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言葉の宝箱1103【問い詰めない、否定しない、説教しない】

『跳べ、栄光のクワド』碧野圭(小学館文庫2022/2/9)

日本のフィギュアスケーターなら誰もが目指す憧れの舞台、全日本フィギュア選手権。更に今回の大会はオリンピックの出場権が掛る重要な試合。そんな大切な試合の直前、男子ショートプログラムの2日前に男子レジェンドスケーターが「ショートの試合の前には必ず戻りますから、探さないでください」という書き置きを残して忽然と消えた。そこから物語はスタートする。試合のジャッジ、フィギュアを報道するアナウンサー、選手の身体をケアするトレーナー、選手にとって一番近い存在の母親、そして振付師。それぞれの目線から、彼について、そして今回の事件についての考察が始まる。次々とその波紋は広がっていき、それぞれの心に彼の姿、彼への想い、そして、新たな絆といえる感情が生まれていく。立場は違えど、共通するのは彼への熱い気持ち。また、「推し」をもつファンの心情も描かれる。そして、渦中の彼の行方は?
主役を支える人々のお仕事小説でもあり、
人間ドラマでもあり、成長物語でもある。スポーツエンタテイメント小説。
目次【プロローグ】【第一章 ジャッジ】【第二章 アナウンサー】
【第三章 トレーナー】【第四章 母親】【第五章 振付師】【エピローグ】


・痛みを抱えてもそれをコントロールして、
その時できるベストを尽くすのが強い選手だ P89

・十分な準備をしてそれに臨むことが自分の役割だ P91

・他人にどう見られるか。それを過度に気にする P107

・問い詰めない、否定しない、説教しない P110

・勝って当然なんて、外野だから言えるんだよ。それってしんどいよ。
おまえならやれる。これくらい大丈夫。きっと乗り越えられる。
激励しているつもりでも、本人にとっては重荷だよ P113

・優等生だから、
親に反発することもできず、自分の中に引きこもってしまった P116

・いいとか悪いとか、
そういう感情と切り離して観るということが大切なんだ(略)
失敗した、つらい、というのは主観だ。その主観にとらわれてはいけない。演技中そういう感情を抱いてしまったら、
手足が緊張して縮こまってしまう。
失敗したという主観が、次の失敗を生むんだ(略)
失敗した映像を、失敗しなかった時の気持ちになって観るといい。
失敗した時の主観を上書きするんだ。
そうすると、自分の失敗を冷静に見られる。
自分の理想とするイメージと実際との距離がわかる。
それが外側からの視点で自分を見る訓練になる P130

・優れた選手はみんな共通している。
自分の理想とするパフォーマンスのイメージを強く持っているんだ。
そして、いま現在の自分に何が足りないか、
どうすればその理想に近づけるか、
そのためにいま何をしたらいいかということを常に考えている。
それを実行している。決して受け身ではない P131

・言葉にすることの大事さ(略)
理解が深まった。と、同時に自分自身の考えが整理された P252

・いいと思ったことを取り入れ、継続する力 P253

・人の高みに登る者は孤独の罰を受ける P266


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