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神影鎧装レツオウガ

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神影鎧装レツオウガ 第五十五話

神影鎧装レツオウガ 第五十五話

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Chapter07 考査 01
 敵組織のエージェント、サトウが見つかった。
 場所はイギリス南西部、モリオンの海岸付近。
 辰巳や冥《メイ》の記憶、及び鎧装の録画映像等から照合した結果、間違いなく本人であると断定もされた。後は確認等の作業が行われた後、凪守《なぎもり》へ回される手筈になっている。
 だが。
 それでも、巌《いわお》はイギリスにやって来て

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神影鎧装レツオウガ 第三十話

神影鎧装レツオウガ 第三十話

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Chapter04 交錯 07「GIIIIIIIlッ!」
 竜牙兵が再び吼えた。骨でありながら近代の軍隊に似た戦闘服を着込む兵士達が、徒党を組んで殺到する。辰巳達に襲いかかる。
「GI、GIIッ!」
 左、右。閃く骨兵どものコンバットナイフ。中々の動きだ。だが二人には通じない。
「シッ!」
 まず辰巳側。斬撃の隙間を絶妙にかいくぐりつつ、放たれるカウンタ

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神影鎧装レツオウガ 第十三話

神影鎧装レツオウガ 第十三話

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Chapter03 魔狼 04 同時刻。
 日本上空、衛星軌道の少し上。天来号内部通路のとある一角。
「どうしよ」
 十字路の真ん中で、風葉《かざは》は立ち尽くしていた。
 道に迷ってしまったのだ。
「ううーん……」
 右を見る。左を見る。誰も居ない。まっすぐ続く正面通路も、人影は見当たらない。
 途方に暮れながら、風葉は今までの経緯を思い出す。
 辰巳《たつみ》に気

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神影鎧装レツオウガ 第十二話

神影鎧装レツオウガ 第十二話

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Chapter03 魔狼 03 爆発、爆発、爆発が幻燈結界を揺るがす。
 間断ないその轟音は、ギノアが放つ霊力弾によるものだ。
「ハハハァ! どうしました!?」
 掲げられた杖の先端、赤い宝玉が光る度、射出される光弾。それらは辰巳目がけて唸りを上げる。上げる。上げ続ける。
 秒刻みで放たれる光の弾幕は、数も威力もまったく衰えない。もしも幻燈結界が無ければ、翠明寮は三十

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神影鎧装レツオウガ 第十一話

神影鎧装レツオウガ 第十一話

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Chapter03 魔狼 02 時間は少々さかのぼり、朝六時三十分。日乃栄高校翠明寮、男子棟三○一号室。
 この日、辰巳は最悪な気分で目を覚ました。
「……あー」
 眠れなかった訳では無い。身体の調子はすこぶる良好、いつも通りのコンディションだ。
 だというのに、どうにも調子がおかしい。
 理由は分かりきっている。昨日の風葉《かざは》との悶着が、尾を引いているのだ。

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神影鎧装レツオウガ 第十話

神影鎧装レツオウガ 第十話

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Chapter03 魔狼 01 翌日、午前七時四十八分。天来号の転送区画。
 疲れ目をこすりながら4番の扉を潜った冥《メイ》は、廊下を曲がるなり雷蔵《らいぞう》と鉢合わせた。
「おう冥か。おはようさん」
「やぁ雷蔵。今日も筋肉だな」
 目頭を揉む冥に対し、雷蔵はぬははと笑う。
「まぁ儂の取り柄だからの。にしても疲れとるようじゃの?」
「一晩中色んな資料とにらめっこして

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神影鎧装レツオウガ 第九話

神影鎧装レツオウガ 第九話

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Chapter02 凪守 04 翠明寮は大きく分けて三つの区画で構成されている。男子寮、女子寮、管理棟だ。
 男女の寮は管理棟を挟み、南北に二棟ずつ建っている。縦列に並ぶ三階建て鉄筋コンクリートの中には、狭苦しい部屋がぎっしりと並んでいるのだ。
 なお男女どちらの棟にも玄関は無い。一応一階に二つの出入口があるが、それぞれ非常口と渡り廊下入り口だ。
 玄関は非常口の反対

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神影鎧装レツオウガ 第八話

神影鎧装レツオウガ 第八話

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Chapter02 凪守 03 翌日、午後二時十八分。
 住宅街を横断する車道、その真ん中に辰巳は立っていた。
 服装は昨日と同じトレーニングウェア。両手をポケットに突っ込んだまま、辰巳は目を細める。
「十五、十六、十七……随分居るな。日曜くらい休めば良いだろうに」
 何となく数えようとした辰巳だったが、どんどん沸いてくる竜牙兵《ドラゴントゥースウォリアー》の群れに、

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神影鎧装レツオウガ 第七話

神影鎧装レツオウガ 第七話

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Chapter02 凪守 02

 ファントム・ユニットの司令室は、オフィス用区画の端っこにあった。
「ここだ」
「ここだ、って……」
 思わず、風葉は今しがた通り過ぎた扉を振り返る。結構離れているが、それでも通路奥にある大きな両開きの自動ドアは、ここからでも良く見えた。名前は知らないが、とにかく他の部隊の部屋だ。
 次いで翻り、風葉は正面の扉を見る。
 寮や自宅でよ

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神影鎧装レツオウガ 第六話

神影鎧装レツオウガ 第六話

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Chapter02 凪守 01

 日乃栄高校の敷地奥、北校舎の斜向かい。この学校の特徴である実験棟の右隣に、鉄筋コンクリート製の学生寮がある。
 名前は翠明《すいめい》寮。築四十年の大台を突破して久しい、途方も無いオンボロ物件である。
 かつてはこの寮に全校生の半数近くが寝泊まりしていたのだが、それは年号がまだ昭和だったころの話だ。
 交通機関が発達し、全寮制も廃止

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神影鎧装レツオウガ 第四話

神影鎧装レツオウガ 第四話

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Chapter01 邂逅 04

「さて、後はアレの始末か」
 辰巳は窓の外、未だ中庭から立ち上っている光柱を睨む。その瞳に、先ほど見えた人間味は一切ない。ガラス玉のような冷たさが、また戻っていた。
「む」
 どうして辰巳は、そんなに頑ななんだろう。
 首を傾げる風葉《かざは》だが、直後に吹き付けた光の波によって、疑問は脳裏から消し飛んだ。
 赤。緑。青。白。黄。黒。

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神影鎧装レツオウガ 第三話

神影鎧装レツオウガ 第三話

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Chapter01 邂逅 03

 距離、約十メートル。
 影絵に沈んだ廊下の真ん中で、辰巳とフェンリルは相対する。かたや使命のために、かたや夢のために。
 そんな二人の後方、成り行きで立会人をしている風葉《かざは》には、ひたすら固唾を飲む事しか出来なかった。
 二人は、動かない。無表情に絡み合う視線と殺気だけが、緩やかに相手の隙を探り続けている。
 そうして、どれく

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神影鎧装レツオウガ 第二話

神影鎧装レツオウガ 第二話

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Chapter01 邂逅 02
 どうして辰巳はそんな眼をしているのか。
 その訳を風葉《かざは》は聞こうとしたが、出来なかった。
 第三者が先んじたからだ。
「ほほぉ、お見事お見事。さすがは凪守《なぎもり》、この程度では小手調べにすらならんという訳ですなぁ」
 ぱんぱん、と聞こえて来る乾いた拍手。耳障りな音源は、当然ながら窓の外。
 辰巳は弾かれたように、風葉はぎく

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