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言葉の宝箱 0566【人間も過去の記憶で作られている】

『花野に眠る 秋葉図書館の四季』森谷明子(創元推理文庫2017/8/25)


れんげ野原のまんなかにある秋葉図書館。
ゆったりとした時間が流れるのどかなこの図書館でも、季節はうつろい、
新人司書文子の仕事ぶりも板についてきた。
そんななか、図書館のお隣の日向山から驚くようなものが発見され、
大騒ぎになる。なんでここに埋められていたの?
気になって仕方がない文子は、真相究明に乗り出す。
だけど、謎はそればかりではない。
図書館利用者が持ち込むちょっとした謎は、
絵本にお菓子に料理に、と実に様々。
本の力、そして頼もしい先輩司書たちの力を借りて、文子はすっきり解決!と、なるのやら。
すべての本好き、図書館好きに捧げる、やさしいミステリ、第2弾。
『穀雨』『芒種』『小暑』『白露』『寒露』5話連作短編集。


あとがきに
“すでに十年ほど前のことになりますが、
秋葉図書館の秋から春までのうつろいを書くのは、
とても楽しい作業でした。
そして今回、その季節の続きを書きたいと思った時、
筆者の脳内で『れんげ野原のまんなかで』のラストで
満開を迎えていたレンガソウが、まだそのまま揺れていました。
ですからこの『花野に眠る』は、
『れんげ野原のまんなかで』からまっすぐにつながっている連作です。
お話はもう一度、
レンガソウに囲まれたのどかな図書館から始まります(略)
図書館の本質的な役割の一つは資料の収集にありとは、
司書が真っ先に教えられることです。
そして資料とは、作られた瞬間から過去に属する性質のものです。
本を集めることは必然的に「過去」を蓄積することであり、
だから図書館は「過去」と非常に親和性が高いのです。
開き直りついでに言えば、人間も過去の記憶で作られているわけですしね” とある P337

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