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読書日記

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読みちらした本の概要感想などを書き散らしていきたいと思っております
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佐藤 英文の「カニムシー森・海岸・本棚にひそむ未知の虫」を読む

佐藤 英文の「カニムシー森・海岸・本棚にひそむ未知の虫」を読む

新年度業務分担と勤務地が変更になり引継ぎやら引っ越しの準備やらでまたもやドタバタな日々をおくっています。雇用延長しないで定年退職しちゃいたいと思う反面、ドタバタな生活に浸るのが性分ではないかとも思えていて、果たしてそんなことのない日々のなかで僕はちゃんと生活していけるのだろうかという不安。あと一年ちょっと。悩んでいる時間もあまりないようです。果たしてどうしたものやら。

マイクル・コナリーのシリー

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ニール・シュービン(Neil Shubin)の「進化の技法 転用と盗用と争いの40億年(SOME ASSEMBLY REQUIRED Decoding Four Billion Years of Life, from Ancient Fossils to DNA)」を読む

ニール・シュービン(Neil Shubin)の「進化の技法 転用と盗用と争いの40億年(SOME ASSEMBLY REQUIRED Decoding Four Billion Years of Life, from Ancient Fossils to DNA)」を読む

ニール・シュービンの本は二冊目。一冊目は「ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト」こちらは水生動物と陸生動物の合間をつなぐ中間種とされるティクターリクの発見と、この生物の手足の骨格が魚のヒレ由来であることの解明、そしてこうした拡張変化が、嗅覚や視覚、聴覚といったものも、従来水生生物が獲得していた機能、期間の発展転用であることを明らかにするものでした。

本書もその切り口でいえば類似のものですが、その対象と

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マイクル・コナリーの(Michael Conneliy)の「わが心臓の痛み(BLOOD WORK)」を読む

マイクル・コナリーの(Michael Conneliy)の「わが心臓の痛み(BLOOD WORK)」を読む

「わが心臓の痛み」こちらも再読です。本書は1998年の作品で日本では2002年に出版されています。1999年度のアンソニー賞と、マカヴィティ賞(国際ミステリ愛好家クラブ主催)を受賞。またクリント・イーストウッドが監督・主演で映画化もされています。コナリーの本はどれも面白い、なんといってもボッシュシリーズが中核にある訳だが、どうしたことかボッシュのお話は一つも映画化されていない。この「わが心臓の痛み

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マイクル・コナリー(Michael Conneliy)の「エンジェルズ・フライト(ANGELS FRIGHT )」を読む

マイクル・コナリー(Michael Conneliy)の「エンジェルズ・フライト(ANGELS FRIGHT )」を読む

本書はマイクル・コナリーの長編小説としては第8作目、『トランク・ミュージック』に続くボッシュシリーズ第6作。1998年に刊行されました。2001年『隋天使は地獄へ飛ぶ』のタイトルで日本語版が出版されました。間にボッシュシリーズではない『ポエット』と『わが心臓の痛み』が入っています。『ポエット』にはジャック・マカヴォイとレイチェル・ウォリングが、『わが心臓の痛み』にはテリー・マッケレイブが登場してい

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ショーン・バイセル(Shaun Bythell)の「ブックセラーズ・ダイアリー:スコットランド最大の古書店の一年(The Diary of a Bookseller)」を読む

ショーン・バイセル(Shaun Bythell)の「ブックセラーズ・ダイアリー:スコットランド最大の古書店の一年(The Diary of a Bookseller)」を読む

学生時代、こんな店は10年以内に絶対につぶれるとつぶやいたことがあった地元の書店。クリスマス休暇で帰省した折に本を探しに足を踏み入れたのは12年後。そこで店主からこの店を買わないかと持ち掛けられたのだという。銀行からお金を借入れお店を買い取ったのはその1年後の2001年、著者が31歳の時だった。期せずも古本屋の店主となった著者はこの業界のし烈さや訪れる客たちの奇人変人ぶり、傍若無人さについては全く

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マイクル・コナリー(Michael Conneliy)の「ブラック・ハート(THE CONCRETE BLONDE )」を読む

マイクル・コナリー(Michael Conneliy)の「ブラック・ハート(THE CONCRETE BLONDE )」を読む

「ブラック・ハート」を読み飛ばしてしまった、と思い込んでいた。カミさんに確認したら「読んだ、面白かった」と言われ自分は再読しなかったんだと思っていた。それで読み始めたのだけど、他の本と違い本書はあちらこちらシーンに覚えがある。コナリーの本は概ねでるやいなやすぐに読んでいるので25年以上も昔のことですっかり忘れてしまっているのに、この本は主人公たちの会話やシチュエーションが具体的によみがえるのはどう

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マイクル・コナリー(Michael Conneliy)の「トランク・ミュージック(Trunk Music)」を読む

マイクル・コナリー(Michael Conneliy)の「トランク・ミュージック(Trunk Music)」を読む

新作とシリーズ初期の本を同時並行的に読破しカミさんが猛然と追い上げてきております。僕もお付き合いで再読してきましたが、初期の作品の内容をほぼ完全に忘れていて、まるで初めて読むかのようでとても面白い。この際なので行ける限り再読して行ってみようと思っております。

コナリーの本は1992年の「ナイトホークス」から最新作の「警告」まで34作が訳出されています。こちらのサイトは2003年に開設しており、「

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アン・ファディマン(Anne Fadiman)の「精霊に捕まって倒れる 医療者とモン族の患者、二つの文化の衝突(THE SPIRIT CATCHES YOU AND YOU FALL DOWN A Hmong Child, Her American Doctors, and the Collision of Two Cultures)」を読む

アン・ファディマン(Anne Fadiman)の「精霊に捕まって倒れる 医療者とモン族の患者、二つの文化の衝突(THE SPIRIT CATCHES YOU AND YOU FALL DOWN A Hmong Child, Her American Doctors, and the Collision of Two Cultures)」を読む

アン・ファディマン(Anne Fadiman)の「精霊に捕まって倒れる 医療者とモン族の患者、二つの文化の衝突(THE SPIRIT CATCHES YOU AND YOU FALL DOWN A Hmong Child, Her American Doctors, and the Collision of Two Cultures)」を読む

映画「グラン・トリノ」をご覧になっただろうか。クリン

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マイクル・コナリー(Michael Conneliy)の「警告(FAIR WARNING」を読む

マイクル・コナリー(Michael Conneliy)の「警告(FAIR WARNING」を読む

マイクル・コナリーの第34作目。「ポエット」から実に24年後のお話ということになる。「ポエット」のジョン・マカヴォイは34歳、本作品では58歳というところか。同い年なんだな僕は。「警告」原題は"FAIR WRANING"。「公正なる警告」といったところだろうか。またマカヴォイが勤めている報道機関の社名でもある。いわゆる事件報道ではなく、消費者保護の観点から商品やサービスの不正を調査し報道することを

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マイクル・コナリー(Michael Conneliy)の「ザ・ポエット(The Poet)」を読む

マイクル・コナリー(Michael Conneliy)の「ザ・ポエット(The Poet)」を読む

コナリーの新作「警告」はジャック・マカヴォイが主役だという。カミさんはマカヴォイの本をまだ読んでいないという。折角読むなら少なくとも最初に登場した「ポエット」を読んでおいた方がいいだろう。実際に読み始めるとこれがすごく面白いという。

僕が細々とこのサイトを立ち上げて本のレビューを始めたのは2003年。コナリーの本をここで紹介したのはボッシュが主人公の「夜より暗き闇」でした。読み返してみるとこれを

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ジョン・ル・カレ( John le Carre )の「シルバービュー荘にて(Silverview)」を読む

ジョン・ル・カレ( John le Carre )の「シルバービュー荘にて(Silverview)」を読む

ル・カレが亡くなったのは2020年12月12日。僕の父と同世代。89歳という年齢からいつかはと思っていたのだけど、本当に惜しい人を亡くしたと思う。
いや、そんな一言では片づけられない。ル・カレを失ったことは世界の良識に対する重大な損失であったと思います。
ル・カレはエスピオナージュ、間諜小説、いや海外ミステリーというジャンルのレベルを大幅に引き上げて文学・文芸としても一級品の作品を生み出した。グロ

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ニコラス・シェイクスピア(Nicholas Shakespeare )の「ブルース・チャトウィン(Bruce Chatwin)」を読む

ニコラス・シェイクスピア(Nicholas Shakespeare )の「ブルース・チャトウィン(Bruce Chatwin)」を読む

カドカワのものなんて金輪際観ない読まないと心に誓っていたのだが、「ブルース・チャトウィン」の自伝・・・。これを跨いで歩き過ぎてよいものなのだろうか。そしてこれがまた900ページ近い大著。この本、通勤電車で読めるのだろうか。折しもル・カレの遺作に加えて、コナリーの新作も出て年末年始に何を読むのか。三度逡巡するもどうしても読みたくて手にしました。そして猛然と読み進めてなんとか年内に読了できました。

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ティモシー スナイダー (Timothy Snyder)の「ブラッドランド : ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実(Bloodlands: Eastern Europe Between Hitler and Stalin)」を読む

ティモシー スナイダー (Timothy Snyder)の「ブラッドランド : ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実(Bloodlands: Eastern Europe Between Hitler and Stalin)」を読む

先日読んだ「知の巨人」というインタビュー集でティモシー・スナイダーのことを初めてしりました。ティモシー・スナイダーは1969年生まれ。イェール大学で東欧史を研究する教授。五か国語を話し、十か国語の言葉を読むことができるのだそうだ。それだけでもすごい人ですね。
スターリンとヒトラーが政権を握った1933年から45年までの12年間、ポーランド、ウクライナ、ベラルーシ、バルト三国、ロシア西部にまたがる広

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エマニュエル・トッド (Emmanuel Todd)の「パンデミック以後」を読む

エマニュエル・トッド (Emmanuel Todd)の「パンデミック以後」を読む

読んでいる最中に文脈を見失いがちと思っていたら、この本タイトルが良くない。「パンデミック以後」今まさにコロナ禍がピークアウトしつつある状況でトッドがどんな世界観を描いているのかとつい連想してしまったのだけど、そこまでパンデミック以後に軸足を置いた本ではありませんでした。2018年7月から2021年1月にかけて6回に分けて行われたインタビューで具体的には以下のようなものでありました。

【1】 トラ

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