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人は誰かと語り合いたい

早いもので今月も残すところ後3日。いわゆる年度末なので、もしかしたら来月から大きく環境が変わる、ってことでバタバタされてる方もいらっしゃるかと思います。
うどん屋もおかげさまで春休みや夏休みの期間はお客様の来店は増加する傾向にあります。単純にお子さんの給食がないということで、日々の昼食としての需要が増えることもありますし、それに加え、長期休暇中のレジャーとして県外からうどん巡りのツアーとしてご来店していただけることもあります。

この後者の理由で来店数が増える「讃岐うどん」というブランドは本当にありがたいことですし、極めて特殊なポジションを確立しているなあ、と実感させられます。

うどんという極めてオーソドックスな食べ物であるにも関わらず、最初のうどんブームと呼ばれた頃から考えると30年近くにわたって香川県の観光産業のメインコンテンツとして機能し続けているのには様々な要因がかんがえられます。

日本一面積の狭い地域に桁違いの数のうどん屋さんが存在していたことなどその環境自体が成立した条件には偶然の要素も多分に含まれておりますが、その中の一つの要素として

「自らの体験を人に伝えたい」

多くの人がほぼ本能のように持ち合わせているであろうこうした感情を呼び起こすような体験を提供することが、長く愛され続けるコンテンツとして成立するためには不可欠なのではないかと思われます。

§誰でも発信できる今の時代だからこそ

「自分の体験を人に伝えたい」こうした感情や欲求はSNSを使う事によってどんどん手軽に、そしてその影響力は大きくなっていきました。

そうした体験者の情報の発信によってそれがまた新規顧客の獲得に繋がる、という流れができてしまうことで、情報の発信が「あるモノ」と「無いモノ」との世間での認知の格差が指数関数的に大きなものになっています。

有名なお店はますます有名に。そうでないお店はますます、そのポジションから脱却しづらい状況が続いてしまいがちです。ですので店舗からの情報発信が何よりも重要である、というのはこちらをご覧の皆様には重々ご理解いただいていると思います。

こうした大量の情報発信によって新規顧客の増大を促進していく仕組みというのは側から見ていても理解しやすいのですが、実はこの流れにはもう少し続きがあります。

§感動の共有からの語り合い

SNSを通して自分の体験を人に伝える行動の中には

「同じ体験をした人同士でその体験について語り合う」

こうした行動も含まれます。そしてこの「共通体験を語り合う」事もまたその体験自身から得られる楽しさ以上の醍醐味を持っていたりします。

友達に勧められた映画を見に行くと、映画そのものの面白さも重要ですが、見終わった後に友達とその映画についての感想を語り合うのもまた楽しかったりします。
同じような感覚で演劇やライブなどを見に行くと、その公演後にファン同士の感想などで交流サイトが盛り上がったりします。

インターネットを通じて情報だけを閲覧してどこかのお店を訪れたり、イベントに参加するのは、どこまで行っても「お店とお客様」といった立場が変わることはないような気がします。

それに引き換え、自分と同じ体験を共有した人たちと感想や意見を述べあったり、交流したりすることは、お店やアーティストに対しての思いの深さが変化する大きな要因になると言えます

自分が好きなもの、気に入ったものを同じような気持ちで受け入れてくれる仲間の存在があることで再び楽しさを感じることができます。自分の好きな事を体験することで2回の「楽しさ」を感じることができるというのは少しドライな言い方をすれば「感情のコスパが良い」と行っても良いのかもしれません。

提供されるサービスやイベント、商品などをを通じて「楽しい」と感じる機会が増える事によってそのお店や企業に対して好感を抱く事になります。結果としてそのお店のファンとして応援してくれる心強いお客様になってくれます。

§語りやすい話題を提供する

そうした事を踏まえると、以下のようなポイントをあらかじめ設定しておくことで、商品やサービスがリリースしたその後にもプロモーションが自動的に継続して行われることが期待できるようになります。

①体験したことを人に言いたくなるような商品やサービス
②その商品やサービスについて語り合える場(コミュニティ)の設定
③その体験を一緒に味わうことができた仲間だと感じる連帯感の構築

こうして考えると、限定的なイベントの開催や商品販売を行った際には、そのイベントや商品に関する「振り返り」や「感想発表会」のような情報発信などを行う事によって参加した人たちの記憶の中にはより色濃く定着する可能性も高まるでしょうし、参加できなかった人にも、次回への参加意欲を掻き立てるいい材料になるように思えます。

「自分の好きなものを同じように好きでいてくれる人」と思う存分に語り合うことの楽しさは他のモノ代わりは務まりません。それ故にそうした交流の場を確保できている人にとっては何よりも大切な場所になると考えられますし、大袈裟な表現でもなく、その人の人生を豊かにする営みです。

「たかがうどんで大袈裟な。」
と思われるかもしれませんが、これはうどんに限らず、どんな商品やサービスでもあっても同じだと思います。その商品を本当に必要としている人にきちんと届けること。そしてそのお客さんの商品体験を他の人と共有して思う存分に語り合えること。こうした仕組みを持ったお店や企業であれば、顧客満足度は向上して、お客様を幸せにすることに貢献できるでしょう。

§まとめとして

私自身、昔は商売は「お客様とお店」の二つの関係だと思っていました。
しかし、自分がSNSでの発信を通じてお店の展開をしていく事によって、
実は「お客様とお店」の関係に加えて「お客様とお客様」の繋がりもあるんだなあ、と感じるようになりました。

究極を言えば「お店」は「人と人が交流する場」であって、そうした「場所を作り出す事」が「仕事」なのかもしれません。
もちろん、そうした人が集まる場所を作るためには、まずは「お店」にある種の信頼があることが大前提になります。我々は日々、そうした信頼を高めていくために日々の業務をこなしていかないといけないわけなんですね。

何事も一足飛びにはいきません。まずは「人が集まる場」を構築するために日々の営業をコツコツとこなしていきましょう。

それではこの辺で。
本日もありがとうございました。


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