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言葉の宝箱 0466【どんな仕事でも繰り返しやっとったら誰でもできるようになるもんですわ】

『鴨川食堂⑤はんなり』柏井壽(小学館文庫2018/4/11)


もう一度あの「食」に出会えたら、彼の本当の気持ちがわかると思ったんです。京都にある看板のない食堂には、思い出の味を求めて今日も迷い人が訪れる。別れの原因になった親子丼、亡き息子の優しさが詰まっていた焼売、妻と息子が好きだったのに、どんな味だったか思い出せないきつねうどん。夕食を家でとらない元夫が毎晩食べていたおでん、遭難しかけた際におばあさんが食べさせてくれた芋煮、一目惚れした彼が完成させたかったハヤシライス。盛りだくさんなメニューを鴨川流・こいし親子が見事に探し出すシリーズ第5弾。6話連作短編集。

『親子丼』元彼の忘れられない行動
『焼売』息子への嘘と後悔
『きつねうどん』死に神みたいな人生
『おでん』かけ違えた心のボタン
『芋煮』山中で出会った救いの神
『ハヤシライス』避暑地の閑かなロマンス


・いっときは結婚まで考えたのに、ささいなことで別れてしまった P15

・人の評判やとかは、うちはあんまり信用してませんねん。
それより直感でお店を選びます P50

・「元のさやに戻ったらええにゃけど」(略)
「いったん離れると、なかなか戻れんもんやが」 P53

・どんな仕事でも繰り返しやっとったら
誰でもできるようになるもんですわ P114

・人間の感覚は気持ちによって大きく左右されるものだ P127

・食いもんの味いうのは、ほんまに不思議なもんで、
それを食うたときの気分でころっと変わります P138

・辛いことは一生胸に抱いて生きていかんと、
亡うなったもんがむくわれまへん。
それが残されたもんの務めです P140

・作る側も食べる側も愉しまないと、料理は美味しくなりませんね P158

・この人と結婚してよかった。
心底そう思ってしあわせを噛みしめていたときもあったのだ P181

・人の思いっちゅうのは、
あんじょう伝わるときもあれば、伝わらんときもあります。
人間の気持ちは難しいもんです。
すぐに誤解が解けたらええんですが、
お互いの思いがすれ違うたまま、長い時間が経ってしまうこともある。
あとから思うたら悔しいてたまりまへんけど、
それが人間っちゅうもんですわ P187

・なんでもかんでも伝えたらええ、というもんやない。
知らんほうがええっちゅうことも世の中にはようけある P235

・女がひとりで生きているといろいろ言われますよ P256

・いざとなったら女の人のほうが思いきりがええねん P297

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