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木の話

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適材適所という言葉、今は人の配置などに使われていますが、本来はその名のとおり木材を適した場所につかうという意味の言葉でした。  日本人が古くから付き合ってきた木の良さ、木の面白…
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2021年4月の記事一覧

木の話22 石の文化と木の文化

木の話22 石の文化と木の文化

ヨーロッパは石の文化だといわれます。日本のお城やお寺が木で建てられているのにたいしヨーロッパは、ホグワーツ魔法魔術学校とかモン・サン・ミッシェルとか立派な建物はみな石造りです。

モーツァルトの生家だった家が現存するのか再現されたのか忘れてしまいましたが、その家の写真を見たことがあります。その家も石造りだったのですが、床をみると木のフローリングだし、ピアノが木製なのはもちろん、テーブルやデスク、食

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木の話21 節

木の話21 節

木には節があります。
節が何故できるかご存知でしょうか?
実は私も木の仕事をするまでは知りませんでした。

木の節はどうやってできるかというと、木の枝が折れたり切られたりしたあと、その枝の断面がそのまま残ったのが節になります。枝の名残が節なんです。

木の手入れをするのに、「枝打ち」をするというのを聞かれたことがあるのではないでしょうか?

まっすぐな木に育てるため、という理由もあるのかもしれませ

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木の話20 丸太の値段の計算方法

木の話20 丸太の値段の計算方法

木は根っこから上にいくほど細くなっています。
丸太になった場合も下が太くて上が細くなります。

木材業界では根っこに近い方、下のほうを元(もと)、上の細い方を末(すえ)といいます。

丸太の材積を計算する場合、元で測るのと末で測る場合とで材積がかわることになります。また、生き物なので曲がってたり凸凹だったり、正確な材積を計算でだすのは難しいです。

よって、針葉樹、広葉樹で、はたまた地域によって材

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木の話19 同じ木でも違う木

木の話19 同じ木でも違う木

同じ木でも生育している土地や山が違うと性質も違ってきます。
同じ木でもです。

一般的に北側斜面に生えている木は木目がつまっていて、南向き斜面にはえている木は木目が荒く、柔らかいと言われています。

これは、日光がたくさん当たる南側は光合成がたくさん行われ成長が早くなる場合が多いからです。一年に成長する量が多いと木目も広くなり、そのため木目が荒くなり、木材自体も柔らかくなる。

逆に日光があたる時

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木の話18 この木なんの木

木の話18 この木なんの木

木と樹。どちらも「き」です。

どっちがどっちでも私はいいと思っていますが、字が違うのだから意味も違うと言われる方もいらっしゃいます。

違いがわかりますでしょうか?

そうです。山に立っているきを樹、それを切って丸太にしたきが木です。

そうそう、私は大阪の人間ですが、大阪弁では木は「きぃ」と言ったりもします。

大阪弁は一文字の名詞に母音をつけることがよくあります。目は「めぇ」だし、歯は「はぁ

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木の話17 なぜ木造が減ったのか?

木の話17 なぜ木造が減ったのか?

建築系の大学4年間で、木材の授業は何時間あると思いますか?正解はたったの2時間だけだそうです。

4年間で2時間…。それも建築の歴史の授業の中で少しと、建築材料の講義の中で少しだけです。

最近は木の良さに着目して、他との差別化として木造に注力されている先生もいらっしゃって、学生に積極的に木造について教えてくださっている方もいらっしゃるのですが、全体的にはあまり変わらないように思います。

日本は

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