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#76 【番外編】ヨンデミーメンバー選りすぐりの本を紹介! 社内での「プレゼント本交換会」の様子をお届けします 

※こちらは一部のみの書き起こしです。 Podcast本編もぜひお聴きください!

クリスマスの「プレゼント本交換会」をお届け!

今回は、ミカタラジオ番外編。
昨年12月に社内で行われたクリスマス会にて、毎年恒例の「プレゼント本交換会」を実施しました!

☝️プレゼント本交換会とは?
メンバーが1人1冊本を持ち寄り、くじ引きで当たった本をプレゼントとしてもらえる。メンバーみんなが読書好きなYondemyならではのイベント。

メンバーが悩み抜いてプレゼントとして選んだ本を、ミカタラジオでもご紹介します。
みなさんもぜひ、気になる本を見つけて、ヨンデミー!

はる『100万分の1回のねこ』

江國香織 ほか『100万分の1回のねこ』(講談社文庫)

📚選んだメンバー:はる
人事を担当。アプリ上で流れる物語の朗読担当でもある。

こちらは短編集なんですが……みなさんご存知、佐野洋子さんの『100万回生きたねこ』という超・名作のロングセラー絵本がありますよね。あの本がテーマになった短編集です。

『100万回生きたねこ』がテーマとはどういうことか。
100万分の1回、きっとねこはこんなふうに生きていただろう という架空のエピソードが小説になっているんです。
13短編入っています。
しかもこの13短編、ぜ〜んぶ作者が異なるんです。
江國香織にくどうなおこ、町田康に谷川俊太郎……と錚々たるメンバーが、ひとり1短編ずつ、とある時のねこに思いを馳せ、生き様を綴っています。

読み進めるたびに驚くのは、「まぁこうも作家によって違うのか」と。
「それはそうでしょ!」と言われたらもちろんそうなんですが(笑)
それぞれの魅力をこんなにも惜しげもなく爆発させてもらってしまうとあまりの世界観の違いにびっくりしてしまいます。
おんなじ「文字」でしかない。けれども、読んだ時心の中に広がる情景や、読了後の心の揺さぶられ方は、こんなにもちがう。
ページをめくるごとに押し寄せる衝撃の違いが最高に面白い一冊です。
そして何より、あのねこがもっと好きになっちゃいますよ!

児童書を読み進めてきて、「そろそろ大人向けの小説にもチャレンジしてみようかなぁ」なんて考えているお子さんにもぴったりの一冊だと思います。

わかお『サマータイム』


佐藤多佳子『サマータイム』(新潮文庫)

📚選んだメンバー:わかお
保護者さまにお届けする記事の管理や、朝日小学生新聞での連載を担当。

今回の交換回では佐藤多佳子さんの『サマータイム』を選びました。交換会が行われたのが12月で、このラジオが配信されるのが2月なので、ちょっとミスマッチなタイトルなんですけれども、それでもだれかに読んでほしいと思って、この本を選びました。自分は小学生から高校生くらいまでの少年少女が主人公になっている小説が好きなので、そんな小説の中でも最近読んで一際面白かったものをすなおにそのまま交換会に持っていきました。
そんな『サマータイム』の一番の特徴はエネルギーに満ち溢れているところです。内容の連続した4つのお話が収録されているんですが、主人公が小学生から高校生に設定されているので、その若さのエネルギーもそうですし、若さにかぎらず登場人物の不器用ながら芯の通ったところもそうです。せっかくだからちょっと面白かった一節を紹介します「『また会えるといいね』なんて、つまんない言葉。だって隣の県じゃない。そう思ったら、ほんとに会いにくればいいのよ」です。芯の強さがヒシヒシと伝わってきませんか?また、そのほかにはとくに文体の軽妙さに触れておきたいです。なんとなく洋書っぽい雰囲気を含んでおり、明るい日差しを感じさせる夏の描写もあいまって、テンポ良く跳ねるように読み進められるんですね。ネタバレになるのであまりハッキリ言えないんですけれど、そのテンポ感の中での1章の最後の締めがもうとてもカッコよくて、ぜひいろんな人に読んでほしいと思って交換の本に選びました。
佐藤多佳子さんのデビュー作なんですが、本当に痺れるくらいカッコいいし面白いのでラジオをお聴きのみなさんもぜひ読んでみてください。

すい『同志少女よ、敵を撃て』

逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』(早川書房)

📚選んだメンバー:すい
Instagramの運用、お子さん向けワークショップ、保護者コミュニティ「おうち読書のミカタひろば」の運営を担当。

私が選んだ本は逢坂冬馬さんの作品、『同志少女よ、敵を撃て』です。数々の賞を受賞されているのでご存じの方も多いかもしれません。
私がこの本を選んだ理由は、私自身が友人にこの本を勧められたからというものです。この友人は、私の知らない本をたくさん知っているので、時々こうして本を紹介してくれます。その中の一つが、この『同志少女よ、敵を撃て』でした。この本のあらすじやその良さを一言で紹介するのは難しいですが、彼女たちの強さ、繊細さ、大切にしているもの・ことに深く引き込まれました。今回本交換会に初めて参加したのですが、好きな本はたくさんあるし、誰に本が届くかもわからない中どんな本を選ぶべきか悩みに悩みました。そこで、本交換会を通して読書好きなメンバーへ、さらに読書の輪を広げたいと思いこの本を選びました。私自身も本との相性の問題はあるので、本の渡った相手がどう評価するのかは自由だと思っています。本との出会いを通して、自分を深めたり世界の見方が変わったりと、日常が豊かになるきっかけになればなと思います。

あまくろ『幻の女』


ウイリアム・アイリッシュ(訳:黒原敏行)『幻の女』(早川書房)

📚選んだメンバー:あまくろ
お子さんにピッタリなおすすめ本をお届けするためのAIを作る仕事を担当。

今回の本交換会では、ウイリアム・アイリッシュ作の『幻の女』をプレゼントしました。
『幻の女』は、アメリカで第二次世界大戦中に書かれた、ニューヨークを舞台にしたミステリーなのですが、あの江戸川乱歩も絶賛した、日本で非常に評価が高く有名な作品です。手に汗握る展開や、古い作品であるにも関わらず今も色褪せない鮮やかな謎解きで、どんな方でも楽しめること間違いなしです。
しかし、この『幻の女』は、単なる推理小説の枠には収まりません。『幻の女』の素晴らしいところは、なんといってもその文章の美しさにあります。作者のウイリアム・アイリッシュは、哀愁あふれる詩的な文章を得意としていて、随所にあらわれる洗練された情景描写は、ハラハラドキドキのミステリーでありながら、繊細な純文学を読んでいるような気分になります。日本語訳も素晴らしく、特に『幻の女』の冒頭の一文の訳はとてもお洒落で、僕は最初読んだとき衝撃を受けました。どんな一文かは、皆さんで実際に手にとって確かめてみてほしいです。
普段海外の小説を手に取らない方の中には、翻訳ものはちょっととっつきにくいな、と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし『幻の女』は、推理小説としても、文学作品としても、日本の小説ではなかなか出会えない魅力が詰まっていて、普段翻訳小説を読まない方にこそオススメしたい作品です。美しい文章に乗ってテンポよく描かれる、古き良きニューヨークのサスペンスを、ぜひ皆さんも体感してみてください。

ぽっか『小川未明童話集』


小川未明『小川未明童話集』(新潮文庫)

📚選んだメンバー:ぽっか
マーケティングを担当。ミカタラジオにもときどき出演。

小川未明は明治〜昭和にかけて活躍した作家で、「赤いろうそくと人魚」などが知られています。これは25編ほどの短編童話が詰まった童話集です。童話は、大人になると手に取る機会が減るんじゃないかと思って、あえてプレゼントに選びました。
わたし自身は中学生・高校生になっても、今でも、短編童話が好きでよく読んでいます。なかでも小川未明の作品は、現実とファンタジーのバランスがとてもちょうどよくて好きで、本当に、日々のちょっとした瞬間に実はこういう不思議なことが起きているんじゃないかな、と思ってしまうんですよね。そういう、見えない世界を見せてくれる本が、とても好きです。
描写も素敵なものばかりですが、月の描写にかけてはピカイチだなと、個人的には思っています。冒頭の「月夜とめがね」という作品では、とくにそれが感じられて一押しです!
そして、この本の解説は、坪田譲治さんという、こちらも児童文学の作家さんが書いています。この方が、とにかく小川先生のファンすぎて面白いです。
気になった話から進めてみるのもよし。社会風刺的な作品もあるので、後ろの解説を読んでから、答え合わせのように読んでみるのも楽しいです。もちろんお子さんと一緒に読むのもよし。
大人にこそめくってみてほしい童話集です。

はるみや『X'mas Stories―一年でいちばん奇跡が起きる日―』

三浦しをん ほか『X'mas Stories―一年でいちばん奇跡が起きる日―』(新潮文庫)

📚選んだメンバー:はるみや
アプリ開発に携わっているエンジニアチームに所属。

私が選んだのは、『X’mas Stories』というアンソロジーです。アンソロジーというのは、あるテーマを軸に、色々な作家さんが書かれたお話が一つにまとめられた作品のことです。この本には、クリスマスをテーマに6人の作家さんが執筆された短編小説が収録されています。
実を言うと私は、交換会に参加する時点ではこの『X’mas Stories』は読んだことがなかったのですが、書店に立ち寄った際に、黒く美しい表紙や、交換会の雰囲気にぴったりのテーマに一目ぼれしてしまい、交換会に出す用と自分で読む用に2冊購入しました。
全ての短編小説が非常に面白く、あっという間に読み終えました。ただ、時間の都合上、今回は私の大好きな作家である伊坂幸太郎先生による一作だけを紹介させていただきます。伊坂先生の小説は、緻密に構成された、少し不思議な世界観が非常に魅力的です。『X’mas Stories』に収録されている短編小説もその例にもれず、読みながら笑顔になれるような作品で、ドキドキしながら読み進めることができます。最初に描かれていた謎が最後にすべて解き明かされた瞬間の爽快感は素晴らしいものでした。
『X’mas Stories』は、サンタさんがもう来てくれなくなってしまった方々にこそ読んでいただきたい一冊となっております。

ろあん『リラックマ そばにいます』

コンドウ アキ『リラックマ そばにいます』(主婦と生活社)

📚選んだメンバー:ろあん
アプリのストーリーやキャラクター設定の監督・制作を担当。

この本は、長い文章の本ではなく詩集や絵本に似た形です。
見開きの右側のページに言葉が一つ、左側のページにリラックマのイラストが書いてあります。私はこの本に救われることが多いです。優しくてあったかい、それでいて心にずっしり響くような言葉たち。シンプルだけどすごく豊かで、クスッと笑ってしまうようなユーモアを持ち散りばめてあるイラストが大好きです。子どもたちもきっと喜ぶ本だと思いますし、大人も、子どもの頃の自分に戻ったり、違う味わい深さに気づいたりとか、いろんな魅力が詰まった本だと思います。
必死に頑張っているときも、頑張れなくて苦しいときも、ずっと自分のそばにいてくれるような本です。私もヨンデミーのストーリーを通して、みんなにとってそういう存在になれればいいなと思いながら、この本を選びました。ラジオを聴いてくださっているみなさんのそばにも、置いてみてほしいなと思います。

きりん『奴隷のしつけ方』


著:マルクス・シドニウス・ファルクス 解説:ジェリー・トナー(訳:橘 明美)『奴隷のしつけ方』(ちくま文庫)

📚選んだメンバー:きりん
UIデザイナー。アプリでの見た目や体験を設計している。

『奴隷のしつけ方』というタイトルからは少し恐ろしい印象を受けますね。
『奴隷のしつけ方』は、奴隷制があった古代ローマの貴族、マルクス・シドニウス・ファルクスが書いているという設定の本で、当時の奴隷制がどのようなものであったかについて、また、当時のマネジメント術について知ることができます。
この本で面白かったのは、遠い昔の出来事について、今起きている、自分の出来事のように読めるところです。マルクス・シドニウス・ファルクスは、実在していたそうですが、そのキャラ造形は創作にならざるを得ません。そのため、マルクスが書いている部分は、フィクションとしても楽しめます。マルクスは貴族なので、終始偉そうな喋り方をしていて、それも悪くないです。
また、マネジメント術の面では、現代社会の労働と比較しながら読んでみるのも面白いでしょう。奴隷制自体は批判されるべきものですが、奴隷は人なので、当然、主人にはマネジメント能力が求められます。参考にできることも、できないこともあるでしょう。もしかしたら自分の待遇が奴隷よりも悪いかもしれないことに気付けるかもしれません。自分の身の回りと繋げて考えてみてください。

きぬ『永遠の森 博物館惑星』

菅浩江『永遠の森 博物館惑星』(ハヤカワ文庫JA)

📚選んだメンバー:きぬ
コンテンツチームで記事を書いているほか、ミカタラジオも担当。

ヨンデミーメンバーへのプレゼントということでとても悩んだんですが、『博物館惑星』の設定が決め手になりました。というのも、このお話はAIを脳に直接搭載した学芸員が、美術にまつわる事件を、AIとともに解決していく物語なんです! 登場するAIは、人間が芸術品に触れて受ける印象をすくい上げ、ともに芸術品を守るバディとして活躍します。それゆえに情緒的で、キャラクターの一人として感情移入できるのが、私はとても好きでした! 
また、設定もSF全開で非常に魅力的です。博物館惑星という架空の地球の惑星があったり、芸術のジャンルによって分かれた部署がギリシャ神話の神々にちなんで名づけられていたり。AIたちにもギリシャ神話にちなんだ名前がついています。読んでいるとあっという間に引き込まれてしまうし、文字でしかないはずなのに芸術の美しさに胸を打たれるんです。
さて、ヨンデミーといえば、AIヨンデミー先生の存在を抜きには語れないはずです……! ヨンデミーメンバーにとっては特に自分自身と重なる部分が大きいのではないかと思っています。
大筋はありますが、それほど長くない短編がいくつも集まっている構成なので、ぜひ気軽に読み始めてほしいです。

あさい『Yuming Tribute Stories』


小池真理子 ほか『Yuming Tribute Stories』(新潮文庫)

📚選んだメンバー:あさい
アプリ開発のエンジニアとして、アプリに新たな機能を追加したり、不具合の対応をしたりしている。

僕が非常に好きなシンガーソングライターである、松任谷由実さんの楽曲をモチーフに、6人の作家さんが書いた短編を集めた短編集です。
特に紹介したいのは「あの日に帰りたい」という楽曲をモチーフにした、小池真理子さんによる短編です。これは昭和の、まだ共同玄関などが一般的だった頃の大学生が主人公の物語です。当時を知らない大学生の私が読んでも郷愁を覚えるような、そんな作品になっています。ぜひ皆さんそれぞれに思い出を重ねながら読んで、そして楽曲も聞いていただけると非常に味が出ると思います!

笹沼『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』

著:齋藤倫 画:高野文子『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』(福音館書店)

📚選んだメンバー:笹沼
Yondemy代表。

詩集という名の通り、もちろん詩が載っている本なのですが、ただの詩集じゃありません。タイトルをもう一度言います。『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』。この本は、「ぼく」が「きみ」に対して詩をお薦めする、という物語なんです。
「きみ」は小学生。対して「ぼく」はきみのおじさんに当たる人です。 「きみ」は学校の先生に「おまえは国語が苦手だから本を読め!」と言われてしまいます。そこで「ぼく」は「きみ」に「この本、ヨンデミー」ならぬ、「この詩、ヨンデミー」って渡すんです。いや、ヨンデミーとは言わないですが……(笑)
とにかく「ぼく」は、「きみ」が家に来るたび、「きみ」の気持ちや状況に合わせた詩をおすすめしてくれます。 「ぼく」は国語が苦手なくらいですから、詩を読むのもはじめてです。つまりこの本は、詩の楽しみ方を知らない人に、一歩ずつ詩の楽しみ方を教えてくれる本なんです。
この本を私に薦めてくれたのは、私が一緒にYondemyを立ち上げた最初の3人のうちの1人です。彼が詩の楽しみ方を知らない私に、新しい読書体験への入り口としてお勧めしてくれた本、ということになります。私自身、正直詩というものを読んだ経験がほとんどなかったのですが、この本を通して、少し詩に興味が湧きました。
ちなみに、福音館書店さんのWebページでは「わからなくたって、好きになっていいんだよ」という言葉で紹介されています。

▽本編ではメンバーの声でおすすめのプレゼンが聴けます。ぜひあわせて聴いてみてくださいね!

番組へのおたよりをお待ちしています!

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