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休日に、40年後にタイムスリップしてみた。

突然ですが、今欲しい物ベスト3。

3位 手すり
2位 杖

そして栄えある、第1位は、

ドゥルドゥルドゥル…

痛くない腰!!!
(ドゥーーーン!!!)


普段の欲しいものトップ3は、
お金と、時間と、いくら食べても細い体だが、
今はそんなものいらない。
痛みのない腰をください。切実に。

という訳で、腰を痛めた。
34年生きてて初めて。

感想としては、
めっちゃ痛いしめっちゃ不便。
ほんとそれに尽きる。

朝、息子と寝室から階段を降り、
下の階へ降り立った瞬間、前触れもなくその時は訪れた。

ピキーーーーン!!!

腰に走る痛み!

な、なんじゃこりゃーーー!
である。
歩くのも座るのも立つのも痛い。
味わった事のない痛みである。

私は腰を少し曲げ、
地面にそって、ソロリソロリと歩く。

支えが欲しい。
手とかじゃなくて、
がっちり動かなくて私の体重を預けれそうな…
長さが丁度いい棒みたいな…
え?それって杖じゃん。 

そう、今まさに私が歩くのに必要なのは杖だ。
杖を発明した人、ほんと天才だな。

土曜日の朝、
私はリビングで杖を発明した人へ
思いを馳せる。

杖を発明した人も、
私のように腰を痛めたに違いない。
もっと大昔の人は、
ちょうど良い長さの木の棒を支えにして
私と同じ姿勢でソロリソロリと歩いたのだろう。
時代は移りゆき、
私たちを取り巻くものは刻一刻と変化する。
しかし昔も今も、
腰の痛みを緩和しようとする本能的な姿勢や動き、棒に頼りたくなる思いは
きっと何一つ変わっていないのだろう。

土曜日の朝、
私はリビングで
文化人類学者にでもなった心持ちである。

遠い目をして
半分文化人類学者になっている私を見て、
旦那と長男は「おばあちゃんみたーい!」と
ケラケラ笑っている。

いや、笑い事じゃない。
まじでいてぇ。

そんな訳で、私は土曜日の朝から
ご飯を食べ、
トイレに行き、
次男に母乳をあげ、
イタイイタイと騒ぎ立てるだけの女になった。
休日だったのが、せめてもの救いである。

腰を痛めたら安静にするとか、
腰に負担がかからないようにするとか言うが、
それってどういう体勢なん?
というのが私の疑問である。

椅子に座っていても腰は使っているし、
立っていれば尚更である。
一見良さそうな気がする横になる行為も、
段々痛みが増してくるので体勢を変えるために寝返りを打つしかない。
この寝返りもめちゃくちゃ痛い。
そして横になった時の1番の弱点は、いつかは立ち上がらなくてはいけないという事である。
普段は何も考えずに行っている起き上がることが、今の私には東大に合格するくらい難しいミッションに思えてくる。

結局の所、腰に負担をかけないようにするには
水の中にいるか、宇宙に行くしかない。
要するに無理なのだ。


さて、この腰の痛みのおかげで、
私はおばあちゃんになった40年後にタイムスリップし、
将来旦那や息子にしてもらうであろう介護を
お試し体験することになる。
それぞれの私に対する対応についての感想を
40年後の自分の為に残そうと思う。

【長男】
階段を降りる際、心配して手を繋いでくれる。
逆にこちらが支えてあげなくてはならないし、
腰も痛いしで、正直息子と手を繋いで階段を降りるのは苦行であった。
しかし、心配してくれる心がなんとも嬉しい。
この天使のような行いにより、先程私をおばあちゃんと呼び、笑い者にしたことはチャラになった。
更に、布団で丸太のように横たわる私に
息子お気に入りの、
息子の香り120%の毛布をかけてくれる。
頭を撫で、「ママ、早く良くなってね」と耳元で囁いてくれる。
あまりの優しさとプレイボーイぶりに、将来が心配になるほどである。
こんな優しい男の親の顔が見てみたい。
100点満点中1万点。

【旦那】
トイレに座り、動けなくなっている私を見下ろし、お尻をふりふりしながら煽ってくる。
「ほれほれ!叩いてみろよ!」
ムカつく顔である。
人間として信じられない行為である。
旦那の大好きな煉獄さんが、お母さんから言われる煉獄さんの生き方を象徴する言葉、
「弱き人を助けることは強く生まれた者の責務です」の真逆を生きるこの男。
目の前でふられるお尻を見ながら「どうしてくれよう」と、怒りで打ち震え、私は鬼になるところであった。
iPhoneを投げつけたい所だったが、仕方ないのでトイレットペーパーを尻に投げる。
それでも尻をふり続ける旦那。
弱き私を助けるなど皆無な姿に、怒りを通り越して哀れみさえ覚える。
これからこの男と一生を添い遂げる事を考えると恐ろしい。
やるか、やられるかである。
先程私をおばあちゃんと笑い者にし、更にこのような仕打ちにあうとは…
なるほど。普段から優しくしないと、介護の時にこんな酷い目にあうのか。
常日頃の自分自身の行いを鏡で反射されているような、情けない気持ちである。
私の普段の暴君振りを反省せざるを得ない。
旦那の狙いはそれなのだろうか。だとしたら相当策士である。
旦那の尻を眺めながらそんな事を考える。
なんだかんだで息子の世話や家事、私の世話を全部やってくれた。
100点満点中5点。

【私】
腰が痛くて動けないが、予定していた事はやりたいし、自分の計画通りに物事を進めたくて堪らない。
旦那がなかなか動き出さない事にイライラしてしまう。
「もう○時だよ?」「早く○○やってくんない?」「ねぇ!聞いてる?」
人にモノを頼む態度ではない。
でもやはり旦那が重い腰をあげ、動き出すのが遅い。まじで遅い。
2人の息子を風呂に入れ、これから夜ご飯を作らなくてはいけないのに、もう19時半。
そして、そのタイミングで筋トレを始めるなど、やはり正気の沙汰ではない。
ナウシカが現れて、私の怒りを鎮めてくれないだろうか。
結局自分を抑えきれず怒り狂う私は、
ただの口が達者な、なんも出来ない頑固ばぁさんである。自分の将来を憂いてしまう。
私みたいな人が自分の近くにいたら、絶対介護したくない。あと、とにかく腰がいてぇ。
100点満点中0点。

【次男】
自由気ままな男である。
何事にも動じず、母の腰が痛かろうがしったこっちゃねぇ!と、床を徘徊する。
母が自分を抱き上げれないのをいい事に、リビングとプレイルームの開けっ放しだったゲートを遂に自力で超え、腰の痛い母を翻弄する。
長男の作ったプラレールを壊して怒られても
「ん?なんで怒ってるん?」と言う顔で眺めている。泣くのは長男である。
ぐずる事もなく、怒る事もなく、泣く事もなく、一番何も変わらず生きている姿は、なんとも頼もしい。もはや一家の大黒柱である。我が家の将来はこの男にかかっている。まだ0歳7ヶ月だけど。
100点満点中1万点。

拝啓、40年後の私。

あの時、
将来は穏やかで優しいおばあちゃんになり、
健康に生きていくと、
心に決めていましたね。

ちゃんと優しいおばあちゃんになれていますか?
横にいる尻ふり旦那と、
マウントを取り合っていませんか?

頑固な私のことなので、少し心配です。

あなたが健康を害すると、
周りにも悪影響がでるという研究結果が出ています。
自分のことを
オゾン層だと思って生きてくださいね。

健康を第一に、
穏やかに余生を過ごして下さい。

敬具

皆様もくれぐれも
お身体にはお気を付けお過ごし下さい。

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