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社会人5年目、初心に帰る。

見覚えのある三日月の顔。

コピーと企業ロゴを組み合わせたシンプルな原稿。

流れてきたツイートが気になって見てみると、花王の新しい企業広告でした。

広告の内容は、持続可能な社会の実現に貢献する企業姿勢や取り組みを伝えるもの。

そのキーメッセージとなるのが、「もったいないを、ほっとけない。」です。

つまり、最近よく聞く「サステナブル」「SDGs」をテーマにしたものですね。

では、この長文に何が書かれているのか?

ステートメントの全文がこちらです。

もったいないを、あきらめない。
もったいないを、ごまかさない。
目先の結果に、惑わされない。
さりげない心遣いを、忘れない。
環境への影響を、見て見ぬふりしない。
未来の問題を、その場しのぎにしない。
小さなことも、おざなりにしない。
毎日使うものなら、
その効果は計り知れない。
サステナブルを、ブームにしない。
仕方ないに、逃げない。
努力は、いとわない。
誰かがやらなきゃ、はじまらない。
だから花王は積み重ねてきました。
地球のためにできることをコツコツと。
サステナブルという言葉が
使われる遥か前から、
いい未来につながることだけを
追究してきました。
それはもちろん、これからも変わりません。
もったいないを、ほっとけない。
花王です。

花王 | 企業広告シリーズ「もったいないを、ほっとけない。」の展開を開始


「サステナブルを、ブームにしない。」という世の中の動きに核心を突くような言葉には、ドキッとさせられます。

「〜しない」とはっきり否定する言葉からは、環境問題と真剣に向き合う企業姿勢が強く感じられます。

そんなふうにコピーを読み進めているうちに、私個人の就活の記憶が思い出されました。


コピーライターを目指していた学生時代

就活生の頃、コピーライターになることを第一に、さまざまな企業の説明会に足を運んでいました。

その中で、花王の企業説明会にも行ったことがありました。花王ではインハウスのコピーライターを募集していたのです。

説明会の後、コピーライターの方にお話を伺う時間があり、そこで私は「コピーを書くうえで気をつけていることはありますか?」と聞きました。

コピーライターの方はこのように答えてくれました。

「思いやりを忘れないようにしている。たとえば、柔軟剤の広告で『お母さんのやさしさ』というコピーを書いたとする。でも、もし、そのコピーを見た人にお母さんがいなかったら?想像力が欠けることで、だれかの気持ちを暗くしてしまう表現は避けたい」

当時は広告コピーのことなんてこれっぽっちもわからない学生でしたが、その言葉はとても心に残りました。

「そんな深いところまで考えて、コピーをつくっているんだ・・・!自分がコピーライターになれるなら、こういう人になりたいな」

理想とするコピーライター像まで見えた気がしました。

このやりとりに感化された私は、自己PRに熱い思いを乗せて、花王に応募書類を送りました。






落ちましたが。


でも、コピーライターになれたからよかったね!!!


さりげない心遣いを、忘れない。

気を取り直して、広告の話に戻りましょう。

ステートメントの4行目に出てくる言葉を見てください。

さりげない心遣いを、忘れない。

このコピーをだれが書いたのかはわかりません。

ですが、当時の説明会で話してくれたコピーライターの方の言葉を思い出しました。

コピーライターは表に出ません。あくまで、クライアントである企業の言葉を代わりに書いている立場だからです。

でも、あのコピーライターの方と同じ真摯な姿勢が、数年前と変わらず花王の広告に表れているように感じたのです。

ふとタイムラインで目を止めて読んだ企業広告から、コピーライターになる前の初心を思い出しました。

気づけば、コピーライターになって5年。

初心に帰れる機会もなかなかないので、noteに書き残しておきます。


文:ハギ
@よりみちコピーライター

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