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言葉の宝箱 0559【今日中にやらなくてはいけないことと明日でもいいことの二つあったら、まず明日でもいいことから取り掛かりなさいって教えていました。今日中にやらなくてはいけないことですよ。絶対にやりますって。今日中に二つ終わらせば、明日は別のことができるんです。お得じゃないですか?】

『流浪の大地』本城雅人(角川書店2020/2/28)


大手ゼネコン鬼塚建設の新井は国内外で数々の工事を成功させてきたが、
2年前の談合事件以降、現場を外され閑職に追いやられていた。そんな中、日本初の統合型リゾート(IR)の工事責任者を任され、汚名返上のチャンスと意気込む新井だったが、かつての部下、根元からの不穏な電話に不安を覚える。同じ頃、中央新聞の那智は伝説の調査報道記者と呼ばれ病に倒れた叔父が残した謎の建設工事資料の解明に取り組んでいた。次第に明らかになるゼネコンの闇と政財界を巻き込む大きな陰謀。国家プロジェクトとなったIR建設をめぐり、新たな事件が起ころうとしていた。

*「カジノ」「IR」が話題になり始めた頃から、どんな問題が我々の未来に待っているのか、ずっと考えてきました。構想から5年をかけて書き上げた自信作です。【本城雅人】

目次:第1章不穏/第2章工作/第3章接触/第4章因縁/第5章密会/第6章照合/第7章改竄/第8章王国/第9章人質/第10章連鎖/第11章入札/第12章再生


・記者の仕事はスクープだけではないぞ。正しいと思っていることを書く。それで少しでも、人の心にさざ波を立てることができれば充分なんだ。
それを続けていけば小さな波がいつしか大波へと変わるんだ P21

・心の温度計が壊れた人間になっていた P33

・「違う、違う」と笑顔を作って答えた。
「やっぱり正解なんですね(略)
同じことを二回繰り返す時って、大概正解なんです」P68

・部屋の温もりというのは、
鉄筋だからとか、暖房機によってもたらされるものではなく、
人の体温によって変わる P86

・向き不向きはあるさ。
だけど大事なのは無理やり押し付けないことだ。
仕事は与えるが、そこから先は自発的にやるのを待つ。
それが案外難しいってことが上に立つと分かるんだ P92

・人にうまく嫌われるのは、好かれるより難しい P109

・この仕事はでかい夢がなければやれねえ。
なにせ金よりも大きなものを手に入れることができるんだからな(略)
感動だよ P147

・男は目的に向かって
ひたむきに走る人間についていきたいと思うんですよ P188

・頑張っているから神様が味方してくれるんだ P216

・今日中にやらなくてはいけないことと明日でもいいことの二つあったら、まず明日でもいいことから取り掛かりなさいって教えていました(略)
今日中にやらなくてはいけないことですよ。
絶対にやりますって(略)
今日中に二つ終わらせば、明日は別のことができるんです。
お得じゃないですか? P268

・感謝というのは、言葉より態度で示すものなのかもしれない P289

・国有地は一円でも高く売る。
工事は一円でも安く請け負わせるというのが
国民生活をよくするための原理原則です P332

・記事って答えのあるものを書くだけではないと思います。
難解な問題に補助線を一本引いてみる。
そうしたら読者になにが見えてくるか。
それを手伝うだけでも記事を書く意義はあると思います P335

・いけないことだと分かっているのに、断れない自分が情けない。
これが人間の弱さなのか P356

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