マガジンのカバー画像

紗希の超短編集 1

96
今が2020年なので、私が小説を書き始めて2年を過ぎました。私は家族、家庭としては壊れている家に生まれ育ちました。 初期の作品は、どれも子供の頃の私の気持ちが反映されていて、かな…
運営しているクリエイター

2020年1月の記事一覧

#【優しく微笑みたい】

その青年は、道端に落ちているゴミが気になるらしく、どんなに小さなゴミも見落としはしない。…

紗希
4年前
25

オレンジ色の風

悠里は最近、部屋に花を飾るようになった。一人暮らしを始めて3年が経つ。ワンルームの狭い部…

紗希
4年前
32

【約束の日】

一年前、海の傍に有る喫茶店で、初めて貴方に出会った。窓際の席に一人で座って、海を眺めてい…

紗希
4年前
29

【一年後に待ってるから】

画家の名前は、河野涼。34歳。美大を出てから、彼は就職はせずに、ひたすら絵を描く毎日を過ご…

紗希
4年前
29

#【似た者親子】

今日も工場の仕事が終わった。剛志は仲間と門を出るところだ。警備員に挨拶をする。ベテランの…

紗希
4年前
30

【ス イ カ】

真夏のお昼過ぎ、つまり一日のうち、一番暑い時間帯である。私と、夫の晃司は隣町のスーパーで…

紗希
4年前
34

#【ずっと待ってる】

以前に里紗が働いていた会社に、“優子さん”という先輩がいた。先輩は里紗の9歳上の人だったが、可愛くて、スタイルも良く、優しくて仕事も出来る優秀な先輩である。 里紗のいた部署には、強烈に怖い女性の上司がいた。あまりの怖さに新人はみな半年も経たないで辞めてしまう。会社はまた、募集する、この繰り返しで、あった。 里紗自身、入ってから、1週間後には泣いていた。ただ何故だか、優子先輩は、私のことを気にかけてくれいた。会社を辞めずに済んだのは、優子先輩が優しく見守ってくれたからだと、

【童話】ブタさんの悲劇

「ねえねえ、みんな、『みにくいアヒルの子』って云う、お話しを知ってる?」仕事から帰って来…

紗希
4年前
27

#【夜汽車】

ガタゴトと走っている夜汽車の中は、想像していた以上に人が乗っていた。意外だな、そう思って…

紗希
4年前
24

【朝日の射すキッチン】

彩音は自宅のキッチンがとても好きだ。朝日が射して、明るくて。 このグリーンの寄せ植えは、…

紗希
4年前
40

童話  お風呂

ある家に、ブタさん、牛さん、ニワトリさん、羊さんが一緒に暮らしていました。 みんな、それ…

紗希
4年前
29

#【ずっと ずっと これからも】

まだ6月に入ったばかりだというのに、真夏のような暑さだ。私は冷凍庫から氷を取り出し、コッ…

紗希
4年前
28

【童話】 星月夜

夜空から会話が聞こえます。「いよいよキミは行くのだね」お月さまは、そう云いました。「はい…

紗希
4年前
24

#【花見客】

今年も梅の花が満開になった。電車に乗って20分のところに、梅の名所がある。「天気もいいし、お花見にでも行ってみようかな」知春はそう考えて、一人、電車に揺られた。 最寄りの駅に着くと、人が溢れていた。「想像はしてたけど、やっぱりすごい人だわ」駅から徒歩10分ほどで、たくさんの梅の木がある丘に着く。 ブルーシートがあちこちに敷かれ、場所を確保している。「このシートが、せっかくの梅の花を台無しにしてる気がするなぁ」知春はそう思った。ブルーの色が濃過ぎるのだ。それが、辺り一面に敷