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タスキがかける魔法

“ポートクイーン” という華やかな立場に身を置くことで、私は “梶原よんり” 以上の扱いを受ける。

それはまるでVIPのよう。ポートクイーンのタスキをかけた私を見る周りの眼差しは、今までに私が受けたことのないものだった。

大前提としてあるものは、「美人」というもの。皆が「美人」を扱うように私を扱う。タスキ効果で、私は本来の私以上に輝いてるように見えるのだろう。

「私は、全然そんなんじゃない」

自己肯定感の低い私が、心の中でそう呟く。わけが分からない。

ポートクイーンとは?
美人とは?
梶原よんりとは?

私は、一体なに...?

自己評価と周りの評価が、あまりにも違う。それは昔からだったが、ポートクイーンのタスキをかけるようになってからは顕著だ。不安で仕方がない。

タスキは周りの目に魔法をかける。タスキを肩にかけているあの子は無条件に美人で素敵に見える、という魔法。

なのに。
私は肩にタスキをかけたところで、自分の心に魔法をなかなかかけられない。魔法をかけてしまうのが怖い。もし、それが魔法だと気付いてしまった時にうんと傷つくのは私だから。

「やっぱり私は素敵でもなんでもなかった」
そう思う未来が来ないように、精一杯自分を守っている。

“ポートクイーン”。
私はこの立場になれてよかったことしかない。

経験、出会い、可能性など、得たものばかり。あと何か一つ得られるのだとしたら、私は「自信」と答える。

タスキの魔法は、私には弱かったみたい。

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