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#ヒーロー
神影鎧装レツオウガ 第三十五話
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Chapter05 重力 05 日乃栄高校翠明《すいめい》寮、男子棟三○一号室。
土曜日、まだまだ静かな午前六時三十分。今日も規則正しく鳴る目覚まし時計を、辰巳《たつみ》はいつものように三度目で止めた。
「くぁ、ぁ」
あくび、背伸び、それぞれ一回。しかる後ジャージに着替え、部屋を出る。日課のジョギングの時間だ。
後ろ手に扉を閉めると、蝶番が酷く廊下
神影鎧装レツオウガ 第三十三話
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Chapter05 重力 03 すたすたと、天来号の通路を歩いて行く風葉と巌《いわお》。目指す先は転移室である。
細身ながら、まったく芯がぶれない背中。相当な鍛錬を詰んでいるのだろう巌の背を見ながら、風葉は口を開いた。
「あの、前から疑問に思ってたことが幾つかあるんですけど、聞いても良いですか?」
「んー? なんだい?」
ちらと振り返る巌。細い眼差し
神影鎧装レツオウガ 第二十八話
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Chapter04 交錯 05 時間は少々さかのぼって、風葉がおあずけをくらう少し前。
農業校なので敷地だけはやたら広い県立日乃栄《ひのえ》高校、その地下。数十メートル単位の分厚い土とコンクリートの向こう側に、ある施設が存在する。
正式名称、第二十番貯霊地。
今まで何度か辰巳《たつみ》の話に出ていた、日乃栄の霊地がここである。
この日乃栄霊地に限
神影鎧装レツオウガ 第二十五話
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Chapter04 交錯 02『地球は青かった』
人類初の宇宙飛行士、ユーリイ・ガガーリンが残した有名な言葉だ。
だがこの言葉が有名なのは、実は日本だけだったりする。なぜこうなったのかは諸説あるが、とにかくガガーリン氏は本来『空は非常に暗かった。一方、地球は青みがかっていた』と言ったのだそうだ。
さりとて実際に地球を見上げれば、それも正確では無い事
神影鎧装レツオウガ 第二十二話
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Chapter03 魔狼 13 轟、轟、轟。
もう幾度目かになる激突が、Rフィールドを激震させる。
「う、お、おぉぉぉっ!」
嵐のごとく霊力を渦巻かせ、絶え間なく降りしきる剣閃、剣閃、剣閃。
鋼の巨体が、二つの闘志が、キロメートル単位の空間を縦横無尽に乱舞する。
「は、あ、あぁぁぁっ!」
レツオウガは霊力装甲を、オーディンはマントを。改めて霊力噴
神影鎧装レツオウガ 第二十一話
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Chapter03 魔狼 12 陣羽織を着込んだ鎧武者。
それが、最も端的にレツオウガを表せる言葉だろう。
当然ながら、素体であるオウガの形は一切変わっていない。しかして機体各所――すなわち肩、手首、胸、背中、膝、足首のEマテリアル上へ展開された霊力装甲により、その姿は群青と灰銀の二色に塗り分けられていた。
鋼の身体を覆う、光の鎧。それだけでも相当
神影鎧装レツオウガ 第二十話
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Chapter03 魔狼 11 光のカーテンが溶けていく。天来号、利英の研究室から送られた転移術式の残光だ。
風にさらわれ、かき消える光の淡雪。
その中心に、風葉《かざは》はいた。バイク型霊力武装レックウにまたがる彼女は、改めてハンドルを握り直す。素早く、周囲を見回す。
場所は、どこかの民家の屋根の上。見渡せば、同じような高さの民家が道なりにひしめ
神影鎧装レツオウガ 第十九話
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Chapter03 魔狼 10 そうして、風葉は利英《りえい》の研究室に帰還した。
「――、む」
頭がぼうっとする。たっぷり寝たのにまだ足りない、日曜の昼過ぎみたいな感覚。
気を抜いたらまたくっついてしまいそうな目を擦り、風葉は目の焦点を合わせる。
最初に見えたのは、すぐ正面にいる冥《メイ》。抱き合う一歩手前くらいの距離に立つ冥は、風葉の意識が戻っ
神影鎧装レツオウガ 第十八話
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Chapter03 魔狼 09 時間は少々巻き戻る。
『……たった今、オウガを自爆させる事が決定したよ』
明日の天気は雨だそうだ。
それくらい軽い語調で、巌はつぶやいた。
「え」
二度、三度。まばたきする風葉《かざは》。
「そっかーならしゃーないなー。自壊術式の準備せんと」
今までがウソのような無表情で、利英《りえい》はキーボードを叩き始めた。周
神影鎧装レツオウガ 第十七話
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Chapter03 魔狼 08 オーディンが、動いた。
陸上選手もかくやと身体を沈め、一気に解き放つ。クラウチングスタートに似た体勢から繰り出される突貫は、さながらロケットだ。
リバウンダーに匹敵する撃力の塊となったグングニルが、オウガ目がけて唸りを上げる。
「オオッ!!」
斬。
真っ向からの薙ぎ払い。フェイントも何もない、愚直なまでの大振り。だが早い。恐ろしく。
「セッ
神影鎧装レツオウガ 第十六話
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Chapter03 魔狼 07 圧倒的。
それ以外に、この状況を表す言葉はなかった。
「ツ、ア、アッ!」
裂帛の気合いとともに、辰巳はあらゆる攻撃を繰り出す、繰り出す、繰り出す。
左腕コネクタからの操作に従い、ボロボロのオウガが間接を軋ませながらも、オーディン・シャドーへ攻撃を仕掛ける。
クナイの連続投擲。ガトリングガンとミサイルランチャーの同時掃射。リバウンダーによる高
神影鎧装レツオウガ 第十五話
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Chapter03 魔狼 06 所変わって天来号、酒月利英の研究室。
「ふほ、ほ」
部屋の主である利英は、ぐったりと机に突っ伏していた。まぁ特注品である冥《メイ》の転移術式を、この短時間でRフィールド用に調整したのだ。無理はない。
「実際大したもんだよ、酒月」
「なぁーに、こんなこともあろうかと、ってヤツでござる」
震えながらサムズアップする利英。何のかんのでまだ余裕はあるよ