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「センスメイキング理論」とは。

noteを始めて1ヶ月。あらためて「自分の常識は相手の常識ではない」ってことを痛感して反省しております。

私のビジネス領域は、"センスメイキング理論を基本指針としながらクライアント自身がイノベーション活性化するためのご支援をするコンサルティング"を生業としておりますが、ここで使っている言葉自体がどうやら一般的じゃないようですね。

これがまたソーシャル(というかnote?)の興味深いところなのかもしれませんが、こちらにコメントを残す形ではなく私のアドレスに(たどり着いて)直接ご質問いただく方が多数いらっしゃるということが新鮮でした。

というわけで、今回のnoteは番外編として「センスメイキング理論」についてお伝えしたいと思います。

あなたの顧客は今何を求めているのでしょうか?

一般的な用語でいうと「センスメイキング理論」とは、”従来のロジカルシンキング(効率重視、アルゴリズム型)の対極にある概念で、ご自身の土台になっている先入観や前提を捨て、対象となる相手を全方位的に理解し、意味付けをすること、一言でいえば”本当に重要なものを見極めること”がベースとなっている考え方です。

ここでいう前者はマーケティングに携わる方だと馴染みのある”ソリューション型”と呼ばれるものと言い換えることができるでしょう。PDCAサイクルを回すというあれです。これまでのビジネスはこの発想が圧倒的に重要視されていました。

しかしながら、時代の急激な変化によって、実際に問題を抽出し、解決策を考え"ソリューション"として実行してみてもあまり効果がなかったというケースが増えてきているというのも事実です。問題点がなくなったわけではなありませんが、実は人々が求めていることが「便利であることよりも、自分にとって心が豊かになること(大切なこと)」にシフトしているのかもしれません。

それ故に従来の「問題を抽出」が念頭にあるのではなく「問題点はなくとも、想いを駆動されて願望を表現したい」という要望をどうやってビジネスに導入するのか。それを発見する手法としているのが「センスメイキング理論」であるのです。

「ビジョン思考」と「デザイン思考」

また私のビジネスでは、この「センスメイキング理論」を発動させるために「ビジョン思考」を導入しています。
従来のロジカルシンキングでは、同一の回答しか出て来ないことへの対抗思考法として捉えられるこの思考は「オリジナリティがない」「組織を活性化したい」「個人のエンゲージメントをあげたい」などの課題に対して有効な手法であると思い採用させていただいています。
この思考法を活用することによって得られる”知の組み替えがひきおこる手法”を具体的アプローチとして言及、特に”個々の妄想を引き起こすための精神的余白”を大切にしていることが、企業そして個々人のモチベーション向上にも寄与しているために、組織活性化につながるとも...。

ちなみにこの「ビジョン思考」とよく比較されるものに「デザイン思考」という思考パターンがありますが、「デザイン思考」とは、外的問題点や課題があって、それらを改善する際の共創型の問題点解決策フレームワークと定義できるでしょうか。課題があるかないか、という点が大きな違いかもしれませんね。

「ビジョン思考」のプロセス

「ビジョン思考("未来をつくりだせる"アプローチ:米国組織心理学のカール・ワイク提唱)」のプロセスは以下の通りとなります。
▼これらは以前の投稿でも説明しているので、ぜひ同時に参考ください。

①プロセス1 環境の感知(scanning)
・五感全体を使うこと。
・言語モード(左脳)をオフにして、ありのままを感じ取る作業(右脳)
・自社の環境の危機的状況の把握
・自社のアイデンティティへの脅威
②プロセス2 解釈(interpretation)
・インプットを自分なりに腹落ちするようにまとめる。
・ストーリーテリング、ストーリーメイキング
③プロセス3 行動・行為(enactment)
・イメージ脳と、言語脳を往復しながら、相互作業で意味を形成し行動する。

ちょっとだけ宣伝:弊社「センスメイキング理論」の独自性

「センスメイキング理論」における弊社独自メソッドは、"②プロセス2および③プロセス3"においての具現化ステージでのアプローチとなります。
これは弊社がこれまで様々なクライアントと培ってきた経験値と社会や時代の変化によって、常にメソッドの書換えを行なっているものです。
具体的アプローチイメージは以下の通りとなります。

1)食事の体系から学ぶ・・・食関係の企業様以外にもそこから派生する健康、農業、小売業などの領域でも有効です。
日本料理は、素材をなるべくそのままで並べ、他の素材と混ざらないようにする傾向があります。ここから日本人の感性、美意識、ディビジョニズム(分割主義)の美しさを、知ることによって、新しい発想へと昇華させます。

2)「自然の人間化」を知る・・・全ての領域の企業様に有効です。
弊社では、地域社会を活用する「エコシステム」を1つのキーワードとして捉えています。前述のレヴィストロースは「鳥獣戯画」や「河鍋暁斎」の絵画をなどを通じて、自然人間化としてトーテミズム(人間集団が
ある特定の動植物と特別な関係をもつと考える信仰)の裏返しをカリカチュアで紹介しています。
「ポケモン」や「ハム太郎」「くまもん」などは、これらの日本文化の底にある「自然の人間化」が埋め込まれている動きとして捉えていきます。

3)労働の概念から考える。・・ライフスタイルやワークスタイル、日本文化などを視野に入れた提案を考えている企業様に有効です。
2つの労働の概念(レビィストロース)には、「プラクシス」(行為する人間が自分自身の目的のために使用する)と「ポイエーシス」(ある物を自分の目的の為に変形して使うのではなく、そのものの中に既に存在する形を外に取り出す)があります。日本職人やアーティスト、建築家は、この「ポイエーシス」要素を、取り出すことが多いかもしれません。
弊社ではこの「ポイエーシス」を解釈しメッセージを聞き取り理解して、内側から外側へ取り出す行為に注目して、日本流アプローチを模索しています。

これらについてはまた事例含めて追々ご紹介させてください。

最後に。

自らを知るというのは一番難しいのと同様に、自らのビジネス顧客を知るというのは困難なものです。どうしても「こうだよね」「こうあるはずだ」という前提が邪魔してしまうのはやもえないことでしょう。
そんな中で第三者的立場として、一緒に寄り添える存在でありたいな、と思うのですが、これがまた難しく。

日々精進。今日もこうして自らと向き合っています。

(完)