かかし相談員

一般病院で10年以上MSWをしていました。世界遺産大好き、フォークソング大好き、本も好…

かかし相談員

一般病院で10年以上MSWをしていました。世界遺産大好き、フォークソング大好き、本も好き。 徒然なるままに好きなことを書いていきます。 私が病院で出会ったAさんはすべて本人特定できないように修正していますが、意外とどこにでもいるAさんです。 がん経験も紹介します。

マガジン

  • がん相談支援者、がんになる

    がん相談支援者ががんになって分かったこと、気づいたこと、経験したことなど書きます。

  • I 💖 books

    読んだ本です。

  • I 💖 フォークソング

    フォークソング大好きです。

  • 私が出会ったAさんたち

    たくさんの人との関わり、思い出書いていきます。

  • I 💖 世界遺産

    世界遺産が好きです。世界遺産検定1級もってます。

最近の記事

がん相談支援者から当事者へ(その9)

1年間の抗がん剤治療の結果、再発もなく治療は終了しました。 その後は1か月ごと、3か月ごと。半年ごとと定期受診の頻度は減り、腫瘍マーカーも胃カメラも造影CTの結果も異常なく、5年目を迎えました。 ちょうど5年目の検査を行い、これで異常がなければ晴れていったん卒業、のはずが診察で思わぬ言葉。 腫瘍マーカーが上がっています。 確かにCA19-9というマーカーが50くらいに上がっています。 胃カメラの所見を見ても、造影CTの所見を見ても特に異常は見つからず。 主治医からは2か月後

    • がん相談支援者から当事者へ(その8)

      今回はがんになって気づいたこと、わかったことを紹介します。 1, とにかく「感謝」 がんになったことで家族や職場の人、知り合いに気づかいやお世話いただきました。 特に妻には感謝感謝でした。 それまで当たり前だったことが当たり前でない、そのことに気づき、とにかくいろんなことに感謝の気持ちでいっぱいでした。 正直「ありがとう」という言葉が増えたことが自分でもわかりました。 2, 神だよりの気持ち 神だよりというよりいろんなことに精神的に頼りました。 知り合いからお守りをたくさ

      • がん相談支援者から当事者へ(その7)

        手術のあと1年間の抗がん剤治療を行い、あとはフォローとなりましたが、私の主な副作用は次のようなものでした。 1. 吐き気 S-1を飲み続けることでドンヨリとした吐き気が続き、シスプラチンの点滴のあとは強い吐き気。 当然食欲減退です。 食べたいもの、食べられるものは、とにかくその時に食べたいと思ったもの。 仕事が終わり帰る前に食べたいものを伝えても、30分後家に着いた時にはすでに食べたくない、ということもしょっちゅうでした。 家に帰ってすぐそばのコンビニに行って食べたいものを

        • バルザック『谷間の百合』

          最近高校生の頃に読んだ小説を読み直したくなります。 バルザックの「谷間の百合」を35年ぶりに読んでみました。 内容はほとんど覚えていなくて、社交界であったきれいな伯爵夫人と若い青年との恋愛物語。 最後は夫人が亡くなってしまうという、ごく大雑把なあらすじしか覚えていませんでした。 改めて読み直してみて、このシンプルなあらすじでどうしたらあんな大作が書けるのだろうと、文才のある人はさすがだと尊敬します。 西洋文学は自然描写や人物描写がすごく詳しいですね。

        がん相談支援者から当事者へ(その9)

        マガジン

        • がん相談支援者、がんになる
          9本
        • I 💖 books
          11本
        • I 💖 フォークソング
          18本
        • 私が出会ったAさんたち
          25本
        • I 💖 世界遺産
          17本

        記事

          がん相談支援者から当事者へ(その6)

          退院後の治療は抗がん剤の飲み薬と点滴の併用。 1週間後の診察で今後の治療方針について説明があります。 が、その日は介護支援専門員研修のため私の代わりに妻が聞きに行ってくれました。 実は手術前に私が気になっていたのは研修会のこと。 介護支援専門員の研修会で毎年講師を担当しているのですが、その年は7月7日。 持ち時間は4時間。 あらかじめ先生に術後でも講師はできるか聞いたのですが、先生は大丈夫でしょう、と。 確かに術後管さえ外れてしまえば歩行もできたし、講師も可能な状態でした。

          がん相談支援者から当事者へ(その6)

          がん相談支援者から当事者へ(その5)

          さて、手術当日はなんとか眠りにつき、翌日からはリハビリが始まります。 リハビリといっても専門のPTさんが付くわけではなく、あくまで自主トレ。 背中についていた麻酔も外れ、しばらくは尿バルーンを付けた状態でしたが、手術翌日から歩けるはずなんて……あるんですね。 バルーンはついていて邪魔ではありましたが、傷の痛みはほとんどなかったし、歩いても痛みはありませんでした。 最初はゆっくり少しずつでしたが、でも師長さんが言っていた通り手術翌日から歩けることに驚きでした。 食事はしばらく絶

          がん相談支援者から当事者へ(その5)

          がん相談支援者から当事者へ(その4)

          晴れて(?)入院となり、入院当日は特に何もすることはありませんでした。 明日の手術は10時ごろから。 手術は開腹ではなく腹腔鏡で行うということで、おなかに数か所穴をあけて行います。 いろいろ聞くと、胃の上部にがんができた場合、上半分を切除すると下部にたまる胃酸が逆流しやすく、全適することが多いとも言われました。 でも今の主治医の先生は逆流しにくい手術方法を考えたようで、事前に説明を受けました。 明日は手術室に行けば、あとは気が付いたら終わっているし、終わったときどんな感じな

          がん相談支援者から当事者へ(その4)

          島崎藤村『夜明け前』

          「木曽路はすべて山の中である…」で始まる島崎藤村の有名な小説。 高校生のころからそのうち読んでみようと思い35年以上たちました。 今回本当に読もうと思い購入。 「夜明け前」とは江戸時代から明治にかけての日本の夜明け前のことだったんですね。 主人公の半蔵は島崎藤村の父。 半蔵の生涯をテーマにした小説です。 この小説は史実を盛り込んだ内容で、歴史上の人物や出来事がたくさん出てきます。 日本史の好きな人には時代の激変を半蔵という主人公を通して知ることができ、面白いのではないでしょ

          島崎藤村『夜明け前』

          がん相談支援者から当事者へ(その3)

          先生に紹介状を書いてもらい消化器内科を受診。 がんが初期なら内視鏡でも切除は可能だからということでした。 紹介先で再度胃カメラの検査。 その結果、内視鏡での切除は困難と診断され、消化器外科への紹介となりました。 その先生曰く、ちょうど最近消化器外科のいい先生が来てくれたから安心してください、とのこと。 その日のうちに消化器内科の紹介のもと消化器外科を受診することになるのですが、そこは大病院。 距離にしてわずか20メートル程度離れた消化器外科を受診できたのはなんと3時間後。 歩

          がん相談支援者から当事者へ(その3)

          がん相談支援者から当事者へ(その2)

          さて、私にがんが分かったのは約6年前になります。 毎年の定期健診で異常が見つかりました。 ただ前年も同じように胃カメラをしていたのですが、結果は普通に慢性胃炎。 たまたま別の先生に胃カメラをしてもらったおかげで異常がわかりました。 病状説明に突然先生から呼ばれ、第一声が「いい先生紹介するから」。 何のこと?と思いつつ机を見ると、目の前には胃カメラの検診結果。 そこには「GROUP5」の文字。 一瞬「えっ?」。 GROUP5っていうのは末期がん? いやあれはステージか。 ステ

          がん相談支援者から当事者へ(その2)

          がん相談支援者から当事者へ(その1)

          私はもともと医療相談員(MSW)として相談にかかわりながら、地域のがん患者支援にもかかわってきました。 その支援者ががん患者になるという経験を5年前にして、今回さらにがん再発という経験をすることになりました。 支援者が当事者になって気づいたこと、経験したことを少しずつ紹介したいと思います。 私は長い間医療機関に勤務し、最初は総合事務だったのですが、途中から医療相談員(MSW)として働くことになりました。 たまたま社会保険労務士の資格を取ったからということで。 今では多くの病

          がん相談支援者から当事者へ(その1)

          サーカスにはピエロが(西岡恭三)

          西岡恭三さんの「サーカスにはピエロが」。 西岡恭三さんといえば、「プカプカ」が有名ですが、この曲はゆっくりしたテンポで誰にともなく歌っている感じの曲です。 別に聞かせたいわけでもないけど聞きたかったら聞けば、みたいな感じ。 でも西岡さんの歌ってそんなところがあるのかもしれません。 亡くなってから20年以上たちますが、たまに聴かせてもらっています。 ♬サーカスにはピエロが 僕は今 両足を抱きかかえ この峠の上に座っている この道を最初にきた君と 一緒に旅に出るために サーカ

          サーカスにはピエロが(西岡恭三)

          高次脳機能障害と障害年金(25人目のAさん)

          リハビリ科の医師から連絡がありました。 外来で通院してるAさんから障害年金の相談を受けたので、一度連絡してアドバイスしておいてください、と。 Aさんは57歳女性。 夫との二人暮らし。 脳梗塞で2年前に当院にリハビリ目的で転院してきました。 身体マヒはあまりなかったのですが、高次脳機能障害が残りました。 高次脳機能障害、見えない障害とも言われ、外見からは障害がわかりにくいのです。 Aさんは失行、記憶障害、注意障害、社会適応障害、意欲低下といった障害が残りました。 会社に勤めて

          高次脳機能障害と障害年金(25人目のAさん)

          つげ義春『つげ義春とぼく』

          つげ義春といえば伝説の漫画雑誌ガロにも掲載されていた1960年代~70年代活躍の漫画家です。 アングラ系のシュールな内容で、ちょっとマニアック。 「ねじ式」「無能の人」といえば分かるのでしょうか? まあ分かる人にしか分からないですよね、当たり前ですが。 「つげ義春とぼく」は漫画ではなく1970年代の日記風紀行文、エッセイ集です。 文章、イラストともにつげワールドを展開しています。 今の若者が読んだらどう感じるんだろ。 ちょっと違う世界にうらやましさを感じるのかな。 のん

          つげ義春『つげ義春とぼく』

          傷病手当金と障害年金(24人目のAさん)

          Aさんの奥様から電話がありました。 入院中は私が担当していましたが、退院後は病院併設の居宅介護支援事業所のケアマネが担当していました。 私でいいの?と確認して受話器を取りました。 Aさんは当時57歳。 脳出血で救急病院搬送され、リハビリ目的で当院に転院。 当時のADLは全介助でした。 脳出血と高次脳機能障害があったので最長180日の入院が可能です。 定年前の発症というのはいろんな意味で大変です。 奥様と二人暮らしで、奥様は健康保険の扶養の範囲でパートで働いていました。 奥様

          傷病手当金と障害年金(24人目のAさん)

          第五氷河期(休みの国)

          知る人ぞ知る休みの国の代表作です。 以前「追放の歌」を紹介しましたが、やっぱりこの曲も紹介したいと思いました。 「追放の歌」はスローテンポでゆっくり前に進むような曲ですが、この「第五氷河期」も同じような感じの曲です。 疲れた時の癒しにピッタリ。 短いので何回も聴けます。 今の忙しい時代になんでこんな曲がいいのか、と思われそうですが、聞く相手もないのに諭すようなそんなところがいいと思っています。 ♬第五氷河期 凍てついた地上の パニックの中で 嘘をつかれて忍び泣く 言い伝

          第五氷河期(休みの国)