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ゲームなぜおもしろいのか 後編【体験における疲れを吹き飛ばす方法】

こちらの記事は下記の続きです。

まだ未読の方は、こちらからお読みください。

https://note.com/yorimiti_gaku/n/n96c24d00b355


さて、すこし振り返りますが、直感的な体験が、スタート地点になるということ、ご納得いただけましたか?

「こうするのかな?」から始まり。
「面白い」「楽しい」そう思わせる体験を作れば、もう心を掴んだも同然。

ですが、それだけでは、まだ足りません。

なぜなら、それだけでは続かないからです。


直感のデザインを連続するほど、プレイヤーは疲労を覚えます。
マンネリ化により刺激も減っていくので、そうなると、どこかで、体験は中断されてしまいます。


その疲労をどこかで払拭しなければなりません。


その方法のひとつとして挙げられるのが「ぱふぱふ」

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「直感の体験」の連続で現れた疲れを払拭するための2つ目の体験

それは「驚きの体験」です。


こんなことは起こるはずがない!

ぱふぱふ、について細かい説明はないですが、なんとなくニュアンスは伝わると思います・・・

正義の勇者が悪を倒すというシリアスな物語に突如現れる「ぱふぱふ」

これはいわば「起こるはずのないこと」です。

当時のプレイヤーが驚愕したというのは、想像に難くありません

悪を倒し世界を救うためのシリアスストーリーという前提が壊されたのです・・

前提が壊されると言う体験はあなたにもあるでしょうか?

昔、クレヨンしんちゃんにて「伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!」という作品が放映。

これは、クレヨンしんちゃんの唯一のホラー映画です。
子供向け作品らしからぬ不気味なシーンがちらほらと描写される。

絵面としてはさほど怖くはないのかもしれませんが、ほのぼのとした子供向けの映像を提供してきた「クレヨンしんちゃん」だからこそ、かなり衝撃的。

思い込みや前提を壊されることで、体験者は強烈な驚きを覚えます。

驚くことで、プレイヤーの疲れと飽きは軽減される。

「前提を壊す」という体験を作り、大きな驚きを取り入れれば、体験の質は格段によくなります。

著書では、「予想を裏切る」ことが驚きに繋がるとして、こう表現していました。

誤解→試行→驚愕

驚きのデザイン



しかし、大きな問題がありますね

「前提を壊す」という体験を作るためには「前提を作る」必要があります・・

日常生活やビジネスにおいて、前提を作れるか?そして壊せるか?

少し考えてみましょう

例えば

学校で算数や国語など決まったカリキュラムの中で突然、ゲームを使った授業が行われる とか

職場で、いままで後輩に絶対に奢らなかったけれど、奢ってみる とか

家族にサプライズで旅行を企画するとか・・

うーん・・弱い


欲求を刺激して、驚きを生む

個人的な感想としては、「前提を壊す」という大掛かりな体験は、ゲームだからこそなせる技だと思います・・

著者の玉樹さんもこの体験を作るのは「かなり大変な作業」と記しています。

その場合にできることは

前提を壊すのはやめて

日常の思い込みを破る体験を作るということ。

日常の思い込みを破るために指標となるのは。

著書の中で挙げられた「10のタブーのモチーフ」をみるとわかりやすいです。

「直感的な体験」にこれらを混ぜれば、驚きの中で、長時間の体験をもたらすことができます。

タブーのモチーフ

ポジティブモチーフ

ポジティブなモチーフでは人の「本能的に欲しているもの」を元に驚きを与えていきます。。

この要素は、さまざまの体験の中に多く取り入れられています。

ネガティブモチーフ

次に「ネガティブなモチーフ」です。

先ほどのクレヨンしんちゃんでもそうですが、恐怖や嫌悪感、という要素も、驚きを生みます

すこし扱いが難しいモチーフですが、選択肢としては外せません。

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そして、特殊なモチーフ二つです。

「射幸心と偶然のモチーフ」は運要素になります。

ドラクエで言えば”かいしんのいちげき”や”カジノ”など
レアアイテムや、スマホのゲームなら”ガチャ”などもありますね

「プライベートのモチーフ」は性格を暴くというもの

これが一番面白かったのですが、すこし複雑なので、後ほど紹介します。


あなたが作り出す体験にはこれらの要素が入っていますか?

ゲーム制作においては、これらのモチーフが多く取り入れられています。

ポジティブまたはネガティブな感情や欲求を刺激して
直感の連続によるマンネリ化を防ぐ。

とは言っても、これらを日常のことや教育やビジネスに取り入れるのはすこし難しいところです。

しかし、周囲をみてみれば、これらのモチーフは様々な体験に取り入れられてます。

例えば、学校なども勉強ばかりでは疲れますが、昼ご飯の時間など、楽しみなことがあると、少し疲れは紛れるものです(食のモチーフ)

時折、物語をみていて、残酷な展開に出会うと、それもまた、刺激になり、日常がマンネリ化しなくなります。(ネガティブなモチーフ)

パチンコなんかは、射幸心と偶然のモチーフがそのまま体験になったようなコンテンツですね。

これらタブーのモチーフはとても面白い観点ですので、是非とも活用してみて欲しいです。


特に活用してみて欲しいのはプライベートのモチーフです。

性格が現れる体験は質が高い

ゲームにも、この「プライベートのモチーフ」が使用される場面は多いです。

例えば、名前をつけるシステムだったり、キャラクターの会話の際の選択肢だったり、時にはヒロインのどちらに告白するのか、というようなことも・・

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まさに、性格が出る体験ですね。

このドラクエ6のフローラとビアンカについては、当時から今に至るまで、「どっちを選んだ?」という話題に多くの人が盛り上がっています。

このフローラとビアンカはうまい具合に”タイプ”が分かれていて、なんといいますか、女性の好みがハッキリと出てしまうのです・・。

普段から人はプライベートな部分を隠して過ごしています。

性格を引き出す体験は、プライベートは隠すべき、という思い込みを覆します。

それにより、驚きを生むことができるわけですね


また、こうすることで、みんな同じゲームをプレイしているのに、みんなそれぞれの物語があるという状況が生まれます。

それだけで、その体験自体に親しみを覚えたりするものです。

そうすれば記憶にも強く残りますね。

使える時に使ってみる

ということで、ここまで紹介した”驚き”の使い方。

ポジティブなモチーフ(欲するもの)
ネガティブなモチーフ(目を背けたくなるもの)
射幸心と偶然のモチーフ(賭けるもの、祈りたくなるもの)
プライベートのモチーフ(性格が出るもの)

これらが取り入れられているか、体験を作り出す時に、チェックしてみてください。

また、ゲームや宣伝やイベント、商業施設などなど、様々なコンテンツに対しても、これらのモチーフに注目していくと、新たな見解が得られたりもします。

最後に

まとめに入りますが、今回の学びは、いかがでしたでしょうか。

ここまで読んでいただいたということは、少なからず興味の中で読み進めていただいたということだと思います。

嬉しい限りです。

直感的な気づきから体験を作ること
驚きを作ることで、疲れや飽きを軽減していくこと

この二つの流れは、体験を作る上でとても重要な観点となります。



しかし、本の内容はここでは終わりません。

「直感のデザイン」
「驚きのデザイン」

の次には「物語のデザイン」があります。

キーワードは「成長」です。

こちらも興味深い項目でしたので、興味がありましたら、是非、今回、参考にしました、「ついやってしまう」体験のつくりかたを読んでみてください。

こちらの記事では、かなり省いて説明しているので、より深く、体験の構造を知ることができます。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

最初の投稿でしたが、今後とも「学びのよりみち」として、普段学ばないような様々な知識を提供していきたいと思います。

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またの機会でお会いしましょう。

ではでは

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