がやってきた。  入院してからあまり長い時間をかけずに退院できたのは、少しホッとしている。いつまでも病室にいるわけにはいかない。  そもそも十年神隠しに遭っていた事を除けば、片目しか見えない人間のリハビリに何ヶ月もかけるわけにもいかないだろう。神隠しに遭っていたとはいえ、本人の体感は数時間程度だ。正直、道に迷って目が覚めたら十年経っているとは思わないだろう。 「退院おめでとう」  誰よりも早く祝いの言葉をくれたのは、

          小説|雨の日に君を待つ DAY4

          小説|雨の日に君を待つ DAY3

          -------- ❁ --------  子供の頃、文鳥を飼っていた。名前は「アル」とつけて可愛がっていた。  もうずっと幼い時だ。神隠しで十年経っていると、高校生の見た目でも子供の頃と懐かしむにはどう計算していいのかわからない。ただ言えるのは、俺が小学生だった頃の話だという事。  弟のように可愛がって、ある日寿命でパタリと動かなくなってしまった。それが初めて知った生き物と家族の死だった。夜通したくさん泣いて、朝が来たらパッタリと涙は止んだ。  あれ以来、生き物は飼わない事

          小説|雨の日に君を待つ DAY3

          小説|雨の日に君を待つ DAY2

           目が覚めたら自分が覚えている記憶から十年経っていました。って言われて信じれると思うか。  普通は信じられないし、受け入れ難いだろ。俺もそう思う。  でも、母さんは十年も俺が行方不明ということもあって、心労なのか一気にシワや白髪が増えてしまった。見覚えのない男だと思ったら、幼馴染の佐伯信飛古だと言う。俺が知らないだけで十年の流れで成人もしてるのは当たり前だし、三十路手前なのも信じられない。しかも、一番ニートまっしぐらだと噂していた男が一流企業で営業のエースをしているとか何があ

          小説|雨の日に君を待つ DAY2

          小説|雨の日に君を待つ DAY1

           ずっと歩き続けているような気がする。  高校生にもなって迷子というのはかなり恥ずかしい。携帯電話は圏外で誰にも連絡がとれないし、友達や家族の名前を呼んでも返事はしない。   村の収穫祭に友達と来ていた。屋台が色々と出ているので、各々見たい屋台に行っては合流して、というのを繰り返していた。俺も面白そうな屋台を見つけたのでふらりと友達の輪から外れて、振り返ってアイツらを呼ぼうと思ったら誰もいなかった。  気づけば祭囃子の音も聞こえなくなっており、会場となっていた神社から随分と離

          小説|雨の日に君を待つ DAY1

          短編小説|世界平和にかき氷を

           異世界へやってきても蒸し暑い夏が巡ってくるとは思わなかった。剣と魔法のファンタジー世界なので、夏は暑くてもカラッとしてるもんだと。  寒くて雪が降る冬はやってくるし、だんだん温かい春がきたと思えば、じめっとした梅雨もくる。思わず異世界に召喚された事なんて忘れそうな、日本を思わせる季節の巡り。気づけば一年が過ぎようとしている。  召喚された人間にはそれなりの特典が付与される。剣術や魔法など様々だ。その内の一つ、氷魔法を付与してくれた神様にはお礼を言ってもいいかもしれない。  

          短編小説|世界平和にかき氷を

          【告知】文学フリマ東京36に参加します

          文学フリマ東京36の参加告知です。 【イベント詳細】①日時・場所 ▼日時:5/21(日) 12:00〜17:00 ▼場所:東京流通センター 第一展示場・第二展示場Fホール ▼ブース:M-41 はっかあめ ▼カタログ:http://c.bunfree.net/e/9Kf ②会場配置図 ブースは【第一展示場】の【M-41】です。 会場へ入って右手に進んだ【M列】の手前側になります。 【頒布物紹介】①【新刊】『春を告げて夏が来る』 見本誌コーナーへ提出予定です。 本文サ

          【告知】文学フリマ東京36に参加します

          短編小説|内緒のおやつ時間

           月に一度の楽しみがある。  この日ばかりはいつもその時間が待ち遠しくて、ソワソワしてしまう。家庭教師の言葉が耳から通り過ぎるくらいには落ち着きがないので、「集中しなさい」と本の背がボクの頭にコツンとぶつけられる。先生もいつもの事だとわかってくれているが、授業を早めに切り上げてはくれるほど優しくはない。  どうにか今日一日の勉強の時間を終えて、急いで目的の部屋へ向かう。  家に仕えているメイドや執事達が暮らす別棟の一室の前で立ち止まる。ドアを二度叩くと、部屋の奥から声がした。

          短編小説|内緒のおやつ時間

          短編小説|姉と弟とバースデイケーキ

          『今から行くから私の誕生日を祝いなさい』  姉からとんでもないメッセージがきた。しかも、それを読んだ頃を見計らったかのようにインターホンが鳴り響いた。さてはアパートの前で送ったな、この人。  僕がドアを開けに行くまでもなく、ガチャリと鍵の開く音がした。合鍵を渡してあるので、出入りは自由だがせめてインターホンを鳴らしたなら家主が開けるまで待っていて欲しいものである。追い返さないから、たぶん。 「お姉様が来てあげたわよ! 喜びなさい、弟」 「はいはい。わーい、ようこそ姉貴」 「そ

          短編小説|姉と弟とバースデイケーキ

          短編小説|ごめんください

           祖父の家を譲り受けた。山に囲まれて、周りは田んぼか畑の緑豊かな土地にあるその家は、存外住み心地が良い。  大学を卒業して就職した会社はとんだブラックな企業だった。新人で右も左もわからないうちから、なぜできないんだと怒鳴られるのが日常茶飯事。加えて労基も真っ青な残業時間の会社でよく八年心と体が潰れなかったと思う。結局、最後に過労で倒れてクビになったわけだが。  しばらく働く事もできないだろうと気遣った両親が、昨年他界した祖父の家を管理してくれと提案してきた。ありがたくそれに乗

          短編小説|ごめんください

          短編小説|行方不明者

           もう何年も友人を探している。  子供の頃、何度も訪れた母が生まれた場所で出会った。大人になった時に一度だけ届いたメールは白紙の文面だった。間違えて送信ボタンを押したのかと思ってすぐ折り返しのメールを送ったが、返事はないどころか『現在使われておりません』と返ってきてしまった。アドレスを変更した連絡だったのかもしれない。そう思って待ったが、何年経っても友人からメールは届かなかった。  それから何年か経って、ふとあの場所を訪れようと思い立った。連絡が取れない友人にも会って話がした

          短編小説|行方不明者

          短編小説|二度目の人生は甘党男子

           二度目の人生は好きな物を食べてやる。交通事故で意識が遠のく中、俺はそう心に誓った。  前世は、親が子供の管理をしたがる家だった。その上、男が甘い物を食べる事は許されない。GPSをつけられているから買い食いもできないし、付き合う友達も管理された。大人になってから後々影響が出たのはいうまでもない。  だから、二度目の人生を歩めるのなら好きな物を食べようと思ったのだ。幸運な事に前世の記憶を持ったまま二度目の人生がやってきたのだ。両親は良い意味で放任主義のため、歳を重ねていくごとに

          短編小説|二度目の人生は甘党男子