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言葉の宝箱 0422【そりゃあ。ありますよ。人間同士ですから】

『風の墓碑銘 上』乃南アサ(新潮文庫2009/2/1)


女刑事音道貴子長編『凍える牙』『鎖』に続く第3弾。


・考えたくないこと、考えても仕方のないことがあった。
いずれ真剣に向き合わなければならないことは分かっていても、
つい、先送りしたい問題だった。――要するに逃げている。
それは自分でも分かっていた。だが、仕方がない。動揺したくない。
誰にも向けようのない怒りを抱きたくないのだ。
だから、少しでも時間を稼ぎたかった P29

・無理もない。それが親子というものなのだろう P138

・「ここで、トラブルとか?」
「まあ、小さいことなら色々とねぇ。
そりゃあ。ありますよ。人間同士ですから」 P152

・あそこまで褒められない人っていうのも、珍しい気がしますよね。
せっかくあの歳まで生きてきて P174

・果たしてどちらが後悔するのだろうか。
今のままだと、どちらが、どんな後悔をすることになるのか P188

・「可愛い?老人が?」
「だって、結局は皆、赤ん坊に戻るんだから。
若い頃はどんなだったか知らないけど、泣くし、甘えるし、駄々こねるし、自分じゃ何もできなくなったりして」 P194

・自分以上にかっかと来ている人間を見るのは、なかなか良いものだ。
それだけで、こちらの留飲まで下がる気がする P221

・人は見かけによらないものだ。
それに関しては、犯罪者も警察官も、変りがない P270

・裏切る方はいつだって、涼しい顔をしているに決まっている。
たとえ万に一つ、自分の行為が露見することがあったとしても、
せいぜい少しばかり居場所を変える程度で、
その後も平然と生きていくのだ。
そして裏切られた方だけが、傷を抱えてうなだれる。
自信をなくし、人を恐れて。下手をすれば一生涯。冗談じゃない P271

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