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がん相談支援者から当事者へ(その5)

さて、手術当日はなんとか眠りにつき、翌日からはリハビリが始まります。
リハビリといっても専門のPTさんが付くわけではなく、あくまで自主トレ。
背中についていた麻酔も外れ、しばらくは尿バルーンを付けた状態でしたが、手術翌日から歩けるはずなんて……あるんですね。
バルーンはついていて邪魔ではありましたが、傷の痛みはほとんどなかったし、歩いても痛みはありませんでした。
最初はゆっくり少しずつでしたが、でも師長さんが言っていた通り手術翌日から歩けることに驚きでした。
食事はしばらく絶食で薄いおかゆから徐々に始まりました。
これは仕方がないです。

その後尿バルーンを抜いてもらいましたが、抜いた後はしばらく大変。
入れるときに尿道が傷ついていたのか、トイレに行っておしっこをするにも痛くて普通にできないのです。
自己導尿している人はそんな痛みないのかな?
痛いながらも何度かするうちに治まってきてやれやれでした。

先生から退院日は6月30日と連絡がありました。
21日に入院して30日退院なのでちょうど10日間の入院です。
がんで胃の半分を切除する手術をしても10日で退院できるってすごいと思いました。

退院の前日先生から今回の胃がんについての説明。
当初の見立てよりかなり進行していて最終的な確定はステージⅢC。
つまりステージⅣの一歩手前。
かなり進行していたということです。
昨年の検診では異常は見つけももらわなかったのに、今年見つかってしかもステージⅢⅭ。
もし今年見つかっていなかったら間違いなく最終ステージになっていたことと考えるとゾッとしました。
よく今年の検診の先生が見つけてくれたものです。
先生からは胃カメラの性能でいえば、ここの胃カメラと最初に見つけた胃カメラでは4Kテレビとブラウン管くらいの違いがあるということ。
よく見つけてもらったものです、といわれました。
本当に感謝感謝です。

確定したステージがわかってすぐに調べたのは生存率。
ステージⅢではなく、ⅢⅭの生存率です。
いくつか調べてどうしても厳しい数字を信じてしまいます。
5年後生存率30%。
厳しいなあ、と思いましたがこれも現実。
ただ、5年後生存率、10年後生存率といいますが、これは過去のデータ。
このデータの対象になった方は今より5年以上、10年以上前の治療を受けた方です。
がん治療はとにかく日進月歩。
今の治療を受けた人の5年後データは今出ている数字よりもはるかにいい数字が出るはず。
だから過去のデータに振り回されないこと。
今みなさんに言っていることです。
でもどうしてもよくない情報に引っ張られてしまうのも事実だとわかりました。

退院日が決まって師長さんに言うと、月内に退院した方がいいんでしょう、と。
医療費的にはまさにその通りです。
今回の入院も高額療養費の対象で自己負担は上限額を超えています。この上限額は月ごとの上限額なので月をまたがずに退院するのが一番です。

退院当日、そのころは歩行は普通にできました。
何となく走れそうな気もしたので試しにちょっと走ってみよう、と思い最初の一歩が床についたとたん、おなかの傷がズキッ!
激痛が走りました。
走るのはさすがにまだしばらくは無理ということがわかりました。
10日の入院生活が終わり、これからは外来での抗がん剤治療が始まります。
入院費の総点数14万点、つまり140万円です。
140万円の3割負担で限度額認定証を使って9万円余り+保険外の食事代等。
日本の保険制度はすばらしいです。

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