目標に最速で行ける道とは、最短の道ではなく、失敗がデザインされた道(後編)
こんにちは。米川(@yoneshi0320)です。
これから求められる人材、「バフ人材」。彼ら彼女らが発揮する「バフ(=チームの能力を最大限発揮させる行為)」に関するnoteです。
今回は後編記事です。前編がまだの方はこちらから。
10秒で読める要約
・失敗のデザインには、3つのSTEPを踏む
1)「OB」と「フェアウェイ」を決める
・理由は、「目標達成を通じて、見たい景色」を言語化するため
2)行動から「意思を徹底排除」する
・なぜなら、「やる気」は存在しない
3)失敗を「物語のアクセント」と捉える
・失敗しない=場面展開の無い 物語は、くそつまらない
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撤退条件はなんですか?
最速の目標達成には、最短の道ではなく、失敗のデザイン。その具体論について。
まずは、「OB」と「フェアウェイ」を決めるから。
どちらもゴルフ用語ですが、前者のゾーンにボールが落ちると、プレイヤーにペナルティが発生します。
つまり、言いかえると、目標達成したいテーマの「取り返しのつかない失敗」と「取り返しのつく範囲(の失敗)」を、定義することです。
あなたが会社でプロジェクトを推進する立場であれば、まず「何をしたら中止/撤退なのか?」を、オーナーやリーダーと定義すること。
フリーランスなら、案件を受ける際に、クライアントと「何が必要最低限の要件/様式なのか?」を握るなど。
しかしなぜ、後ろ向きにも思えることを、わざわざ定義するのか?
以降、ゲームのRPGになぞらえ、説明します。
なので、ゲームに馴染みのない方は、小説などに置きかえて、読み進めてください。
目標達成の「裏」に隠されているもの
「目標達成」の上位には、(言語化されていませんが)「目標達成して、見たい景色」があります。
RPGでいえば、「魔王を倒す」が達成すべき目標であり、「見たい景色」は「人々の生活が安心安全で、平和な社会」です。
しかし、人類側に魔王を倒す力量がない状況(=勇者のレベルが未熟な状態)では、目標達成よりも、「『見たい景色』を現状のリソースでどれだけ実現できるか?」に、国の政治力が割かれます。
なぜなら、「イチかバチかで国中の全勢力で突入」は、国民から最も反発を食らう選択肢であり、最終手段。
使いどころを間違えると、王家へのヘイトが高まります。
ゆえに、周辺(の魔物)は防衛可能な城下町の構築など、「最低限、安心安全な社会活動の維持(=死なない)」が国策で優先されるのです。
そして、いざ魔王を倒しても、「見たい景色」が実現されなければ(例:王による圧政など。)、その冒険=プロジェクトは、「失敗」以外の何ものでもありません。
これが、わざわざOBとフェアウェイを決める理由です。
いざ行動!でも……
さて、1つ目の「OB」「フェアウェイ」の区分けができたら、さっそく行動です。
前回お伝えしたように、目標へ最短の道は移動エネルギー、つまり行動する意欲が乏しい。
ゆえに、まずは移動エネルギーを生み出す「喪失=失敗」が必要です。
「いや、だから、それが難しいから苦労してんだよ……。」
わかります。いきなり「失敗しろ!」は、傲慢ですよね。
そんなあなたに、ぼくが実践しているTIPSの2つ目、行動から「意思を徹底排除すること」をオススメします。
「いつ・どこでやる」だけ決める。やる気は無い。
ニューヨーク大学の心理学者、ペーター・ゴルヴィツァーは、学生のレポートについて実験し、作成場所と時間を決めて生徒にアナウンスした場合、決めなかった場合よりも42%提出率が向上した、と発表しました。
つまり、「いつ・どこで」といったトリガーを決めることで、億劫な行動の実行率が高まったのです。これは「アクション・トリガー」と呼ばれます。
たとえば、
「机に座ったら、プロジェクトのアクションリストを開く」。
「企画するときは、手書きのノートに、タイトルと日付だけ書く」など。
また、脳科学的にも、東大教授で脳研究者の池谷裕二さんが、インタビューで「やる気は存在しない」と、断言してます。
やる気」という言葉は、「やる気」のない人間によって創作された虚構なんですよ。
(中略)
人間は、行動を起こすから「やる気」が出てくる生き物なんです。
仕事、勉強、家事などのやらないといけないことは、最初は面倒でも、やりはじめると気分がノッてきて作業がはかどる。そうした行動の結果を「やる気」が出たから…と考えているだけなんですよ。
だから、面倒なときほどあれこれ考えずに、さっさと始めてしまえばいいんです。「やる気を出すにはどうすれば…」と考えるだけで行動しないことは、時間の無駄でしかありません。
以下のnoteも、詳しいです。
失敗を「物語のアクセント」と捉える
「OK!考えずできる、小さな行動!!……でもやっぱり……。」
まだ億劫なあなたは、最後3つ目、失敗を「物語のアクセント」と捉えましょう。
まず、次の小説を想像してください。
< テーマ >
・とある冒険小説。主人公は4,000里(約1万2000キロ弱)離れた地へ、母を訪ねて3ヶ月の旅をする。
< 概要 >
・主人公の父親は、世界的な経営者。そのため、旅の予算は数百万円
・移動は安全面から、主にプライベートジェット
・途中の宿泊地では、母と1週間に1回程度ZOOMをしながら、現状共有
・各国で専属のガイドを雇い、観光名所をめぐる
・上記を3ヶ月間、ほぼ毎週繰り返す描写
さて、この小説に、あなたはお金や読む時間を払うでしょうか?
テーマは面白そう。しかし、その道程は(あなたが世界的経営者の家庭でない限り)、一切共感できなさそうです。
なぜか?
美味しい料理に「スパイス」が欠かせないように、学び深い物語には「失敗」が欠かせないからです。
神話のフレームワーク
学び深い物語=幾世代も語り継がれる とすると、神話がその代表例。
神話学者ジョゼフ・キャンベルは、著書『千の顔をもつ英雄』にて、世界中の神話の共通点として、次の8つの構成を見つけ、「英雄の旅」と名付けました。
< 「英雄の旅」構成 >
1. Calling(天命)
2. Commitment(旅の始まり)
3. Threshold(境界線)
4. Guardians(メンター)
5. Demon(悪魔)
6. Transformation(変容)
7. Complete the task(課題完了)
8. Return home(故郷へ帰る)
境界線や悪魔の存在、変容など、必ず失敗を含んだチャレンジが、神話に限らず語り継がれる作品や物語に存在します。
あなたが失敗した際もむしろ、物語の作者になってみましょう。
「ここからどうなったら、アツい展開か?」
「あの漫画のキャラなら、ここからどう変容するか?」
むしろ、失敗を楽しんで迎えるようになったら、目標達成はもうすぐそこです。
まとめ
・失敗のデザインには、3つのSTEPを踏む
1)「OB」と「フェアウェイ」を決める
・決める理由は、「目標達成を通じて、見たい景色」を言語化するため
2)行動から「意思を徹底排除」する
・なぜなら、「やる気」は存在しない
3)失敗を「物語のアクセント」と捉える
・失敗しない=場面展開の無い 物語は、くそつまらない
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次回は、2021年11月06日(土)更新
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