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8月の憂鬱な空に晴れ間を見つける

はじめに)8月の憂鬱なデータ

#VUCA #センスメイキング#野中郁次郎#相互主観#エマニエル・トッド#ナラティブ#マーケティング#リスキリング

今年の夏は猛暑が厳しいですね。8月に入って35℃を超える日が各地に目立ち、地球温暖化の影響は、年々大きく感じます。私が働いているマークシティの22階からの観た景色です。

なんだかVUCA(Volatelity変動性、Uncertainty不確実性、Complexty複雑性、Ambiguity曖昧性)の空といってよいのか、遠くの地平線では、激しく雨の降っているところと、降っていないところが、マダラになって見えます。

 そんな中で、8月に入って以下のような興味深い指標が連日報道がされました。皆様もご覧になったかと思います。

【8月の経済指標の代表例】
a)GDPは、6%成長、物価は3%アップでも個人消費マイナス(8月16日 日経)

b)3メガバンクの4〜6月の純利益は、2倍。金利上昇で利ざや拡大(8月2日 日経) 

c)上場企業、3期連続最高利益対前年比6%。非製造業の回復が鮮明(8月17日 日経)

d)個人消費はマイナス、消費者物価指数は、22ヵ月連続で前年を上回り、賃金伸び悩み、実質賃金は15ヶ月連続対前年比割れ。(8月16日 朝日)

e)日本経済を支えているのは、円安によるインバウンド需要による回復。(8月16日 朝日)

f)食品・飲料企業195社の今年の値上げと値上げ予定は、3万710点。(帝国データバンク)しかし、売り上げが悪く、食品値上げ品目数は既に56%減らしている。

g)消費者の値上げ疲れ、消費マインドの低下が景気の足を引っ張る可能性がある。(8月1日 日経)

h)消費支出の二分化が鮮明。高所得層(年収1500万円以上)が、高級時計、貴金属、宝飾品、服飾で牽引(三井住友カードと日経のキャッシュレスデータ 「カステラ」8月21日 日経)

i)現18歳女性の意向、「生涯子供なし」最大42%。欧米の2倍の水準。男性は、「2人に1人」も子供なし。▷生涯独身、賃金の低迷や将来の不安(8月)

j)スーパーは、惣菜が成長の糧、コロナ禍で市場拡大、高い利益率にうまみ。いなげや、唐揚げで勝負/ライフ、350種ずらり。惣菜市場は、対前年比3.5%増、10兆4652億円

k)「日本の個人、政府、金融業界がいっせいに『資産運用』に力を入れている」金融庁長官は、年内に大きな改革の絵を描くと明言。その方法として、「岸田文雄政権は、目指す資産運用立国の実現に向けてむけて、金融庁幹部は、運用会社や年金基金、証券会社などに連日の様にアイデアを募っているそうだ。」(8月21日 日経)  

 あなたはこの記事のa)〜k)をご覧になって、どれに関心を持ちましたか?
これらの記事について考えてみましょう。

それぞれに、連関しているのは?因果関係は?補完関係と相反するのは?違和感を感じる記事は?これは結果?、今後のマーケットに影響を与えるものは何?

色々考えてみた後にナラティブに物語る、問いを発しながら、考えて、連結したり、「正・反・合」と弁証法として新しい概念にアウスへーベン止揚する作業をしてみましょう。  

1.【事実を組み合わせて新しい視点を探る、scanning 感じる】・・・トレンドを感じる・観察する センスメイキングの第1歩

以下は、a)〜k)を見ながら、新しい視点の思考法センスメイキングービジョン思考が必要であることの説明をしてみます。

a)とb)とc)の記事は、庶民である生活者にはピンと来ないものです。
日本の経済は、一見すると立て直しつつあるかと考えられますが、d)でみると、庶民の苦しい生活実態が浮かびあがります。
まだまだ解像度は低い状態です。
ここで必要なことは、自分なりに感じることです。
近視眼にならずに、遠くを時々見ながら、視点を変える事です。

e)とh)を合わせると、インバウンドとシン富裕層だけが潤い始めているようにみえます。
庶民は、ターゲットから外れているのでしょうか。
もしくは、アベノミクスの時主張されたように、政府はまず富裕層が豊かになれば、庶民もそのうち豊かになると派生するとでも考えているのでしょうか!
まさかムーアのキャズム理論を考えているわけではないでしょう。(苦笑)

コラム1 フィールドワークで体感

渋谷のシン富裕層+豊かな松濤エリアからの主婦の組み合わせ


 私のいるマークシティ4階の成城石井のLe Bar a Vin 52は、常に満杯でインバウンドの方々で溢れています。先日は、シンガポール大使館がパーティをしていました。店長に聞くと、この店舗は、売り上げNo.1だそうです。特にランチとディナーだけでなく、午後2時から5時は、主婦の団体が、毎日ワインを飲んで楽しそうに談笑して、5時になると、席を立ち帰宅します。新ゴールデンタイムが終わり、次に、インバウンドと、シン富裕層が登場します。

黒木コラム

それにk)を合わせみると、貯蓄より資産運用に力を入れるのが、政府と金融機関の考え方ということなら、メインターゲットはシン富裕層と旧富裕層になります。

サブ的な庶民からも職場積立NISAなどで、(言葉は悪いのですが)安心・信頼のない金融機関システムにおいて、まるでお金を吸い上げられるシステムにも見えてしまいます。

 政府と金融庁は、【資産運用立国】と標榜して、自らは、未來を語るような理念を明らかにしません。老後の生活の為とかだけいいながら、金融庁幹部は、運用会社や年金基金、証券会社に連日アイデアを出させる。

他人ゴトなのです。これでは、共感しない、共鳴しないのです。

 理念を自分ゴトへと語り直すナラティブをしない政府、官僚は、私は、20世紀型の典型的なカイゼン型思考だと思います。
所謂古いマーケティング戦略を作成しています。

話をもどします。

最大課題は、i)ではないでしょうか!
18歳女性の描く未来のリアリティーは、「生涯子供なしが42%」、男性は「子供なしが2人に1人」

これは、家族の形態が大きく変わっていく、しかも賃金の低迷と将来の不安で、子供を作らないと考える方々にk)の資産運用に力を入れて安心感を醸成できるなどという単純な話はほぼ成立しないでしょう。

 家族形態が変わることが、未来の日本にどのような変化を引き起こすのかを考えなければなりません。

厚生労働省の2022年発表の生涯に子供を産む数「合計特殊出生率」は、1.26人(前年1.30人)過去最低数で、過去最低の80万人を割りました。77万747人です。

著名な人口学者エマニュエル・トッドが7年前に日本に忠告したのは、「人口減少こそ日本の最大の課題。どうして日本は、もっと本気で取り組まないのか!気づいた時にはもう遅い」ということです。
日本は、40年後には存在するかわからないとまでトッドに言われている。

岸田内閣の「異次元の少子化対策」には、全く新しい提案力はない。

 トッドが言うように、出生率の低下対応は、支援金、手当金のようなその場しのぎではなく、女性の微妙な地位、キャリアが子供を選ばなければならない状況、父権制の名残りの影響であり、さらにグローバル化をし続けた対価であるならば、どのような社会構想にするかを今考えなければならない。

まさに未来への構想を必要とされています。

だからa)b)c)d)e)f)g)k)の現象や施策は、これからのことを考えている18歳には腹落ちしていないのではないでしょうか?

 18歳のインサイトを把握できない日本政府、官僚は、まずナラティブに自らの言葉で未來を語ることで、共感を生み出し、多様な行動を引き起こすが必要です。

21世紀型ビジョン思考ーセンスメイキングを使って、今政府だけでなく、企業にもそして個々の生活者にも「それぞれの物語」を考え、語ることが求められているように感じます。

 私達に今必要なのは、ひとつひとつの事象に単に受け身ではなく、自らが未來を創造するという気持ちで、個人のナラティブと組織のナラティブが影響し合うプロセスを大切にすることではないでしょうか。

※センスメイキングの説明は私のnote2021年9月14日「センスメイキングとは」を参照。

2.ナラティブで語るInterpretation・・自らの言葉で意味づける・・・センスメイキングの第2歩目

 特に歯痒く感じるのは、私の関連する経営・マーケティング領域は、空白の30年間を経ても、いまだに思考の方向を変えず、同じような組織体制のまま、一応イノベーションを掲げても、組織の個々人の意識はなかなか変わらない。
そして、従来と全く同じようなマーケティングプロセス(分析型ロジカルアプローチ)を続けていて、自分ゴトにならないことです。

さらにアジリティに対応できていない企業が多いと感じます。
先ほどのk)でみた日本政府や金融庁の組織体質と思考法がまさにそれです。

何度も野中郁次郎名誉教授の名言としてご紹介して来た【分析過多】【計画過多】の時間の浪費だけでなく、組織内で見えない精神的負担になっている【コンプライアンス過多】も相変わらず感じます。

結果として、自ら新しいことにチャレンジする姿勢が欠けていると思います。

今年に入ってアフターコロナと言われても、この2、3年のやることは従来までの延長で、新しい事をするどころか発想すら変えない企業もみられます。

今だに、DX、リスキりングにただ飛びつき、中にはビッグデータ(AIによる人流データ分析など)の表層だけをみて、深くは考えないところも多いと思います。インサイトをえぐることまでしていない。

コラム2  リスキリングと生成A I

リスキリングには受講希望者は殺到し、「プロンプトエンジニア」生成AIの回答の精度を高めるプログラムの申し込み者は、1000人を超える。(日経8月18日朝刊)
と、少し煽り気味の記事があります。
 人材育成が問われることはその通りだが、生成AIにより技術的失業の現段階では、まだまだ質的レベルの低い仕事であり、人間にしかできない領域の在ることなどが充分に論議されていないことを明言すべきです。
※(参照)"AIの生産性上昇スキルは、低スキルの人に集中"
2023年6月4日配信した【chatGPTには人間くささは作れない!?】にて紹介した渡辺安虎東大教授の紹介されたスタンフォード大学エリック・ブリニョルフソン教授の論文では、「ソフトウェア企業のカスタマーサポート部にchat G P T導入して、因果推理論で効果検証すると、生産性は、わずか14%up。しかも大半は、低スキルの人の生産性上昇によるもの。その他、立証されたデータは多数。

黒木コラム

◎今重要な視点は、

「我々は、何の為に存在するか」
「我々は、どこから来て、どこに向かうのか」
「我々は、将来、どんな景色を作り出したいのか」
というような【本質・根源】を、見極めることです。

これは、2019年からの所謂パーパス経営宣言、2021年ダボス会議で宣言される予定であったグレートリセットとウェルビーイングのムーブメントがベースにあり、経済中心の社会システムから、人間の幸福を中心にした経済への見直しがベースにあります。

 つまり、株主一辺倒のステークホルダーではなく、顧客、従業員、サプライヤー、地域社会、環境への利益を勘案した経営が必要になったからです。

▷ここで必要になってきたのが、【目的】の創出作業です。

目標値だけではなく、必ず企業に在る企業理念を戦略に生かす。

みんなが納得できる、腹落ちするまでナラティブする(物語となる)ことではないかと思います。  

3.相互主観の知的コンバットを繰り返す・・・センスメイキングの第3歩目

~この8月に話した、あるミドルマネジャーの悩み~

 ある企業のミドルマネジャーと、この8月の旧お盆の時に弊社にて、対話したことを書いてみます。

【問い】をしながら、共に考えたこと。

①悩み その1 【結果が出ないのは課題ではなく、プロセスと思考法を変えなければならない】

「ヒット商品が出れば、自信がつくのですが、なかなか結果が出ない事が課題です。」とおっしゃいました。

まずは、我々がどのプロジェクトでも実施している「善い目的」を作ることではないか!と思います。

その為には、先ほど書いた「我々は何の為に存在するのか」「我々はどこから来てどこに向かうのか」「我々は将来どんな景色を作り出したいのか」を徹底して、(ボードメンバー(役員)と従業員)全員での対話が必要ではないでしょうか。

自分の言葉で自分ゴトで、納得いくまで話し、相互主観で理解する領域を作ることです。

▷今、自分のやりたいこと、生き方、満足のいく目的(小目的)と近未来の目的でこうなって欲しいという目的(大目的)を自分の言葉で考える事が大切です。

この目的を創出すると、その間にある今後まず何をしなければならないかいう中目的が創出されます。

 この過去ー未来から現在を考えるプロセスは、センスメイキング作業の第2ステップである意味付けの作業になります。

しかし経験上で申し上げますと、中目的はそう簡単には出てきません。

【中目的を創出する場の作り方】

▷以前、noteにもご登場いただきました心理学的アプローチNLPの研究家原さんに、再度8月11日にお聞きしました。
※(2023年4月11日「心理がアプローチvs社会科学アプローチ」)

このような時には、ラポールメイキング(信頼関係による自己開示)することが大切だということです。

そのラポールメイキングのために五感・・・visual(視覚)auditory(聴覚)kinestic(身体感覚)を刺激することをお話しされていました。

コラム3:現在実施している美学と構想力

私どもでクライアントの皆様に目的を創出する前に、アート鑑賞法、VTS(visual thinking strategy)対話型鑑賞法をプレ的に実施しています。
見たものを言葉で表し、他人の意見を加えながら、自分で納得した考えを合わせる作業・・・「観察力」「批判的思考力」「言語化能力」を高める。
この三つの「複合的能力」さらに自己を理解して他者の理解にいかに繋がるかと考えます。

もう一つ、ビジョンスケッチで、実際に手を使って絵画で表現することもします。
また、歌舞伎やオペラなどを鑑賞した後での体感知をベースにしてダウンロードミーティングを実施することで、参加者のある感情や創造性を強く引きだす集合的作業をしています。
参加した皆様は、自己開示をしていただいて、大変効果があるものです。

黒木コラム

 これはNASAアポロ計画の時の方法論ですが、1人だけでやるのではなく、経営者が社員やステークホルダーを巻きこんで実施することで、【場】を作ることが必要です。
野中郁次郎名誉教授風に言えば、【他者との文脈の共有化】です。

 今まで、近くにいて分かっていたと思う方の意外な面を知ることで、親近感や安心感が生じます。
現象学フッサールのいう相互主観になる礎となるはずです。

新製品プロジェクトなどで実施する時、最重要課題を自分ゴトで考える、徹底的【対話】による相互主観を生み出す、ナラティブで話すことがプロジェクトを自分ゴトにすることに繋がります。

そのためには、リサーチなどのレポートではなく、まずありのままの現実を直観する、自ら直観することを言葉にするダウンロードミーティングを通じてチーム内で対話することが重要になります。

(プロジェクト終了した後、刺激を受けた、今までに経験無かった、と言う声をいただくことが多く、企業内での知的コンバット的対話の機会が重要であることを痛感します。)

②悩み その2

役員間のコミュニケーション、役員と社員との対話が不足している。そのような、場ができにくいといいます。

▷この件は、

名著「失敗の本質」(野中郁次郎他3名)に詳しく、第二次世界大戦時の日本軍のミスと現在の日本企業の共通点で言及されている内容が、参考になります。

  数多くの失敗の本質の中でも、この2つを列記しますと、

a)陸・海・空の兵力を統合し、【一貫性と整合性を統一】出来ていなかったこと。

陸海軍には、戦略思想の相違、機構上の分立、組織の仕事・行動様式の違いなどがある。(「失敗の本質を語る」日経BP p106)

b)【目的のあいまいさ】

日本軍には、個々の作戦を有機的に結合し、戦争全体をどのように終わらせるかのグランドデザインが欠如(同書p100)

状況ごとに場当たり的に対応し、結果を積み上げていく思考方法が日本軍(同書p101)

▷バラバラな役員間のコミュニケーション、役員とミドルマネジャーや社員との意思疎通は、まさに日本軍の失敗の本質と同じことに繋がるのではないでしょうか。

野中郁次郎名誉教授はその対策として、従来の製品開発は、「リレーレース型アプローチ」であり、これを解消するには「ラグビー型アプローチ」でスピードと柔軟性を持って、開発、製造、営業がバラバラではなくオーバーラップしてチームを組む形態を紹介しています。

 なお、現在の私がサポートさせていただいている製品開発プロジェクトのセンスメイキング・ビジョン思考では、この形態から、全員でアブダクション(仮説生成)→フィールドワーク→ダウンロードミーティング→ストーリーメイキング(ナラティブ)→実行までを繰り返し実施しています。

これは、従来型の、客観的事実というデータ解析から入るのではなく、まず、参加メンバーが、ビジョンを共有化するという作業から入る方が、ワクワクする、自分ゴトで考えられることが多いからです。
「失敗の本質」から学ぶ創造性・「統合型コンティンジェンシー・モデル」にある組織構造、個人属性、組織過程を、相互に作用させながら、組織としての目標達成が可能になるからでしょう。

4.センスメイキングに必要な組織内の場作り「成功の循環モデル」とは・・・センスメイキングの日常化

MIT組織学習センター共同創始者のダニエル・キムが提唱した「成功の循環モデル」が、この悩みを話してくれたミドルマネジャーには、参考になるし、センスメイキングの場作りになります。

ダニエル・キム氏は、組織を四つの質によって分けます。

徹底的な対話によって相互主観などが明らかになると、関係→思考→行動→結果→関係→・・・と無限ループのように、渦を巻いてアウスヘーベン(止揚)する。

①「関係の質」が高まる(1人ひとりの動機や背景が分かっている/心理学な安全性が担保され、話したことが共有される)
      ↓
②「思考の質」が高まる(お互いの意見やアイデアが共有され、刺激し合っている/新しい気づきやないせ、物事の捉え方の変化が起こっている)
      ↓
③「行動の質」が高まる(考えたことを気軽に行動に移せる/答えが、ないものにチャレンジする数が増えてくる)
      ↓
④「結果の質」が高まる(新たなる出会いや知見が留まり、【想定を超えたもの】が生まれる/経験値が留まり、人が成長する/創造への自信が生まれる)
      ↓
①'「関係性」がさらに高まる。
      ↓

5.まとめとして

VUCAの空の下、未来に向けてこの時代を生き抜いていくには、思考方法の変化が必要です。

思考方法の変化は、組織のスタイル、アプローチ方法を変えていきます。

◽️知識創造型(新しい知を生み出すイノベーションを生み出す)の組織モデルの考え方とそのための思考方法(会社の意味を深く考えた企業組織)が新しい企業スタイルとなる

◽️従来型ロジカル思考から、コロナ禍を経て新しい思考法(センスメイキング・ビジョン思考)で、共感型組織モデルへの変革が必要

今回のまとめとして、8月の憂鬱な空に晴れ間を見つけ、変化を作り出すあり方を20世紀型と21世紀型を対比させることで示してみます。

■従来型20世紀アプローチ

モノが豊かになることが幸せ
(ロジカル思考)
・モノの生産が組織の価値の源泉であった
・会社は家族として一体感があり、社歌や社訓を皆で復唱した
・目標値の設定、売り上げと利益率の設定が主体
・科学的管理方法で生産プロセスを設定する
・カイゼン型で、効率重視
・最初にどのような市場にどのような商品を作るかということが重要
・多くの人間は、販売数量と生産プロセスを核にして、そのプロセスに携わるだけで、自分ゴトではない
・目的は曖昧でも目標値は対前年比で決めて、まだ取れそうな消費者のバキュームゾーンを市場調査して、ある程度のボリューム層があればその層へのアプローチを決定し、代理店にクリエイティブを依頼する。
あとは、コンセプト検証を繰り返し、市場シェアを上げて、利益率を上げる
・経営資源の選択と集中により競争戦略を勝ち取る

短期的でアウトプット最大化の時に有効であるが、残念ながら、この20世紀型カイゼンアプローチは、いわゆる1960年代の4Pとか3Cモデルである。需要が供給を上回る時にしか、効果が発揮できない。

●21世紀型アプローチ

(ビジョン思考)
・目的を明確にする/善い目的を作る。大目的に社会的価値がある。
・利他的である
・幸せは心身共に健康で楽しいウェルビーイング状態である 
・需要より供給が大きくなった時代を前提にしている
・センスメイキング理論やビジョン思考モデルになっている(直観で本質を物語る)

・企業は、役員、社員従業員の人生の幸せをベースにして、自分ゴトで考えてナラティブをしながらも創造することでエンゲージメントが上がる
・新たなる関係性で境界を超えた自律分散型になる
・社員と理念ついての対話をする
・顧客創造をする。n=1で解像度を上げて、共感、共鳴で顧客をファン化する
・個人のナラティブと会社のナラティブを考え合わせる

(代表事例)マイクロソフトのサティア・ナデラ社長

KPIの達成状況の報告会は廃止し、役員は、自分達の「生きがい」を物語る。これによって組織の壁、サイロは破壊される。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。