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コロナ禍で失ったものと得たもの

 *もう一つのnoteで昨年の9月に書いていた記事を改めて編集しました

 

 Facebookで一年前の記事がふと目に止まった。1年前はちょうど春節のおやすみが始まるタイミングで、朝から空港に向かっていた。行き先は、マレーシア(クアラルンプール・ペナン)とインドネシア(ジャカルタ)。どちらも友人と恩師に会いに行くための旅で、ついでに海外旅行とバカンスも楽しもう、そんな感じでワクワクとしていたのを覚えている。

 そして、その旅から帰ってきてからは一気にコロナウイルスへの警戒が高まり、自粛生活に入って、そこから一度も台湾を出ていない。結局、日本にはもう1年半弱帰れていないし、実家には2年帰っていない。台湾自体は、日本より2ヶ月ほど自粛に入ったタイミングが早かったような気がしている。

 不思議なもので、そこからまだ1年とは思えないぐらいに色んなことが変わった。普段の生活もそれなりに生活しているけど、あまりしていなかったマスクは常にしているし、家に帰っても、お店に入っても、会社でも必ずアルコール消毒をするようになった。1年前は考えてもなかったことだ。


 昨年。何がコロナ以外にいつもと違うかなぁって考えていたのだけれども。夏なのに台風が台湾に来なかった。ほんと来なかった。夏、6月から10月に全く直撃していないってめっちゃ珍しい。その分日本に行っているような気もするのだけれども、ルートがずれているのも何かしらの気候変動が影響しているのかと思うと、災害が無く平和で良いのだけどもなんだか複雑な気分だった。そして日本での風雨の災害を見ながら、ちょっと心が痛む。

 そして、昨年末から冬が寒い。こちらに来て最低気温が10度を切る日なんて年に2−3日しかなかったような気がするのにこの冬は多い。暖房がない施設が多い中で10度を切ると建物内で凍える寒さだ。会社ももれなく暖房がなくて、私の席の後ろは窓だったりするものだから、冷気を背中に感じてとてもとても寒かった。最近、気温が10度を切ることはなくなって、最高気温も20度を超える日が増えたからだいぶマシになった気がする。そうそう、今年は台湾でも雪が降るぐらいには寒かったのだ。



 とは言え。この1年で一番違うことは、先に書いた「コロナ禍の影響」が一番だ。台湾において自分が外国人だと思い知らされたことも、距離は近いけれども日本から見ると外国なのだとも改めて感じた。今、台北で時折タクシーの乗ると、毎回必ず「日本人か?」と質問される。私の中国語の発音ができてないからってのもあるのだけれども、1年前は聞かれること自体が少なかった。


 個人的にこのコロナ禍で失ったものといえば。

 何においても最大の影響を受けているのは「移動の自由」。ふらりと国内のように日本を行き来し、毎年一人旅、もしくは現地集合で海外旅行に行き、会いたい人に会い、訪れたい場所を訪れていたのに。2019年は出張以外で台湾外に8回お出かけしていたのに。それが、2020年は春節の1回のみ。2月末の連休で日本に帰る予定が実家にも帰れず、繰り返しになるけれどもかれこれ早一年半ほど日本に帰れていない状況のまま。

 そろそろ海外旅行もしたいし、何よりも日本にも帰りたい、というところが本音。ちなみに、日本に帰るには、日本で2週間、台湾帰国後2週間と往復4週間の自宅検疫を覚悟しなくてはならず、さすがに往復4週間となるとちょっと色んな犠牲を生みそうなのでよっぽどの事情がないと帰れないなぁ、と。さらに今は緊急事態宣言が首都圏も関西圏も福岡も出ているし、友人も友人の友人も感染したと言う話をそれなりには聞いていて、どこで感染するかがもうわからない状態なので、帰国自体がちょっと怖い。正確に言うと、自分が感染することが怖いと言うよりは、他の人にうつしてしまったら、陽性反応になって台湾に帰れなくなり仕事に大きく影響したら。その「もしも」が怖いのだ。

 あとは。台湾内においてはマスクや消毒はしているものの、随分と普通に生活してい流けれど。人と、直接会う機会が大きいような気がする。特に、親しい人たちと「集まっての食事の機会」かな。今、台湾の大忘年会「尾牙」の時期だけれども大企業の中では3割ほどは自粛しているところもある。大型のイベントやコンサートは延期になったものもたくさんある。人が大勢集まると言うことに、やはりまだまだ制限はあるのだ。

 ご飯を囲んで一緒に美味しいものを食べる、気兼ねなくお喋りをする。そんな時間が本当に幸せだよねえ、と改めて貴重な時間であり、大切な時間だなぁと感じている。今は台湾の友人たちとは時折集まって食べるようにもなったけれども、海外のzoom越しに話す友人たちと、一緒に同じものを美味しいといいながら食べたいよねぇ、と。何よりも、会いたいよねぇ、と。

 会いたい人に会いに行く。普通にできていたことができなくなったこと。国を超えて移動ができなくなったことだけでなく、リスクを考えると歳を重ねた両親に会うことも憚られる。未だ、都会から地方へ行くことができない。地方へいる両親に、祖父母に、親戚に、友人に、会いに行くことができない。これは人として大切にしたいことを、したくてもできないことにも繋がり、なんとも切ないなぁと感じているのです。


 一方で、環境が変化したことで得たものもある。

 このコロナ禍のおかげで引き篭もるようになり、一気にオンライン化も広がった。だからこそ台湾に居つつも、学ぶという点では選択肢がとても増えた。

 このコロナ禍が始まる前は、良質なコンテンツはほぼオフラインしかなかった。中国語があまりできず、英語で学ぶには心もとないレベルまでに下がってしまっている状態で、深く理解し学ぼうとした時に日本語でオンラインで学べるコンテンツは1年前までほぼなかったのだ。あってもビデオ学習のようなもので、それであればYoutubeと一緒だよね、と。かえってYoutubeの有料コンテンツの方が学びになるわーなんて思ってたものもある。ほんの1年前のことですよ。私が学びたい、聞きたい、と思う講座がほぼ無かったのだ。

 ところが。Stay Homeで外出できなくなり、仕事に行くことも、集まることも自粛を迫られる環境になったら。いっきにリアルのみで開催されていた講演や講義やワークショップ等がオンラインに雪崩れ込んできてる。ここぞとばかりに。そして、それが当たり前になってきた。

 開催者側もオンラインで実施することを考えなければ生き残れない状態になると思ったからこそだと思うのだけれど、海外に住んでいて、気軽に日本に帰れない状況の中でオンラインで学べるコンテンツが増えたということは、選択肢が増えるという意味でとってもとっても有難いことだった。というか、本当に有難く思ってます。


 それによって何が起こったかというと。

①学ぶことが出来るコンテンツ・バリエーションが増え、日本にいた時に近い状態で、日本語で学ぶことができる

②オンラインになることで移動時間が削減され時間的な負担が削減されると同時に、家で落ち着いて受講できる

③コンテンツによっては講義の動画配信が行われ、好きな時に講義を受講できる&復習ができる

④どこからでもアクセスできるようになった為、同様に海外からの参加者も増え、各国に仲間が出来る

⑤移動時間がないので隙間時間で気軽に打合せ・話ができる


 こんな感じかな。

 何よりも④は副産物的なことなのだけれど、これがまた私個人的には大きくて、それぞれの国の文化だったり、課題だったり、様々な視点で物事をみることができるきっかけにもなり得ている。視点を増やし視野を広げるという意味でとても良い刺激に。

 そして離れているし、一度も直接会ったことはないのだけれども、オンライン上のつながりから新たなプロジェクトが生まれた。これもまた面白いところ。

 コロナがここまで広がる前に、zoomで学ぶことを決め受講してきた「EMS(エッセンシャルマネジメントスクール)」。本質行動学にもとづき、名前のとおり本質的なマネジメントを学ぶ場です。2020年1月開始の2期から受講し、6月からの3期ではFA(ファシリテートアシスタント)として運営側にも関わり、現在は4期もFAとして参加。全てオンラインで学び、対話を行い、交流を深め、運営に携わってきた。とてもとても多くの方に出会ったけれども、全てオンライン上。かなり深く語り合う仲間も多いが、実は一度も会ったことがない。会ったことがないということが不思議なぐらいに。そして、そのつながりからさらに新しいプロジェクトが始まろうとしていたり、学びの機会が増えたり。このEMSに関わっていなければ生まれていないだろう貴重な出会いと機会と関係が本当に沢山ある。

 そしてもう一つ。2020年には私も復活し本部メンバーとして活動をした「イイオンナ推進プロジェクト」も、プロマネを全てオンライン上で遠隔対応してきた。こちらも初めましてな方が大勢いるなかで、2020年2月から12月まで活動してきた。今はちょっとお休みさせてもらっているのだけれども。


 会ったことが無い人がほとんどでも。確かにリアルで会うよりも関係性を構築するのに時間はかかるのだけれども。それでも、お互いにサポートしあい、リアルであっている人と同じように一緒にプロジェクトを進め、そして共に学びを深めている。リアルじゃないと出来なことだってある。リアルの方がいいこともある。でも、リアルでは出来なかったことが出来ていることも確か。オンラインになることで選択肢が増えたことは間違いがない。

 これって本当に大きいことだよなぁ、と感じている。

 私にとっては、とてもとても大きな変化であり、きっと後で振返った時に人生のターニングポイントになるだろう時を、今過ごしているのだと思う。


 影響が少ないと言われる台湾においても、コロナ禍の影響で、不便なことも、ストレスを感じることも沢山沢山未だあるのだけれども、何よりも移動に制限がかかっていることが一番のストレスであり不便なことなのだけども。それでもこの環境だからこそ得たものも沢山あるなぁって感じている。

 それでも、やっぱり直接会いたいけど。旅に出たいけど。

 オンラインで初めて繋がった友人たちは、一度も会えないまま。会った事がない事が不思議なぐらいに仲良くても、いろんな深い話をしていても、でも画面の向こうにしかいなくて、実際に会う事ができない。「会う」ということの価値を改めて考える、そんなことを感じています。以前のように、会いたい人に会いに、世界中に自由に旅に出たいなぁ。

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