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#59 風越学園国語科 あすこまさんに聞く! 子どもの読書と向き合う心構えとは

※この記事は、Podcastの内容を一部ピックアップしてお届けしています。詳しい内容は本編をチェックしてくださいね。
▽本編はPodcastYouTubeでご視聴いただけます!

おうち読書のミカタラジオ特別編。
読書教育の最先端・風越学園の国語科教諭であるあすこまさんをゲストにお迎えして、Yondemy代表・笹沼との対談をお届けします!
お子さんに読書を楽しんでいただくためのヒントをたっぷりお伺いしました。

今回の登壇者

🧑 あすこまさん
軽井沢風越学園国語科教諭。
自立した書き手・読み手を育てる「作家の時間」「読書家の時間」を担当している。

👱 笹沼 颯太
Yondemy代表取締役。
筑波大学附属駒場中学校・高等学校在籍中にあすこまさんから読書教育を受けた。


楽しさだけで子どもが育つ!?秘訣は「強制しない」こと

笹沼(以下「笹」):あすこまさんのリーディングワークショップの授業では「カンファランス」が特徴的ですよね。
僕自身も授業を受けていて、いつも感じていました。

カンファランスでは、実際にお子さんと一対一で話して、「今読んでいる本、どう?」「次の本どうしようか」というように、読書に関するサポートをしていくわけですよね。
その中であすこまさんが気を付けていることはありますか?

あすこまさん(以下「あ」):必ずできているわけではないけれど、本に関して楽しくおしゃべりできるといいなとはいつも思っています。
子どもたちがカンファランス自体を楽しめるように、より本と親しむきっかけにできるように意識していますね。

一番良くないのが、子どもが嫌がるような時間にしてしまうこと。
いやいや答えさせられるとか、答えたらマルバツがつけられてしまうとか。
できるだけ、「気軽に本好き同士が話している」ぐらいの雰囲気で話そうと思っています。
「○○のときまでにこれをしなさい」って言うと、たいてい上手くいきませんから。

笹:お子さんの読書習慣と向き合っていく中で、つい「○○しなさい!」と言ってしまいたくなることってあると思うんです。

例えば、ジャンルの好き嫌いがあるお子さんで、「そのジャンルに馴染みがなくて楽しみ方がよくわからない」という場合は少なくないですよね。
そして、こういう場合は一度読んでみてもらわないことには解決しようがない。
こういうとき、どう接したらいいんでしょうか?

あ:そういう場合でも、強制はしません。

風越学園でも、「ノンフィクション月間」のような期間を作ることはあるんですよ。
この期間はノンフィクションを紹介して、お子さんにも「ノンフィクション読んでみようね」って声掛けする、というような。

だけど、「必ず月に○○冊読もうね」「この本を絶対に読みなさい」とこちら決めてしまうと、読書が苦痛な課題になっちゃいますよね。
いろいろな本を紹介して刺激は与えるけど、最終的に選ぶのは子どもに任せるようにしています。

楽しめている=「読めている」

笹:ご家庭でも、お子さんが本を読んだ後に感想を聞くとき、「ちょっとその感想違わない?」とか、「もっとこんな風に読んだらどうかな」など、伝えたいことが出てくると思います。

カンファランスもある種メッセージを伝える場だと思うんですけど、こちら側の伝えたいことと楽しさのバランスをとるためにどういうことを気にされてますか?

あ:「その子がそう読んでるという事実はきちんと受け止める」ということですね。
「普通ここはこう読むよね」と思っちゃうときでも、その子の読み方をすごく大事にしたいと思うんですよ。

僕の子どもも、小学生のときに結構本を読んでいたんですよ。
僕も読んだことがある本の感想を聞くと、すごく些細なところを面白いって言うんです。
『モモ』の感想で「あの子が私の弟に似てて面白い」みたいな全然話と関係ないところですごく面白がったりとか。

大人からするとつい「読めてないなー」って思っちゃうんだけど、でもその子はそこに意味を、しかもポジティブな意味をちゃんと作り出している。
それがすごく大事なところだと僕は思うんです。

「読む」って、本に書いてある正解を正しく受け取るみたいな受動的な行為ではない。
書かれていることを手がかりにして、自分の過去を総動員して意味を作っていくというポジティブな営みなんです。

▽「読む力」の捉え方について、詳しくはミカタラジオ本編をご覧ください。

子どもが人生経験を総動員して「ここが面白い」って思ってるんだから、それは大人の人生経験を導入した場合の読みとはちょっと違うかもしれないけど、そこは尊重してあげたいですね。

というか、僕ら大人でも、同じ本を読んでも10年後には感想や解釈が違ってくること、ありますよね。

笹:でも、10年前の自分も別に間違いではなくて、そのときはそのときで読めていた、楽しんでいたっていうことですよね。

あ:一口に「楽しさ」と言ってもいろんな楽しさがあると思うんです。
例えば、その文章を味わえるとか、実際の生活と関連付けて「自分だったらこうだなぁ」って思いながら読むとか、この先の展開を予測しながら読むとか……。

そういうことができていると、読書がより楽しくなってくるはず。
いろいろな楽しさ、楽しみ方をシェアしていけると、ステップアップにもつながっていきます。

お子さんなりの楽しい!を尊重して

笹:お子さんに読書をもっと好きになってもらうために、先生としてご家庭に期待したいことってありますか。

あ:あります!
風越学園でも、保護者向けにセミナーを開いたこともあるんですよ。
本の読み聞かせや、絵本を通じたお子さんとのおしゃべりをたくさんしてください、というようなお話をしました。

笹:その中で、保護者さんに特にお伝えしたいのはどんなことですか?

あ:「その子なりに楽しんでいることを受け入れる」ことです。

やっぱり保護者って、期待してしまうんですよね。
「もっと難しい本を読んでほしい」と思ってしまうとか……僕にも経験があります。

僕が子どものころに読んだ本を子どもにも読んでもらおうと思って買っておいたら、一度も読まれないまま子どもは高校生になってしまった、なんてことも。

期待が大きいと、その期待の水準からお子さんを見てしまうんですよ。
「まだこれしか読めないのか」「実は全然読めてないんじゃん」みたいに。

その子がその子なりに、自分に合ったレベルのものを選んで楽しめているんだったら、まずはそのことを大事にしたい。
安心してその子が自分に合ったものを選べるような雰囲気を作っていただけるとありがたいです。

笹:なるほど、確かに。

あ:そのためには、保護者の方も自然体で一緒に楽しめるといいですね。
保護者の方が一生懸命子どもに「アレも読ませなきゃ」「まずは保護者としてモデルを見せなきゃ」みたいに焦らなくてもいいんです。
かえって「こんなに頑張っているのに何で読まないの?」という気持ちや視線が、お子さんのプレッシャーになってしまうので。

保護者さまも自然体で楽しく!

笹:ヨンデミーにお寄せいただくお悩みでも、「子どもの読む本が長くなってきて、親も同じ本を読んで楽しむ余裕がなくなってきた」というケースは結構多いんです。
いい対処法はありませんか?

あ:無理せず、絵本の読み聞かせなども取り入れることがおすすめです。

絵本の読み聞かせはを小学校入学と同時にやめてしまうご家庭も多いと思うんです。

でも、皆さんが思っているよりも絵本の賞味期限は長いんですよ。
子どもの言語発達において、完全に視覚優位になるのは一般的なイメージより遅くて、小学校3~4年生ぐらいだという研究もあります。
つまり、そのくらいの年齢まで読み聞かせや音読は結構有益なんですよ。

だから小学校3~4年生、あるいは5年生になっても、良い絵本を一緒に楽しめばいいんじゃないでしょうか。

笹:すごくいい方法ですね。 実際、親子一緒に楽しめる絵本もたくさん出て話題になっていますし。

「保護者の方も読み手として自然でいられる」と言う視点は、あすこまさんもお子さんを育てられているからこそのすごくあたたかい言葉ですね。

あ:言うのは簡単なんですけどね。
焦ったり、力が入りすぎたりしてしまうのはすごくよくわかります。

笹:だからこそ、改めてリラックスしようという心がけが必要かもしれないですね。

風越学園流・本が苦手でも読書を楽しむ方法とは?

💡 ここからは、学園での実際の様子もふまえてより深くお話を聞いていきます!

笹:風越学園では、実際に本を読んでいるわけではないけれど読書に関連した時間がとても多いですよね。
それこそ、先ほどおっしゃっていた先生や友だちに本をおすすめしてもらう経験とか。

意識的に本との接点を作ろうとされてるんですか。

あ:風越学園は本好きの子たちが来る学校というわけではないので、本が苦手な子も当然いるんですよ。
そういう子たちにも本や読むことと親しんでほしくて、いろいろと考えています。

例えば、外で木陰を探して気持ちよく一人で本読んでみようっていうこともあれば、先輩が教室に来て自分と本との関わりについて話してくれることもあります。

あと、教室の窓に僕が詩を書いてそれに絵を描いてもらう時間もありますね。

さまざまな切り口を用意して、『読む』ということが少しでも楽しくなる経験を増やしたいと願ってやっています。

笹:窓に詩と絵が描いてあるのは僕たちも見学に伺ったときに見ました。
とても素敵でした……!
あれはどういう経緯で始まったんでしょう?

あ:「小2の授業で扱っていた『スイミー』の絵を窓に描いた」という話を聞いたのが始まりです。
当時、本は苦手だけど絵は好きな子と、「読む」ことについて話す方法を探していたんです。
それで、僕が詩を書いて絵が好きな子に絵を描いてもらえば詩の話ができるかなと思ったんですよね。

そうしたら、ある子が、「詩をみんなで選ぶといいんじゃない?」と提案してくれたんです。
以降、僕が候補の作品を読んで、みんなに投票してもらっています。

笹:一般的には、詩ってハードルが高いイメージがあると思うんです。
あすこまさんにとって、お子さんに詩に触れてもらいたい理由は何ですか?

あ:うーん、そうですね。まず前提として……

▽あすこまさんにとっての詩の良さとは?笹沼も体験した「楽しく深く読む」授業って?
詳しくはミカタラジオ本編をご覧ください!

最新回はPodcastで先行公開しています。
『おうち読書のミカタラジオ』特設サイト

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